43 / 56
第43話 ゼントVS大勇者ゲルドン①
しおりを挟む
ついにこの日が来てしまった。
ゲルドン杯格闘トーナメント準決勝──俺、ゼント・ラージェントと大勇者ゲルドンの試合がこれから始まる。
ゲルドンの息子、ゼボールの言う通りになった。
「俺は棄権する。代わりに……多分だけど、親父が出て来るぜ──」
俺とゼボールのストリートファイトの次の日、大勇者ゲルドンは、息子のゼボールが準決勝を棄権したと発表。自分が準決勝に出場すると宣言したのだ……!
俺は、武闘リングの上から、王立スタジアムの観客席をながめた。超満員だ。ゲルドンもすでにリングに上がっており、セコンドのクオリファと話をしている。俺のセコンドはミランダさんだ。
大勇者ゲルドンが準決勝に出ると聞いた、王国の格闘技ファンは、チケットの争奪戦をしたらしい。
俺は武闘リングの上で、大勇者──いや、幼なじみのゲルドンを見やった。ゲルドンは笑っている。
「おいゼント。20年前のように、優しくいじめてやるぜ? 2分でおめぇをぶっ倒してやるからよ」
俺は思い出していた。20年前、このゲルドンに宿屋で紅茶をかけられ、踏みつけられた。
恋人だったフェリシアを奪われた。その後、この男はパーティーメンバーのエルサも、不倫で傷つけた。
この男には、いろんな思いが詰まり過ぎている──。覚悟しろ、ゲルドン!
カーン
試合開始のゴングが鳴った。鳴ってしまった。あっけなく、何事もなかったのように。
「てめーをぶっとばす!」
ゲルドンは走り込んで、パンチを打ってきた。
ブン
右フック! 俺はすぐに避けたが、もの凄い風圧だ。
ゲルドンの左ストレート!
ブアッ
耳もとでパンチがかすめる。これまたものすごい風圧だ。
まともにくらったら、吹っ飛ぶぞ……!
これ、人間の力なのか? それとも大勇者の実力なのか?
「おい、ゲルドン、悪魔と契約なんか、してないよな?」
俺は挑発するつもりで、言った。するとゲルドンはなぜかピクリと俺をにらんだが──。
「うるせええええーっ!」
ゲルドンは俺の胸のあたりに向かって、タックルに来た。
ガスゥッ
俺はそれを受け止める。
グググ……!
ゲルドンは俺に抱きつき、倒そうとしている。俺はそれをこらえる。
「てめえ……倒れろよ……!」
ゲルドンは声を上げた。
「倒れるのは、お前だ!」
俺は叫んだ。
ガスッ
俺はゲルドンのアゴに肘をくらわせた。そしてすかさず、ゲルドンの足を引っかけようとした。
しかし、ゲルドンもこらえる。
ゲルドンは重量級、俺は軽量級。かなりの体格差だ。
しかし、俺は何とかこらえている。
ガスッ
ゴスッ
ゲスッ
組つきながら、ゲルドンのボディーブロー。一方の俺は膝蹴りを返す。お互いに5、6発は組み合いながらの打撃を出し合っただろうか。
ゲルドンは両肘に青いサポーターをしている。怪我をしているのか? 肘を攻撃にうまく使うのか?
俺は組み合いながら考えていた。
じりじりとした、立ったままの組み合い、こらえ合いが続く。
「ゼントも体重差があるのに、こらえてるぜ」
「ゲルドンもさすが大勇者だけあって、一応根性あるな」
「おい、どうでもいいけど、さっさとどっちか、倒せよ!」
観客はざわつき始めている。
「だああっ!」
先に動いたのはゲルドンだった。
強引に俺を横に投げた。
俺はバランスを崩し、リングに膝をついた。
「もらったぜ!」
ゲルドンが俺に対して、馬乗り状態をしかけた──が──。
(ここだ! 3、2、1……)
くるり
勢いで一回転し、逆に俺が馬乗りの体勢になった!
