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第5話 その頃、ゲルドンは①
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ゼント・ラージェントが謎の美少女の部屋に、なぜか瞬間移動したちょうどその頃。
──ここはグランバーン王国の大勇者、ゲルドン・ウォーレン自宅の大屋敷。
大屋敷の一階、大ホールには、ドワーフ族の長、薬草会社の社長、鍛冶屋協会の会長、ホビット族の長など、そうそうたるメンバーが、酒を酌み交わしている。
その中心に、今年三十六歳になった、大勇者のゲルドン・ウォーレンが笑って立っていた。
「いやあ、ゲルドン、あんたはすごい。魔物を三千匹も倒してしまうなんてなあ」
ドワーフ族の長が、赤ら顔でゲルドンに言った。
「そうだとも、ゲルドン。若い時はヤンチャだったが、出世したな」
鍛冶屋協会の会長も、ゲルドンの肩を叩きながら笑う。
「ガハハ、そんなに褒めないでくださいよ!」
ゲルドンは胸を張って声を上げた。
「俺は、この国の王になるのが目標なんで!」
ゲルドンは大口をたたいた。
壁際にはゲルドンの妻、今年三十六歳になった大聖女、フェリシアが静かに座って微笑んでいる。フェリシアはすでに、魔物討伐から引退して、今では良き妻となっている。
一方のゲルドンは現役の魔物討伐家だ。
今日は魔物討伐の依頼はなく、「魔物三千匹討伐記念パーティー」を開いている。
ゲルドンは二十年前、魔法剣士──いや、荷物持ちのゼント・ラージェントをパーティーメンバーから追放した。
しかし、ゲルドンはそんなことはすっかり忘れていた。
すると、ゲルドンはそばにいた痩せた青年に、真面目な口調で言った。
「セバスチャン、あの計画は進んでいるか?」
青年はゲルドンの執事、セバスチャンだ。
セバスチャンは頭を垂れた。
「ゲルドン様主催の、『ゲルドン杯格闘トーナメント』は、十一月にきちんと開かれるよう、手配しております」
ゲルドン杯格闘トーナメントとは、ゲルドンが大勇者になったことを記念した、グランバーン王国最高の戦士を決める、格闘技の大会だ。
この国では、素手の格闘の強い人間がもてはやされている。
大昔、勇者が魔王を素手で殴り倒し、魔王を封印したという伝説があった。
ゲルドンは剣術以上に、格闘術には自信がある。
さっきの大物たちは、このトーナメント開催のために金を出してくれる、スポンサーたちだ。
──その時、パーティー会場に、長髪の少年がポケットに手を突っ込みながら、フラフラと入ってきた。
年齢は十六歳くらいだろう。
「親父ぃ~」
長髪のチャラ男は、ヘラヘラ言った。
「俺を、お呼びでございますか~?」
「お、おい。偉い人が来ているんだぞ、ゼボール。ポケットに手を突っ込むな」
ゲルドンは周囲の大物たちを気にしながら、長髪のチャラ男に言った。
「今日、お前をこのパーティーに呼んだのは、理由がある」
「だいたい察しはつくけどね~」
「お前は、今年開かれる、『ゲルドン杯格闘トーナメント』で優勝するのだ! そして、俺の跡を継いで、勇者になれ」
ゲルドンの息子、ゼボールは頭をかいた。
このチャラ男、ゼボールは、この間、引きこもり男のゼントにケンカをふっかけた少年だった。
「トーナメントなんて、めんどくせーの一言だね。疲れるし」
「いいか、お前は俺の能力を受け継いでいるはずだ。国民に、お前の格闘術を披露し、トーナメントで優勝しろ」
「まあ、俺、格闘の才能はあるっちゃあるけどね~。親父は出場しないのか?」
「俺は出場しない。が、優勝者には俺との試合の挑戦権が与えられる」
