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青年期
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「つまりネロが魔王ではないかと?」
そんな馬鹿なと言いたいところだが、後々……な。
「まあ……そうだな」
なんとも歯切れの悪い。
ネロを前にして言いづらいんだろう。
当の本人は気にしていない、というか理解してなさそうだが。
「ネロは子供ですよ?魔王はさすがに子供の姿ではないでしょう?」
「魔王がどんな姿かはわかっていない。だからそんなことを考えるバカ……輩がいるんだろう」
言い方から見て、この人はネロを疑っていなそうだ。
魔王の姿は誰も知らないのか。面倒くさいな。
俺はステラに絵付きで解説された。
いかに魔王がめろいかと。
知らんがな。
だから、だいたいどんな姿かは知っている。
……もう少しステラの絵が上手ければ良かったのだがあいにく黒髪の長髪としかわからなかった。
化け物?と言わなかっただけありがたいと思ってほしい。
黒を持つというだけで疑われているネロ。
ま、ステラの言う限りその予想はあっているわけだが……
さて、どうしたものか。
「……討伐隊は帰ってこなかったんですよね?なぜ封印したとか言われてたんです?」
これは素朴な疑問ね。帰るものがいなきゃ、討伐失敗だろ。
はあと大きなため息をついたグレイヴさんは、髪の毛をかきあげた。
おお、かっこいい。イケメンがやると違うな。
「魔物の数が減ったときにどっかのバカが言いふらしたんだろう」
もう、言い繕う気はないらしい。
「俺たちが魔物を狩ってるからだ、つうの」
精悍な顔をゆがめて吐き捨てるように言い放つ。
よほどうっぷんがたまっていると見える。
だいぶイメージ崩壊しているが大丈夫だろうか。
先ほど、グレイヴさんにノックアウトされていた女性たちが見たら悲鳴をあげそうだな。
いや、逆にギャップ萌えとかでさらにファンが増えそうか。
と、お茶に口をつけながら考えているとグレイヴさんがそれで、と話し出した。
「ネロ君だが……うちで預からせてもらえないだろうか」
口に含んでいたお茶がちょろちょろと端から漏れた。
は?
どういうこと。今、そんな話してたか?
グレイヴさんの中でどうなったらその結論に至るんだ。
軽いパニックを引き起こしながら口元を拭う。
袖がお茶色に染まってしまった。
お気にだったのに。かなしみ。
「げほ…預かりたいってどういうことですか?」
「そのままの意味だ。失礼だが、シルヴァ君は魔力が無いように見える。その君がネロ君に魔法を教えるのは無理だろう。将来有望な魔法使いだ。そこで、うちで預かって育てたいということだ」
なるほど?
一理ある。
確かに俺は魔法を教えられない。教わってないからな。
俺が何も言えないでいると、グレイヴさんが続けて話す。
「うちで預かればネロ君の疑いも晴れるだろう。もちろん、シルヴァ君がここにくればいつでも会いに来られる。どうだろうか」
どうだろうか、と言われてもなぁ。
はっきり言ってちょっと揺れてる。
俺が育てる必要がないのでは、と。
俺といたってお金はないし、ぜいたくな暮らしはできない。家は街から遠いし。いや、ネロは転移で行けるか。
あの屋敷と近いし。人はいなくなったらしいけど。
家具はそろってないし、家に魔道具もない。だってこんなに早くネロが来ると思ってなかったからねっ!
思い返してみても俺といるメリットないな。
ここにいた方がネロも幸せなのでは?
……それにネロがいない方が俺も――
あれ?
