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第3章
目を覚ますと、うちはどこかの石畳で寝そべっている。
しおりを挟む目を覚ますと、うちはどこかの石畳で寝そべっている。
「静。」と小さい声を絞り出して、起き上がろうとした。
「まだ寝ていないとダメだよ。」と聞き覚えのある男の人の声。
「おじさん。」うちはそう言いながら、ハットをかぶった丸眼鏡のおじさんを見る。
「そこから落ちて、頭を打ったんだ。」とおじさんが指差したのは、石の階段だった。
「あれ、静は?」うちは記憶がごっちゃになってて、何がほんまなんか分からへん。
「妹さんか。妹さんは、ちょっと分からないな。」とおじさんは優しく言う。
「あの、うち、たしか鬼と。」うちはそう言いながらも、頭の上にある桜を見る。
「鬼。それはまずいな。」とおじさんは真剣にうちの話を聞いてくれる。
「妹が鬼のところにいるはずやねん。」うちはようやく起き上がりながら言う、
「なるほど。」と冷静に答えるおじさんの向こうに、清水寺が見えている。
「そういや、うち清水寺から落ちた?」とますます混乱する。
「そうだね。きみはあちこちから落ち続けているようだ。」とハットを取りながらおじさんはそう言った。
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