よるのまちのメヌエット、植物園襲撃~

ふし文人

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第3章

「はい。」少ししょんぼりしながらうちは返事をした。

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 うちは再びリスを抱き上げる。そして仕方なく上賀茂神社を後にしようとした。
「お待ちなさい。」とお坊さんが言った。うちは振り向いて、お坊さんを見る。
「はい。」少ししょんぼりしながらうちは返事をした。
「あなた、ちょっと変わったものを背負ってらっしゃる。」とお坊さんは言った。
「え、変わったもの?」うちはリスをどうするか必死で考えていたので、虚を突かれた。
「そうです。」とお坊さんは言う。うちは首をかしげているけど、お坊さんはどうやらうちの後ろを見ているようや。
「もしかして。」とうちは一瞬後ろを振り返った。
「武士。」とお坊さんはつぶやく。
「五右衛門?」とうちは反応していた。五右衛門のことがこのお坊さんには見えるんやろうか。
「の霊ですな。」とお坊さんは言う。
「霊?」うちはごくりと唾を飲み込んだ。
「あなたには武士の霊が、憑りついておられる。」お坊さんは、さもそれが真実であるように力強くしかし冷静に述べた。
「え、そうですか。」うちは半分以上それを信じた。だってさっきまでの変な現象は、そうとしか言いようないやん。
「お祓いをしたほうがいい。」とお坊さんはのたまった。うちは少したじろぐ。だってお金取られるパターンやん。
「そうですか。」そう答えるうちのことを、お坊さんはじっと見ている。それとも後ろの霊を見てるんやろうか。
「もしよければ、して差し上げるが。」とお坊さんは言った。わーどうしよう、とうちはパニクる。
「はい、あのでも手持ちがなくて。」とうちは自分の窮状を公開する。それは事実やし。
「大丈夫、こんな夜にここに来られたというのは。」というのは?なんなん、なんかここに来たのに意味があったんやろうか。このリスを自然に帰す以外に。
「ということは?」とうちは生返事をしながらどうしたらいいのか考えようとした。
「何か意味があるということでしょう。」とお坊さんが静かに言ったので、うちは単純にそうかもしれんと思った。
「はい。」とうちはうなずいて、そのあとはお坊さんについて行った。リスを胸に抱きながら。
「何か変わったことはありませんでしたか。」と道すがらお坊さんが聞く。うちは心当たりがありすぎて、どう答えていいのかわからへんかった。
「そうですね。ちょっといろいろとありました。」とうちは答える。それ以上は説明したほうがいいのかわからへんかったし、信じてもらえるのかも分からへん。
「ま、とにかく中へ。」というとお坊さんは、神社の建物の中にうちを入れてくれた。

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