ウウオオオオッ……。
観客が騒ぎ出す。
「な、なんだと」
ゲルドンが声を上げる。
俺は、ゲルドンが勢いをつけて、格闘技における最も有利な体勢──馬乗り状態を狙ってくると予想していた。
その勢いを利用して、逆に馬乗り状態にさせてもらった、というわけだ。
ガスウッ
俺はすぐに、ゲルドンを上から殴った。
「あぐ」
ゲルドンが声を上げる。
ゴスッ
もう一発!
「のやろおおおっ!」
ゲルドンは暴れ、馬乗り状態の俺から、逃げ出した。
悪いな、それも想定内だ!
俺は座って背中を向けているゲルドンの首に、右腕を巻きつけた。
チョークスリーパー! つまり腕による首絞め──頸動脈を締める技だ!
ぐぐぐぐぐ……。
これが決まれば……ゲルドンは「まいった」するはずだが……!
しかし、ゲルドンは力によって、俺の腕を外し、逃げ出した!
くっ! やはりゲルドンの力が強い……!
俺たちは立ったまま、またにらみ合った。
「う、うおおおっ……」
「ゼント、やるじゃねえか?」
「ゲルドンもさすが、大勇者だぜ」
観客たちのため息が聞こえる。
「てめぇ……なんでそんなに強くなったんだ……!」
ゲルドンはそう言いつつ、右アッパー! しかし、俺はそれをかわす。
ゲルドンはあわてている!
(ここだ!)
俺はグッと体重をかけ、ゲルドンの頬めがけ、左ジャブ!
ガスッ
当たった! そして、渾身の右ストレート!
ゲシッ
「ガフッ」
ゲルドンはのけぞった。しかし──。
「そんなパンチは効かねえんだよおおおおっっっ!」
ゲルドンは猛獣のように吼えた。そして、ふらつきを振り切るように走り込んで、超大振りの左フックを放ってきた!
ブウンッ
まるで風車だ──、しかし!
ゲルドンが走り込んできた勢いを利用して──! 俺は打撃を放った!
グワシイイッ
手の平の下部を利用した、俺独自の打撃法である──右掌底!
「ぐへ」
ゲルドンは見事に、俺の掌底をアゴに受け、片膝をついた。
「マ、ジ、か……」
ゲルドンは目を泳がせながら、俺を見上げる。
ウオオオオオオオオーッ
観客席が騒然となる。
「大勇者のダウンだ! や、やりやがったああああーっ!」
「ゼント、すげええええーっ!」
「大勇者、やべえぞ! どうなる? どうなる?」
『ダウンカウント! 1…………2…………3……!』
ゲルドンはふらつきながらも体を起こし、リングに張りめぐらされたロープを利用して、立ち上がろうとした。
しかし、足元がおぼつかない。アゴへの打撃が効いているのだ。
『4…………5…………6…………7!』
し、しかし、何て遅いダウンカウントだ! 審判団め、ゲルドンの味方なのか?
「フフフッ、助かったぜ。カウントが遅いからよ」
ゲルドンはそう言って、中腰になって、両膝に手をつき──。勢いをつけて、立って構えた!
「立ったぞお! どうだ、立ったぞ!」
ゲルドンは叫んで、審判団にアピールした。審判団も納得して、カウントをやめた。俺は、嫌な予感がしていた。
審判団は……ゲルドンの味方だ!
「おおおおーっ! やっぱり立ったぜ」
「おい、何かダウンカウントが遅くなかったか?」
「ああ……変なカウントだったが、さすが大勇者」
観客たちはざわつきながらも、声を上げる。
「俺を怒らせちまったようだな」
大勇者ゲルドンはニヤリと笑った。
「うっ……?」
俺は目を丸くした。
何と、ゲルドンの体から、闇色のもやのようなものが発生している。
な、何だ? これは?
蜃気楼──? いや、これが「オーラ」「闘気」ってヤツなのか?
それにしては、何て禍々しいんだ! 不気味なんだ!