「ふーん? それより小遣いくれよ。三十万ルピーくらい」
「お、おい、トーナメントには、全国の猛者が来るんだぞ。しっかり訓練をしろ」
「あ、そういえばさ」
ゼボールは、父親のポケットマネー、三十万ルピーをもらいながら、思い出したように言った。
「親父の故郷にこないだ遊びに行ってさ。キモいデブをいじめちまったぜ」
「……ん? 俺の故郷だと。マール村か? キモいデブとは、誰だ?」
「すげー引きこもりのヤツでさ」
ゼボールは首を傾げながら言った。
「名前を調べたら、ゼントってヤツだったらしいけど」
「な、何?」
ゲルドンは目を丸くして、チャラ男の息子を見た。
「ゼントだと? ほ、本当か、それは?」
ゲルドンは妻のフェリシアと顔を見合わせた。まさか……あの男、生きていたのか? ゼント──二十年前、魔物討伐パーティーから追い出した男だった。
そしてゼントは幼なじみだ。
そういえば、二十年前、ゼントを追放したすぐ後、故郷のマール村に情報屋を送り込んだ。ゼントの行動を調査したことがあったな。
しかしその後、ゼントの姿は消えたらしく、調査はやめたが……。
ゲルドンはあわてて息子に聞いた。
「そ、そのゼントという男は、引きこもりだと? 一体どういうことだ?」
「何でも、二十年、家に引きこもっていたらしいぜ」
「に、二十年も引きこもり、だと?」
ゲルドンは目を丸くした。
「何を驚いてるんだよ? 知り合いか? ま、こないだ、そんなことがあったよ。じゃーな」
ゼボールは、フラフラとパーティー会場を出ていってしまった。
ゲルドンは眉をしかめて、急いでフェリシアを見た。
「ゼントってあの、ゼントか」
「そ、そうだと思うわ」
「まさか、故郷のマール村にまだいたとは? し、しかも、引きこもりだと?」
ゲルドンがあれこれ考えていると──黙ってそれを聞いていた、執事の青年、セバスチャンが言った。
「二十年前、ゲルドン様の魔物討伐パーティーから追放した男……ゼント・ラージェントのことですね?」
「そ、そうだ。さすがセバスチャン」
ゲルドンは悩みがあると、すぐにこのセバスチャンに相談する。セバスチャンはグランバーン国立大学を首席で卒業した、秀才だった。
ゲルドンは思い出していた。二十年前、ゼントに紅茶を浴びせて、壁に投げつけ、パーティーから追放した。大勇者ゲルドンは、セバスチャンにそのことを話した。
「べ、別に気にすること、ないよな? 二十年前のことだし」
すると、セバスチャンは言った。
「いいえ、ゼントという男、ゲルドン様に復讐を考えていてもおかしくありません」
「え? ふ、復讐だと?」
「悪くいえば、ゲルドン様のことを深く恨んでいるのかもしれません。『引きこもり』つつ、あなたへの復讐の計画を練っているとも考えられる」
「ほ、本当か?」
ゲルドンは唸った。
「フフッ」
セバスチャンは胸を張って笑った。
「すべてこのセバスチャンにおまかせあれ。そのゼントという男を、私が今後、監視しましょう」
「う、うむ、頼んだぞ。おっと、明日のスケジュールはどうなっとるんだっけ」
「B級モンスター、骸骨拳闘士──スケルトンファイター討伐の依頼が入っています」
「スケルトンファイター? ちょっとやっかいだな。武器は持っていないが、毒の拳を持っているヤツだろ」
「依頼主は、王族のフェント・ラサン様ですよ」
「お、王族! 本当か!」
チャンスだ。ゲルドンは思った。王族にアピールすれば、将来、王に昇り詰める道が開けるはずだ。
しかもスケルトンファイターは、武器を持っていない格闘系モンスター。奴らに勝てば、トーナメントの宣伝にもなる。
「新聞記者もついきて、ゲルドン様を取材します」
セバスチャンの言葉に、ゲルドンはニンマリした。
