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青年期
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ふわりと香るのは、焼けた肉の匂い。
とても食欲がそそられる。
その匂いに誘われるように大通りに向かって歩いていく。
どうやら外で販売している屋台からのようだ。
近くまで寄るとなおさら香りが腹を刺激してグーっと俺のお腹が主張する。
串に刺さった肉が下からあぶられハーブの香りと共に肉汁がジュワリと肉の周りを纏う。
思わずごくりと喉を鳴らし人々の間を縫って屋台に近づいた。
「親仁さん、串焼き二本くれ」
「はいよ、銅貨三枚な」
おお、ご丁寧に値段を言ってくれた。
だが、俺の手持ちに銅貨はない。
金貨だけじゃなく銀貨や銅貨でも、もらえば良かったな。
「すまないが、金貨しか持っていないんだ。お釣りをもらえるだろうか?」
胸ポケットに入れておいた金貨を見せると、店の親仁は目を見開いた。
「こりゃたまげた。金貨なんてめったにお目にかかれないものを。お前さん貴族かい?」
「いや、貴族じゃないさ。このお金は借りたものなんだ」
嘘は言ってない。
金貨だって、稼げるようになったら返そうと思っているし。
「そうかい…だが、悪いなお釣りで返せるだけの金がないんだ」
む、そうなのか。
…いったん諦めるか。とりあえず大きな買い物をして崩してからまた来よう。
「なら、また、あとで来るよ。ここのはおいしそうだからな」
「期待しておくよ」
人好きのする顔で笑う親仁さんにこちらも笑顔になる。
後ろ髪惹かれながらその場を立ち去ると妙に視線を感じた。
屋敷で使用人に悪意のある目線を常に感じていたから視線には敏感になってしまった。
誰だ?
振り返ってみても俺に視線を向けているような人は見受けられない。
気のせいだろうか?
認識阻害がかかっているはずなので俺を知っている人に会ったところでばれないはずなんだがな。
気のせいということにして、今度こそ停留所に向かって歩き出したその時――
服の裾を掴まれた感触がした。
反射で身をひるがえしたおかげで肌に触れることはなかったが、どっと冷や汗が出た。
普通にしてたら触れてしまっていたかもしれない。
まったく誰だっ?!
フードを深く被り直しながら相手を睨みつけると、そこにいたのはなんともガラの悪そうな男三人が立っていた。
いや、マジで誰だよ。
いかにもな顔をした男たちは仲間内で笑いあうと俺を中心に囲むように散らばった。
「何の用かな?」
今のところ、ガラが悪いだけで何かを伝えようとしている善人かもしれない。
「随分といいもの持ってんじゃんねぇか、お兄さんたちに譲ってくんねぇ」
「貴族じゃないらしいじゃねえの。え?放蕩息子か?そろそろママのところ帰りたくなってんじゃねぇの?」
「金をくれたらママのところに返してやろうか?」
ギャハハと下品な笑い声が響いた。
うん、だよね。知ってた。
見た目で判断してはいけないとは言うけど、さすがにこの男たちは見た目まんまの盗賊かなんかだろう。
先ほどの視線もこいつらで決まりだな。
どうせ、屋台でのやり取りを聞いていたんだろう。
まったく、なんて迷惑な奴らだ。
こんな白昼堂々と、人目のあるところでゆすろうとするとは。
屋台なんかあるから治安は良いのかと思っていたけどそうでもなさそうだ。
現に、何人かの通行人が何事かとこちらを見ているもののほとんどが見ないふりをして立ち去っていく。
誰も助けようと動く気配がない。
これが日常茶飯事なんだろう。
はあ、とため息をつきながら男たちを見やる。
「盗み聞きはよくないよ。悪いが君たちにやるお金は一つもないんだ。自分の足で稼いでくれないか?」
「なんだと?お高く止まってんじゃねえぞ!痛い目にあいたいようだな。」
俺の真正面にいる一番大柄な男が吠えたのを合図に両脇の男たちが俺に向かって拳を振り上げた。
おいおい、なんだよそのへなちょこパンチは。
母上のきついトレーニングを経てきた俺にとってはなんとも遅いパンチだ。
あっさりと二人のパンチをよけ、お返しに足払いをかける。
うわぁっ、という情けない声と共に地面に倒れる二人。
それを見たリーダーらしき男の舌打ちが聞こえたかと思うと、今度は突っ込んできた。
身体強化でも使っているのか思ったよりスピードは速かったものの見切れないほどでもない。
ひらりとイノシシを交わし、背中を思い切り蹴った。
元のスピードと俺の蹴りの勢いのままに突っ込んでいった先は…先ほど見て見ぬふりをしていた人々のもと。
あちゃー、可哀想に。ボーリングのピンみたいに転がっている。
けが人はいなさそうだが…俺のせいじゃないよな。
絡んできたのあっちだし。
多分、大丈夫だろ。
ってことで、逃げます!