何かまだ、グレイヴさんが言っていたが何を言っているのかわからなかった。
思考の渦に飲み込まれたように世界が遠くなった気がした。
――と、ふいに袖が引かれた。
一気に思考がクリアになる。
ネロを見ると、無表情なのにどこか寂しげで不安そうな顔をしている。
だめだ。決めただろ。俺が育てるって。俺がこの子の父親になるって。
鈍った思考を振り払うようにぶんぶんと頭を振る。
今は、魔王とかこの子の正体なんかどうだっていい。
大事なのは俺がどうしたいか。
そしてネロがどうしたいかだ。
「ごめんな、ネロ。大丈夫だよ。捨てたりしない。俺と一緒にいよう」
安心させるようににっこり微笑む。
そう伝えるとネロ、ではなくグレイヴさんが反応した。
「……それはこの提案を断る…ということだろうか?」
幾分か低くなった声に空気が冷えた感じがした。
ブルリと身震いする。
身構えながらも強気で睨み返す。
「そうですね。ネロと約束したので。俺が守るって」
そう答えるとグレイヴさんは不思議そうな顔をした。
「どうやって守るんだ?魔力もないのに」
おいおい、どうしたんだ。
イメージ崩壊がすさまじいぞ。
悪気なく言っている感じが嫌だな。
さすが、魔力がすべてな世界だ。
「……魔力はなくてもできることはあります」
現に魔物からは守れたぞ。
人間相手だって魔法を使われなければ勝てる…と思う。
最悪、魔力奪えばいいし。
魔力を奪うことに、だんだん遠慮が無くなっていってる気がする。
ま、死ななきゃいいだろ。
魔法を打つってことは、殺す気でやってるわけだから。
殺される覚悟もなくちゃな。
「…ふむ、確かに君はあの冒険者を無効化してたな。……どうやったのか気になるところだが……」
顎に手を置いて訝しげな顔でこちらを見てくる。
うーん、黙秘権を行使します。
口元に×を作って、喋らないぞオーラを出してみる。
すると、グレイヴさんは口元に手をやって笑いだした。
先ほどの冷たい空気はすでに霧散していた。
「くっ、はは、君は面白いな。悪かった。無理やりネロ君を引き取るつもりはないよ」
当たり前だ。
取られてたまるか。俺の可愛い息子を。
「僕の要件はこれだけだ。ああ、二人が冒険者登録してくれれば親子として登録できるよ」
あ、そういやそれをしに来たんだった。
いろいろありすぎてすっかり忘れていた。
「ありがとうございます。すぐに登録してきますね」
グレイヴさんが立ち上がり退室を促された。
「僕はまだ、やることがあるから受付に頼むといいよ。それじゃあね」
「はい、また」
扉が閉まる直前にグレイヴさんの口元が動いた気がした。
――おかしいな。暗示まで効かないなんて。
そんな馬鹿なと言いたいところだが、後々……な。
「まあ……そうだな」
なんとも歯切れの悪い。
ネロを前にして言いづらいんだろう。
当の本人は気にしていない、というか理解してなさそうだが。
「ネロは子供ですよ?魔王はさすがに子供の姿ではないでしょう?」
「魔王がどんな姿かはわかっていない。だからそんなことを考えるバカ……輩がいるんだろう」
言い方から見て、この人はネロを疑っていなそうだ。
魔王の姿は誰も知らないのか。面倒くさいな。
俺はステラに絵付きで解説された。
いかに魔王がめろいかと。
知らんがな。
だから、だいたいどんな姿かは知っている。
……もう少しステラの絵が上手ければ良かったのだがあいにく黒髪の長髪としかわからなかった。
化け物?と言わなかっただけありがたいと思ってほしい。
黒を持つというだけで疑われているネロ。
ま、ステラの言う限りその予想はあっているわけだが……
さて、どうしたものか。
「……討伐隊は帰ってこなかったんですよね?なぜ封印したとか言われてたんです?」
これは素朴な疑問ね。帰るものがいなきゃ、討伐失敗だろ。
はあと大きなため息をついたグレイヴさんは、髪の毛をかきあげた。
おお、かっこいい。イケメンがやると違うな。
「魔物の数が減ったときにどっかのバカが言いふらしたんだろう」
もう、言い繕う気はないらしい。
「俺たちが魔物を狩ってるからだ、つうの」
精悍な顔をゆがめて吐き捨てるように言い放つ。
よほどうっぷんがたまっていると見える。
だいぶイメージ崩壊しているが大丈夫だろうか。
先ほど、グレイヴさんにノックアウトされていた女性たちが見たら悲鳴をあげそうだな。
いや、逆にギャップ萌えとかでさらにファンが増えそうか。
と、お茶に口をつけながら考えているとグレイヴさんがそれで、と話し出した。
「ネロ君だが……うちで預からせてもらえないだろうか」
口に含んでいたお茶がちょろちょろと端から漏れた。
は?