しかし、この魔物討伐から、ゲルドンの没落は始まっていくのだった。
──ここはグランバーン王国の大勇者、ゲルドン・ウォーレン自宅の大屋敷。
大屋敷の一階、大ホールには、ドワーフ族の長、薬草会社の社長、鍛冶屋協会の会長、ホビット族の長など、そうそうたるメンバーが、酒を酌み交わしている。
その中心に、今年三十六歳になった、大勇者のゲルドン・ウォーレンが笑って立っていた。
「いやあ、ゲルドン、あんたはすごい。魔物を三千匹も倒してしまうなんてなあ」
ドワーフ族の長が、赤ら顔でゲルドンに言った。
「そうだとも、ゲルドン。若い時はヤンチャだったが、出世したな」
鍛冶屋協会の会長も、ゲルドンの肩を叩きながら笑う。
「ガハハ、そんなに褒めないでくださいよ!」
ゲルドンは胸を張って声を上げた。
「俺は、この国の王になるのが目標なんで!」
ゲルドンは大口をたたいた。
壁際にはゲルドンの妻、今年三十六歳になった大聖女、フェリシアが静かに座って微笑んでいる。フェリシアはすでに、魔物討伐から引退して、今では良き妻となっている。
一方のゲルドンは現役の魔物討伐家だ。
今日は魔物討伐の依頼はなく、「魔物三千匹討伐記念パーティー」を開いている。
ゲルドンは二十年前、魔法剣士──いや、荷物持ちのゼント・ラージェントをパーティーメンバーから追放した。
しかし、ゲルドンはそんなことはすっかり忘れていた。
すると、ゲルドンはそばにいた痩せた青年に、真面目な口調で言った。
「セバスチャン、あの計画は進んでいるか?」
青年はゲルドンの執事、セバスチャンだ。
セバスチャンは頭を垂れた。
「ゲルドン様主催の、『ゲルドン杯格闘トーナメント』は、十一月にきちんと開かれるよう、手配しております」
ゲルドン杯格闘トーナメントとは、ゲルドンが大勇者になったことを記念した、グランバーン王国最高の戦士を決める、格闘技の大会だ。
この国では、素手の格闘の強い人間がもてはやされている。
大昔、勇者が魔王を素手で殴り倒し、魔王を封印したという伝説があった。
ゲルドンは剣術以上に、格闘術には自信がある。
さっきの大物たちは、このトーナメント開催のために金を出してくれる、スポンサーたちだ。
──その時、パーティー会場に、長髪の少年がポケットに手を突っ込みながら、フラフラと入ってきた。
年齢は十六歳くらいだろう。
「親父ぃ~」
長髪のチャラ男は、ヘラヘラ言った。
「俺を、お呼びでございますか~?」
「お、おい。偉い人が来ているんだぞ、ゼボール。ポケットに手を突っ込むな」
ゲルドンは周囲の大物たちを気にしながら、長髪のチャラ男に言った。
「今日、お前をこのパーティーに呼んだのは、理由がある」
「だいたい察しはつくけどね~」
「お前は、今年開かれる、『ゲルドン杯格闘トーナメント』で優勝するのだ! そして、俺の跡を継いで、勇者になれ」
ゲルドンの息子、ゼボールは頭をかいた。
このチャラ男、ゼボールは、この間、引きこもり男のゼントにケンカをふっかけた少年だった。
「トーナメントなんて、めんどくせーの一言だね。疲れるし」
「いいか、お前は俺の能力を受け継いでいるはずだ。国民に、お前の格闘術を披露し、トーナメントで優勝しろ」
「まあ、俺、格闘の才能はあるっちゃあるけどね~。親父は出場しないのか?」
「俺は出場しない。が、優勝者には俺との試合の挑戦権が与えられる」
「ふーん? それより小遣いくれよ。三十万ルピーくらい」
「お、おい、トーナメントには、全国の猛者が来るんだぞ。しっかり訓練をしろ」
「あ、そういえばさ」
ゼボールは、父親のポケットマネー、三十万ルピーをもらいながら、思い出したように言った。