「こうなるとヤベえぞ」
ゲルドンはクスクス不気味に笑った。
ゲルドン杯格闘トーナメント準決勝──俺、ゼント・ラージェントと大勇者ゲルドンの試合がこれから始まる。
ゲルドンの息子、ゼボールの言う通りになった。
「俺は棄権する。代わりに……多分だけど、親父が出て来るぜ──」
俺とゼボールのストリートファイトの次の日、大勇者ゲルドンは、息子のゼボールが準決勝を棄権したと発表。自分が準決勝に出場すると宣言したのだ……!
俺は、武闘リングの上から、王立スタジアムの観客席をながめた。超満員だ。ゲルドンもすでにリングに上がっており、セコンドのクオリファと話をしている。俺のセコンドはミランダさんだ。
大勇者ゲルドンが準決勝に出ると聞いた、王国の格闘技ファンは、チケットの争奪戦をしたらしい。
俺は武闘リングの上で、大勇者──いや、幼なじみのゲルドンを見やった。ゲルドンは笑っている。
「おいゼント。20年前のように、優しくいじめてやるぜ? 2分でおめぇをぶっ倒してやるからよ」
俺は思い出していた。20年前、このゲルドンに宿屋で紅茶をかけられ、踏みつけられた。
恋人だったフェリシアを奪われた。その後、この男はパーティーメンバーのエルサも、不倫で傷つけた。
この男には、いろんな思いが詰まり過ぎている──。覚悟しろ、ゲルドン!
カーン
試合開始のゴングが鳴った。鳴ってしまった。あっけなく、何事もなかったのように。
「てめーをぶっとばす!」
ゲルドンは走り込んで、パンチを打ってきた。
ブン
右フック! 俺はすぐに避けたが、もの凄い風圧だ。
ゲルドンの左ストレート!
ブアッ
耳もとでパンチがかすめる。これまたものすごい風圧だ。
まともにくらったら、吹っ飛ぶぞ……!
これ、人間の力なのか? それとも大勇者の実力なのか?
「おい、ゲルドン、悪魔と契約なんか、してないよな?」
俺は挑発するつもりで、言った。するとゲルドンはなぜかピクリと俺をにらんだが──。
「うるせええええーっ!」
ゲルドンは俺の胸のあたりに向かって、タックルに来た。
ガスゥッ
俺はそれを受け止める。
グググ……!
ゲルドンは俺に抱きつき、倒そうとしている。俺はそれをこらえる。
「てめえ……倒れろよ……!」
ゲルドンは声を上げた。
「倒れるのは、お前だ!」
俺は叫んだ。
ガスッ
俺はゲルドンのアゴに肘をくらわせた。そしてすかさず、ゲルドンの足を引っかけようとした。
しかし、ゲルドンもこらえる。
ゲルドンは重量級、俺は軽量級。かなりの体格差だ。
しかし、俺は何とかこらえている。
ガスッ
ゴスッ
ゲスッ
組つきながら、ゲルドンのボディーブロー。一方の俺は膝蹴りを返す。お互いに5、6発は組み合いながらの打撃を出し合っただろうか。
ゲルドンは両肘に青いサポーターをしている。怪我をしているのか? 肘を攻撃にうまく使うのか?
俺は組み合いながら考えていた。
じりじりとした、立ったままの組み合い、こらえ合いが続く。
「ゼントも体重差があるのに、こらえてるぜ」
「ゲルドンもさすが大勇者だけあって、一応根性あるな」
「おい、どうでもいいけど、さっさとどっちか、倒せよ!」
観客はざわつき始めている。
「だああっ!」
先に動いたのはゲルドンだった。
強引に俺を横に投げた。
俺はバランスを崩し、リングに膝をついた。
「もらったぜ!」
ゲルドンが俺に対して、馬乗り状態をしかけた──が──。
(ここだ! 3、2、1……)
くるり
勢いで一回転し、逆に俺が馬乗りの体勢になった!
