よるのまちのメヌエット、植物園襲撃~

ふし文人

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第2章

風の音とともに、小さき体は空中に浮いている。

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 風の音とともに、小さき体は空中に浮いている。そして変な籠の乗り物に乗せられて、飛ぶように走っていく。気がつくと霧が晴れていて、うちは地面に下ろされた。
「誰なん?おじちゃん?」とうちはつぶやくけど、肌寒い空気だけがあたりにあって誰も答えてはくれない。ここはどこなんやろ、と幼い目に見えてきたのは清水の舞台やった。
「清水寺?」とうちは自分の頭の中にある記憶をたぐり寄せる。お母さんやお父さん、静と遊びに来たことがある。うちはその坂道を歩く。そして階段を上って、人気のない清水の舞台へと入った。そこから見える風景は、京都の街並みと静かな山並みと、あとは向こうの方に灰色のお空が見えるだけ。
「どうしよ。」とうちがポツリと言うと、ぽつりぽつりと雨が降ってくる。仕方なしに、うちは屋根のあるところに移って座りこむ。あかん、泣きそう。と、そのとき、横に知らない人が座った。なぜだかうちはまったく怖くなかった。だって匂いでわかったから。雨の匂いと相まってそれは懐かしいような温かいような気にさせてくれた。それはあの人やった。

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