異世界の小噺

わこつ

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通貨の近代化

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私はある国の王である。
今、悩みのたねがひとつある。それは勇者に対する報酬である。
確かに、貢献してもらった恩はあるが要求が国の予算の半分を寄越せとのこと。
それでは国が成り立たなくなるから、返事を先のばしにしている状態だ。
どうしようかと悩んでいると、側近がやってきた。
「調査の報告に参りました。素行は至って良好。今回の要求も手元に置いておきたいという思いからという印象を受けました。」
側近は事務的に言い、更に続けた。
「つきましては、私の方から一つ提案がございます。」
「申してみよ。」
私が発言を許可したら、側近は一呼吸おき言った。
「約束手形を発行し渡すのです。あの者なら、一度に使うことはありません。」
私は側近に対し色々聞きたいとこもあったが、彼なら上手く事を進めてくれるだろうとの信頼から
「では、側近。君の考えている通りにやってみてくれ。」
「では、早速。」

その後、勇者に約束手形の紙が渡され、勇者は毎月決まった時期に一定の額を引き下ろした。
それを見ていた一部の商人達は勇者が信頼して使っているのならと自分達も約束手形による商売を行いたいと国に願い出てきた。
今までは硬貨か物々交換でしか行っていない商売だが、紙での取引となると運搬に使う労力が天地の差になるためだ。

側近はほくそ笑みを浮かべる。この流れが進めば、国は約束手形製造部門を建てるだろう。そのときは私の息のかかったものが付けば利権を得ることが出来ると。
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