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幼少期
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遡ること数分前。
シンとした空気を破ったのは、母上だった。
腰に手をつき二人に対して怒り始めたのだ。
「全くもう!全然起きないんだから。たかが、子供の洗脳魔法でしょう?リュカはともかくあんたは起きなさいよ!魔法大臣を名乗っているなら!」
朝、なかなか起きてこない息子と父親を叩き起こす母のようである。
懐かしさすら感じる。
…なんて和んでいる場合ではない。
今、聞き捨てならない言葉が聞こえたぞ。
洗脳魔法と言ったか?そんなのもあるのか。
大丈夫なのか?そんなものを使って。
小説なんかだとよく違法な魔法として出てくるやつでは。
この世界では大丈夫なんだろうか。
伯爵のもとまでつかつかと歩いて行ったかと思うと、おもむろに伯爵の首元へ手を伸ばした。
まさかっ、首を?
なんてそんなわけねぇか。
伯爵の襟を両手で掴むと前後に振り回し始めた。
あれはあれで苦しそうである。
綺麗な紫の髪が蛇のようにうねっている。
ん?
おい、伯爵の足が浮いてるぞっ!
どんな腕力してんだっ
母上、ご乱心!
口元に手をやりハワワとその様子を見ていると返事のない伯爵に呆れたのかその体をポイっと放った。
大の大人の体が、ぬいぐるみみたいに数メートル宙を舞った。
そして着陸。
あ。
「あら」
なんと伯爵の着陸場所はリュカの上。
ぼーっとしているリュカが避けられるはずもなく、二人は仲良く地面に倒れ伏した。
リュカは伯爵の下敷きである。
二人は意識を失ったようで起きる気配はない。
それを見た母上は「困ったわねぇ」と頬に手をつき全然困ってなさそうな顔をしている。
すごいな、この人。
なんというか想像と違う。
斜め上を行く人だ。
伯爵の体を足で追いやると気が済んだのか今度はこちらに向かってきた。
伯爵になんか恨みでもあるんだろうか。
「あ、シルヴァちゃん大丈夫?放ってしまってごめんなさいね」
ひぇっ、今度は俺に来た!
座り込んだまま母上を見上げるとなぜか、手を差し伸べてくる。
えっと?どうしろと?
「早く。手が疲れちゃうわ」
「え!掴まれって言ってます?いやいや、僕に触れたらっ」
「何言ってるのよ。大丈夫。ほら掴んで」
後ろに下がろうにもあるのは壁で下がりようがない。
いやいや、と断ろうとすると手のひらに温かいものが触れた。
と、同時に上に体が引っ張られた。
「うえっ?」
「ほら、大丈夫よ。なんともないわ」
唖然として自分の手を見ていると母上はからからと笑った。
「魔力のことを気にしているんでしょう?大丈夫よ。吸うと言ったってほんの少し。第一私はここらでは名の知れた魔法使いよ。魔力なんて有り余るほどあるわ」
大丈夫、大丈夫と繰り返す母上に目の奥が熱くなって気付けば泣いてしまった。
「シルヴァちゃん?!やだ、どうしましょう。どこか痛いの?治癒魔法をっ、ああ、私できないのよ」
触れた手が熱くて人肌の手はこんなに安心するものかと驚いた。
いつまでも慌てている母上の姿に思わず笑ってしまい、それに気づいた母上が安心するように微笑んだ。
抱きしめようとする母上を手で制して一度ぎゅっと握りしめた。
それから手を放す。
「シルヴァちゃん、どうしたの?」
「嘘」
「え?」
「大丈夫、なんて嘘でしょう?母上、今どんな顔してるかわかってます?」
思わずといったふうに顔に手をやる母上に笑いかけながら鏡を指さす。
シンとした空気を破ったのは、母上だった。
腰に手をつき二人に対して怒り始めたのだ。
「全くもう!全然起きないんだから。たかが、子供の洗脳魔法でしょう?リュカはともかくあんたは起きなさいよ!魔法大臣を名乗っているなら!」
朝、なかなか起きてこない息子と父親を叩き起こす母のようである。
懐かしさすら感じる。
…なんて和んでいる場合ではない。
今、聞き捨てならない言葉が聞こえたぞ。
洗脳魔法と言ったか?そんなのもあるのか。
大丈夫なのか?そんなものを使って。
小説なんかだとよく違法な魔法として出てくるやつでは。
この世界では大丈夫なんだろうか。
伯爵のもとまでつかつかと歩いて行ったかと思うと、おもむろに伯爵の首元へ手を伸ばした。
まさかっ、首を?
なんてそんなわけねぇか。
伯爵の襟を両手で掴むと前後に振り回し始めた。
あれはあれで苦しそうである。
綺麗な紫の髪が蛇のようにうねっている。
ん?
おい、伯爵の足が浮いてるぞっ!
どんな腕力してんだっ
母上、ご乱心!
口元に手をやりハワワとその様子を見ていると返事のない伯爵に呆れたのかその体をポイっと放った。
大の大人の体が、ぬいぐるみみたいに数メートル宙を舞った。
そして着陸。
あ。
「あら」
なんと伯爵の着陸場所はリュカの上。
ぼーっとしているリュカが避けられるはずもなく、二人は仲良く地面に倒れ伏した。
リュカは伯爵の下敷きである。
二人は意識を失ったようで起きる気配はない。
それを見た母上は「困ったわねぇ」と頬に手をつき全然困ってなさそうな顔をしている。
すごいな、この人。
なんというか想像と違う。
斜め上を行く人だ。
伯爵の体を足で追いやると気が済んだのか今度はこちらに向かってきた。
伯爵になんか恨みでもあるんだろうか。
「あ、シルヴァちゃん大丈夫?放ってしまってごめんなさいね」
ひぇっ、今度は俺に来た!
座り込んだまま母上を見上げるとなぜか、手を差し伸べてくる。
えっと?どうしろと?
「早く。手が疲れちゃうわ」
「え!掴まれって言ってます?いやいや、僕に触れたらっ」
「何言ってるのよ。大丈夫。ほら掴んで」
後ろに下がろうにもあるのは壁で下がりようがない。
いやいや、と断ろうとすると手のひらに温かいものが触れた。
と、同時に上に体が引っ張られた。
「うえっ?」
「ほら、大丈夫よ。なんともないわ」
唖然として自分の手を見ていると母上はからからと笑った。
「魔力のことを気にしているんでしょう?大丈夫よ。吸うと言ったってほんの少し。第一私はここらでは名の知れた魔法使いよ。魔力なんて有り余るほどあるわ」
大丈夫、大丈夫と繰り返す母上に目の奥が熱くなって気付けば泣いてしまった。
「シルヴァちゃん?!やだ、どうしましょう。どこか痛いの?治癒魔法をっ、ああ、私できないのよ」
触れた手が熱くて人肌の手はこんなに安心するものかと驚いた。
いつまでも慌てている母上の姿に思わず笑ってしまい、それに気づいた母上が安心するように微笑んだ。
抱きしめようとする母上を手で制して一度ぎゅっと握りしめた。
それから手を放す。
「シルヴァちゃん、どうしたの?」
「嘘」
「え?」
「大丈夫、なんて嘘でしょう?母上、今どんな顔してるかわかってます?」
思わずといったふうに顔に手をやる母上に笑いかけながら鏡を指さす。
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