どういうこと。今、そんな話してたか?
グレイヴさんの中でどうなったらその結論に至るんだ。
軽いパニックを引き起こしながら口元を拭う。
袖がお茶色に染まってしまった。
お気にだったのに。かなしみ。
「げほ…預かりたいってどういうことですか?」
「そのままの意味だ。失礼だが、シルヴァ君は魔力が無いように見える。その君がネロ君に魔法を教えるのは無理だろう。将来有望な魔法使いだ。そこで、うちで預かって育てたいということだ」
なるほど?
一理ある。
確かに俺は魔法を教えられない。教わってないからな。
俺が何も言えないでいると、グレイヴさんが続けて話す。
「うちで預かればネロ君の疑いも晴れるだろう。もちろん、シルヴァ君がここにくればいつでも会いに来られる。どうだろうか」
どうだろうか、と言われてもなぁ。
はっきり言ってちょっと揺れてる。
俺が育てる必要がないのでは、と。
俺といたってお金はないし、ぜいたくな暮らしはできない。家は街から遠いし。いや、ネロは転移で行けるか。
あの屋敷と近いし。人はいなくなったらしいけど。
家具はそろってないし、家に魔道具もない。だってこんなに早くネロが来ると思ってなかったからねっ!
思い返してみても俺といるメリットないな。
ここにいた方がネロも幸せなのでは?
……それにネロがいない方が俺も――
あれ?
何かまだ、グレイヴさんが言っていたが何を言っているのかわからなかった。
思考の渦に飲み込まれたように世界が遠くなった気がした。
――と、ふいに袖が引かれた。
一気に思考がクリアになる。
ネロを見ると、無表情なのにどこか寂しげで不安そうな顔をしている。
だめだ。決めただろ。俺が育てるって。俺がこの子の父親になるって。
鈍った思考を振り払うようにぶんぶんと頭を振る。
今は、魔王とかこの子の正体なんかどうだっていい。
大事なのは俺がどうしたいか。
そしてネロがどうしたいかだ。
「ごめんな、ネロ。大丈夫だよ。捨てたりしない。俺と一緒にいよう」
安心させるようににっこり微笑む。
そう伝えるとネロ、ではなくグレイヴさんが反応した。
「……それはこの提案を断る…ということだろうか?」
幾分か低くなった声に空気が冷えた感じがした。
ブルリと身震いする。
身構えながらも強気で睨み返す。
「そうですね。ネロと約束したので。俺が守るって」
そう答えるとグレイヴさんは不思議そうな顔をした。
「どうやって守るんだ?魔力もないのに」
おいおい、どうしたんだ。
イメージ崩壊がすさまじいぞ。
悪気なく言っている感じが嫌だな。
さすが、魔力がすべてな世界だ。
「……魔力はなくてもできることはあります」
現に魔物からは守れたぞ。
人間相手だって魔法を使われなければ勝てる…と思う。
最悪、魔力奪えばいいし。
魔力を奪うことに、だんだん遠慮が無くなっていってる気がする。
ま、死ななきゃいいだろ。
魔法を打つってことは、殺す気でやってるわけだから。
殺される覚悟もなくちゃな。
「…ふむ、確かに君はあの冒険者を無効化してたな。……どうやったのか気になるところだが……」
顎に手を置いて訝しげな顔でこちらを見てくる。
うーん、黙秘権を行使します。
口元に×を作って、喋らないぞオーラを出してみる。
すると、グレイヴさんは口元に手をやって笑いだした。
先ほどの冷たい空気はすでに霧散していた。
「くっ、はは、君は面白いな。悪かった。無理やりネロ君を引き取るつもりはないよ」
当たり前だ。
取られてたまるか。俺の可愛い息子を。
「僕の要件はこれだけだ。ああ、二人が冒険者登録してくれれば親子として登録できるよ」
あ、そういやそれをしに来たんだった。
いろいろありすぎてすっかり忘れていた。
「ありがとうございます。すぐに登録してきますね」
グレイヴさんが立ち上がり退室を促された。
「僕はまだ、やることがあるから受付に頼むといいよ。それじゃあね」
「はい、また」
扉が閉まる直前にグレイヴさんの口元が動いた気がした。
――おかしいな。暗示まで効かないなんて。
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