ウウオオオオッ……。
観客が騒ぎ出す。
「な、なんだと」
ゲルドンが声を上げる。
俺は、ゲルドンが勢いをつけて、格闘技における最も有利な体勢──馬乗り状態を狙ってくると予想していた。
その勢いを利用して、逆に馬乗り状態にさせてもらった、というわけだ。
ガスウッ
俺はすぐに、ゲルドンを上から殴った。
「あぐ」
ゲルドンが声を上げる。
ゴスッ
もう一発!
「のやろおおおっ!」
ゲルドンは暴れ、馬乗り状態の俺から、逃げ出した。
悪いな、それも想定内だ!
俺は座って背中を向けているゲルドンの首に、右腕を巻きつけた。
チョークスリーパー! つまり腕による首絞め──頸動脈を締める技だ!
ぐぐぐぐぐ……。
これが決まれば……ゲルドンは「まいった」するはずだが……!
しかし、ゲルドンは力によって、俺の腕を外し、逃げ出した!
くっ! やはりゲルドンの力が強い……!
俺たちは立ったまま、またにらみ合った。
「う、うおおおっ……」
「ゼント、やるじゃねえか?」
「ゲルドンもさすが、大勇者だぜ」
観客たちのため息が聞こえる。
「てめぇ……なんでそんなに強くなったんだ……!」
ゲルドンはそう言いつつ、右アッパー! しかし、俺はそれをかわす。
ゲルドンはあわてている!
(ここだ!)
俺はグッと体重をかけ、ゲルドンの頬めがけ、左ジャブ!
ガスッ
当たった! そして、渾身の右ストレート!
ゲシッ
「ガフッ」
ゲルドンはのけぞった。しかし──。
「そんなパンチは効かねえんだよおおおおっっっ!」
ゲルドンは猛獣のように吼えた。そして、ふらつきを振り切るように走り込んで、超大振りの左フックを放ってきた!
ブウンッ
まるで風車だ──、しかし!
ゲルドンが走り込んできた勢いを利用して──! 俺は打撃を放った!
グワシイイッ
手の平の下部を利用した、俺独自の打撃法である──右掌底!
「ぐへ」
ゲルドンは見事に、俺の掌底をアゴに受け、片膝をついた。
「マ、ジ、か……」
ゲルドンは目を泳がせながら、俺を見上げる。
ウオオオオオオオオーッ
観客席が騒然となる。
「大勇者のダウンだ! や、やりやがったああああーっ!」
「ゼント、すげええええーっ!」
「大勇者、やべえぞ! どうなる? どうなる?」
『ダウンカウント! 1…………2…………3……!』
ゲルドンはふらつきながらも体を起こし、リングに張りめぐらされたロープを利用して、立ち上がろうとした。
しかし、足元がおぼつかない。アゴへの打撃が効いているのだ。
『4…………5…………6…………7!』
し、しかし、何て遅いダウンカウントだ! 審判団め、ゲルドンの味方なのか?
「フフフッ、助かったぜ。カウントが遅いからよ」
ゲルドンはそう言って、中腰になって、両膝に手をつき──。勢いをつけて、立って構えた!
「立ったぞお! どうだ、立ったぞ!」
ゲルドンは叫んで、審判団にアピールした。審判団も納得して、カウントをやめた。俺は、嫌な予感がしていた。
審判団は……ゲルドンの味方だ!
「おおおおーっ! やっぱり立ったぜ」
「おい、何かダウンカウントが遅くなかったか?」
「ああ……変なカウントだったが、さすが大勇者」
観客たちはざわつきながらも、声を上げる。
「俺を怒らせちまったようだな」
大勇者ゲルドンはニヤリと笑った。
「うっ……?」
俺は目を丸くした。
何と、ゲルドンの体から、闇色のもやのようなものが発生している。
な、何だ? これは?
蜃気楼──? いや、これが「オーラ」「闘気」ってヤツなのか?
それにしては、何て禍々しいんだ! 不気味なんだ!
「こうなるとヤベえぞ」
ゲルドンはクスクス不気味に笑った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。
名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。
絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。
運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。
熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。
そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。
これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。
「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」
知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より
追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる