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【青年、魔王になる】

青年、島国で調停者になる

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……………………………………………………………………………とある城内

バータン!! 

???「魔王!!連れ去った仲間を返せ!!隠すとために……」
???「ウゲェェー オロオロオロ」
???「え?」
魔王「連れ去ってないのだが?勘違いじゃないのか?」
???「だから言ったじゃろ?勇者よ?」
勇者「……なんか……すんません……」
魔王「いえいえ」

……………………………………………………………………………とある島国

???「だから親父これ以上は他の大陸から受け入れない方がいいと思うのだが?」
親父「しかし、なにもないこの島に移住したいと来てくれるもの達なのだぞ?息子よ?」
息子「これ以上は他の種族がくると仲裁にも手間が掛かるだろ?俺一人でやるのは無理だろ?」
親父「だから私もやってるだろ?」
息子「だったらさ、もっと人材を増やさないとだめだろ?」
親父「だから暴馬族の者をお前に付けただろうが?」
息子「あいつ、腕は立つけど肩苦しいだろ?」
親父「なに言っている?本来あの種族は気性の荒い性格だがあそこまで紳士な奴はいないだろうが?」
息子「とりあえず今いる種族達の生活基板が安定するまでは移民は受け入れ制限な?」
親父「検討しよう」

ここは現代日本とは違う異世界の島国。この親父と息子は、この島の初めての住人。この親子は現在違う大陸から来る異民族を受け入れ、この島を発展させようとする謂わば島の代表だ。物語はここから始まる。

……………………………………………………………………………とある部屋

息子「なあ馬人?お前は移民は受け入れ賛成か?」
馬人「いえ。私は親父殿と息子様に異論はありません」
息子「じゃあ俺が反対なら反対するな?」
馬人「いえ。私は貴殿方親子に拾われた身。二人の意見には賛成ですが別れた場合どちらにも加担致しません。」
息子「相変わらず肩苦しいな?お前が歳下なのは分かるが普通に喋れよ?」
馬人「いえ。そういうわけには……」
息子「この島にいる皆そうだけど俺達、親子が先に住んでいたってだけでそんなに畏まらなくてもいいんじゃね?」
馬人「私は貴殿方親子は素晴らしいと思っています。なにもない私達に食事や住居を与えて下さって。だから島民は城を作り貴殿方を敬っているのです。」
息子「それは、助かるけど城とかやり過ぎじゃね?国王とかじゃないんだし?」
馬人「いえ、皆もそれを望んでおられるのではないかと」
息子「親父はそれでいいと、俺でも思う。俺は勘弁な」
馬人「いえいえ。息子様も代表の風格はあると思います」
息子「俺は島の発展のために何か作っている方が楽なんだがな?」
馬人「息子様は本当に手先が器用でございますしね。本当に羨ましいです。この前村に作った井戸の汲み上げ器など皆喜んでいました。あんなものどの大陸でも見たことないと。一体どうやって?」
息子「何となくだな。後は魔力の効率をもっと上げれば文句なしなんだがな?」
馬人「向上心がおありで結構な事でございます」
息子「お前だって腕は立つだろ?俺未だにお前に勝てないし」
馬人「それは剣技に限った場合でございます。魔法を使われては勝ち目が全くありません」
息子「ある意味反則だからな?実際に戦闘になれば射程のある武器が強いからな。だけどこの島ではないだろ?」
馬人「そうですね。しかし他の大陸ではあります。実際に戦闘に巻き込まれて国を出た者もこの島にはいますからね」
息子「そこなんだよな…今は問題ないかもしれないが、いずれその人達を追って戦火が回って来るような気がしてな」
馬人「それで、移民を受け入れないと?」
息子「それもある実際に最近種族間でイザコザが多いのも事実だろ?」
馬人「確かに…」
息子「だから先ずは今いる島民の生活基板を安定させ、無理なく受け入れ体制を作らないといけないと思うのだが?」
馬人「確かに…一理ありますね」
息子「じゃあお前賛成な?」
馬人「しかし親父殿にも私は賛成です。そんな状況の人達を見過ごせないのも事実です」
息子「俺もそこだけは賛成だがな…そろそろ飯にするか?」
馬人「そうですね」

………………………………………………………………………………食堂

息子「………」
馬人「………」
親父「食わないのか?」
息子「親父なぜお前が作った?」
親父「旨いだろ?なあ馬人?」
馬人「……そ・そうですね…」
息子「おい、否定しろ」
親父「なぜだ?」
息子「絶望的にまずいからだ」
親父「はぁぁぁぁぁ?超旨いだろ?」
息子「………」

この親父味覚が絶望的だった。

親父「まあいいだろう。それで、話は変わるが今この島にどれくらいの集落があるか分かるか?」
息子「把握してないな」
親父「私も全部は把握はしていない。ただ内の城に近い村を回ってそこの長みたいな人を選出してもらい話合おうと思うのだが?どうだろう?」
息子「いいんじゃあね?」
馬人「良いと思います」
息子「しかし何でだ?」
親父「今、把握はしてるだけでも獣人族や翼人族だけでもいるだろう?」
息子「エルフとかもな?」
親父「そこで、城に近い村を中心として村達でネットワークをとって貰おうと思うのだが?」
息子「それは、意味あるのか?」
親父「例えば、獣人族の移民が来るとするだろ?とりあえず今は城の近くの村に移住してるが獣人族の村に移住してもらう。もちろん希望はとるがな?その中で種族事に村人を管理してもらい、城でそれを把握してイザコザ等を減らしていきたいと思う」
息子「確かに合理的ではある」
親父「まあ、魔名までとは言わんが最低限、名前と出生地ぐらいはこちらで記録して置こうと思う」
息子「つまり、役所みたいな事か?」
親父「お前難しい事良く知ってるな?」
息子「親父の書斎で読んだ」
親父「そうか!!なら話は早い。それでだ息子にはその記録を管理する役割をして欲しい」
息子「やだよ?」
親父「…………」
息子「いやそうじゃなくて仲裁とかするやついなくなるじゃん?」
親父「確かにそうだが…」
息子「だったら、エルフとかそういうの得意な奴に頼めばいいじゃん?」
親父「確かに。だったら村人達に頼んで城でそういうのやってもらった方が効率がいいな」
息子「それでいいと思う」
親父「それでは、お前には調停者、馬人には警護の責任者の隊長でもして貰おう」
息子「隊長はわかるが調停者ってなんだ?」
親父「そうだな。このまま仲裁役と言って間に入るより、調べて停める者と言った方が聞こえがいいだろ?」
息子「まあそうだけど」
親父「それに、警護や自警団とかだと構えてしまう人もいるからな。それにお前と馬人はそこいらの者達にも負けないだろ?」
息子「それはそうだけど」
馬人「私はわかりませんが息子様では間違いありません。私の場合翼人族の場合、武器を変えなければ相手にできませんし」
親父「争いはなければない方がいいが、人が増えていく上でなくなる事はないだろう。お前達には迷惑になるかもしれんが頼むな?」
馬人「私でできる事であるなら全力でやらせて頂きます」
息子「そうだな。実際にこれまでとそんなかわらないと思うしな」
親父「ありがとう。それじゃあ早くお前ら食べろよ?」
調停者「………」
隊長「………」
親父「食べろよぉぉぉー」

順風満帆に見えた親父、調停者、隊長だがある種族を甘くみていたため、たくさんの困難がこれから先に待っていた。


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