「親父の故郷にこないだ遊びに行ってさ。キモいデブをいじめちまったぜ」
「……ん? 俺の故郷だと。マール村か? キモいデブとは、誰だ?」
「すげー引きこもりのヤツでさ」
ゼボールは首を傾げながら言った。
「名前を調べたら、ゼントってヤツだったらしいけど」
「な、何?」
ゲルドンは目を丸くして、チャラ男の息子を見た。
「ゼントだと? ほ、本当か、それは?」
ゲルドンは妻のフェリシアと顔を見合わせた。まさか……あの男、生きていたのか? ゼント──二十年前、魔物討伐パーティーから追い出した男だった。
そしてゼントは幼なじみだ。
そういえば、二十年前、ゼントを追放したすぐ後、故郷のマール村に情報屋を送り込んだ。ゼントの行動を調査したことがあったな。
しかしその後、ゼントの姿は消えたらしく、調査はやめたが……。
ゲルドンはあわてて息子に聞いた。
「そ、そのゼントという男は、引きこもりだと? 一体どういうことだ?」
「何でも、二十年、家に引きこもっていたらしいぜ」
「に、二十年も引きこもり、だと?」
ゲルドンは目を丸くした。
「何を驚いてるんだよ? 知り合いか? ま、こないだ、そんなことがあったよ。じゃーな」
ゼボールは、フラフラとパーティー会場を出ていってしまった。
ゲルドンは眉をしかめて、急いでフェリシアを見た。
「ゼントってあの、ゼントか」
「そ、そうだと思うわ」
「まさか、故郷のマール村にまだいたとは? し、しかも、引きこもりだと?」
ゲルドンがあれこれ考えていると──黙ってそれを聞いていた、執事の青年、セバスチャンが言った。
「二十年前、ゲルドン様の魔物討伐パーティーから追放した男……ゼント・ラージェントのことですね?」
「そ、そうだ。さすがセバスチャン」
ゲルドンは悩みがあると、すぐにこのセバスチャンに相談する。セバスチャンはグランバーン国立大学を首席で卒業した、秀才だった。
ゲルドンは思い出していた。二十年前、ゼントに紅茶を浴びせて、壁に投げつけ、パーティーから追放した。大勇者ゲルドンは、セバスチャンにそのことを話した。
「べ、別に気にすること、ないよな? 二十年前のことだし」
すると、セバスチャンは言った。
「いいえ、ゼントという男、ゲルドン様に復讐を考えていてもおかしくありません」
「え? ふ、復讐だと?」
「悪くいえば、ゲルドン様のことを深く恨んでいるのかもしれません。『引きこもり』つつ、あなたへの復讐の計画を練っているとも考えられる」
「ほ、本当か?」
ゲルドンは唸った。
「フフッ」
セバスチャンは胸を張って笑った。
「すべてこのセバスチャンにおまかせあれ。そのゼントという男を、私が今後、監視しましょう」
「う、うむ、頼んだぞ。おっと、明日のスケジュールはどうなっとるんだっけ」
「B級モンスター、骸骨拳闘士──スケルトンファイター討伐の依頼が入っています」
「スケルトンファイター? ちょっとやっかいだな。武器は持っていないが、毒の拳を持っているヤツだろ」
「依頼主は、王族のフェント・ラサン様ですよ」
「お、王族! 本当か!」
チャンスだ。ゲルドンは思った。王族にアピールすれば、将来、王に昇り詰める道が開けるはずだ。
しかもスケルトンファイターは、武器を持っていない格闘系モンスター。奴らに勝てば、トーナメントの宣伝にもなる。
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突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
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