後のことは頼んだ。
後ろから怒声が聞こえたが知らん。
大方、俺がひょろいから勝てるとでも思ったのだろうがもう、絡んでくるなよ。
街に来て早々洗礼を受けてしまったな。
…早く換金するか、預けるかしよう。
とても食欲がそそられる。
その匂いに誘われるように大通りに向かって歩いていく。
どうやら外で販売している屋台からのようだ。
近くまで寄るとなおさら香りが腹を刺激してグーっと俺のお腹が主張する。
串に刺さった肉が下からあぶられハーブの香りと共に肉汁がジュワリと肉の周りを纏う。
思わずごくりと喉を鳴らし人々の間を縫って屋台に近づいた。
「親仁さん、串焼き二本くれ」
「はいよ、銅貨三枚な」
おお、ご丁寧に値段を言ってくれた。
だが、俺の手持ちに銅貨はない。
金貨だけじゃなく銀貨や銅貨でも、もらえば良かったな。
「すまないが、金貨しか持っていないんだ。お釣りをもらえるだろうか?」
胸ポケットに入れておいた金貨を見せると、店の親仁は目を見開いた。
「こりゃたまげた。金貨なんてめったにお目にかかれないものを。お前さん貴族かい?」
「いや、貴族じゃないさ。このお金は借りたものなんだ」
嘘は言ってない。
金貨だって、稼げるようになったら返そうと思っているし。
「そうかい…だが、悪いなお釣りで返せるだけの金がないんだ」
む、そうなのか。
…いったん諦めるか。とりあえず大きな買い物をして崩してからまた来よう。
「なら、また、あとで来るよ。ここのはおいしそうだからな」
「期待しておくよ」
人好きのする顔で笑う親仁さんにこちらも笑顔になる。
後ろ髪惹かれながらその場を立ち去ると妙に視線を感じた。
屋敷で使用人に悪意のある目線を常に感じていたから視線には敏感になってしまった。
誰だ?
振り返ってみても俺に視線を向けているような人は見受けられない。
気のせいだろうか?
認識阻害がかかっているはずなので俺を知っている人に会ったところでばれないはずなんだがな。
気のせいということにして、今度こそ停留所に向かって歩き出したその時――
服の裾を掴まれた感触がした。
反射で身をひるがえしたおかげで肌に触れることはなかったが、どっと冷や汗が出た。
普通にしてたら触れてしまっていたかもしれない。
まったく誰だっ?!
フードを深く被り直しながら相手を睨みつけると、そこにいたのはなんともガラの悪そうな男三人が立っていた。
いや、マジで誰だよ。
いかにもな顔をした男たちは仲間内で笑いあうと俺を中心に囲むように散らばった。
「何の用かな?」
今のところ、ガラが悪いだけで何かを伝えようとしている善人かもしれない。
「随分といいもの持ってんじゃんねぇか、お兄さんたちに譲ってくんねぇ」
「貴族じゃないらしいじゃねえの。え?放蕩息子か?そろそろママのところ帰りたくなってんじゃねぇの?」
「金をくれたらママのところに返してやろうか?」
ギャハハと下品な笑い声が響いた。
うん、だよね。知ってた。
見た目で判断してはいけないとは言うけど、さすがにこの男たちは見た目まんまの盗賊かなんかだろう。
先ほどの視線もこいつらで決まりだな。
どうせ、屋台でのやり取りを聞いていたんだろう。
まったく、なんて迷惑な奴らだ。
こんな白昼堂々と、人目のあるところでゆすろうとするとは。
屋台なんかあるから治安は良いのかと思っていたけどそうでもなさそうだ。
現に、何人かの通行人が何事かとこちらを見ているもののほとんどが見ないふりをして立ち去っていく。
誰も助けようと動く気配がない。
これが日常茶飯事なんだろう。
はあ、とため息をつきながら男たちを見やる。
「盗み聞きはよくないよ。悪いが君たちにやるお金は一つもないんだ。自分の足で稼いでくれないか?」
「なんだと?お高く止まってんじゃねえぞ!痛い目にあいたいようだな。」
俺の真正面にいる一番大柄な男が吠えたのを合図に両脇の男たちが俺に向かって拳を振り上げた。
おいおい、なんだよそのへなちょこパンチは。
母上のきついトレーニングを経てきた俺にとってはなんとも遅いパンチだ。
あっさりと二人のパンチをよけ、お返しに足払いをかける。
うわぁっ、という情けない声と共に地面に倒れる二人。
それを見たリーダーらしき男の舌打ちが聞こえたかと思うと、今度は突っ込んできた。
身体強化でも使っているのか思ったよりスピードは速かったものの見切れないほどでもない。
ひらりとイノシシを交わし、背中を思い切り蹴った。
元のスピードと俺の蹴りの勢いのままに突っ込んでいった先は…先ほど見て見ぬふりをしていた人々のもと。
あちゃー、可哀想に。ボーリングのピンみたいに転がっている。
けが人はいなさそうだが…俺のせいじゃないよな。
絡んできたのあっちだし。
多分、大丈夫だろ。
ってことで、逃げます!
後のことは頼んだ。
後ろから怒声が聞こえたが知らん。
大方、俺がひょろいから勝てるとでも思ったのだろうがもう、絡んでくるなよ。
街に来て早々洗礼を受けてしまったな。
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