異世界の小噺

わこつ

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暗殺者の慈善事業

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※魔石とは魔力の源であり、その所有者が証である。

我は暗殺者である。しかし引退したので元が付くが。
今は罪滅ぼしの意味で私しか出来ない事をしている。それは亡き人を探しだすことだ。
危険を省みず勇敢に立ち向かう冒険者がいる以上、命を落とすものも少なくない。そしてそれを悲しむ者がいる。我はその人達の手助けをするのだ。

今日はその辺の洞窟に来ている。聞いた話だと、ここに入った駆け出し冒険者が戻って来ないという。スライムしか出ないが、恐らく油断してやられたのだろう。
我は【気配遮断】【気配察知(嗅)】を使い探索を始めた。
道中はスライムしか出てこなかったが、相手にされることなく、通りすぎることが出来た。しかし、駆け出し冒険者はいなかった。
洞窟の行き止まり周辺で人臭いが鼻をついた。
そこを見ると骨と化した人が倒れていた。状況から察するにスライムに溶かされたのだろう。
我は骨と身分証と溶けなかった武具、道具を持ってその場を後にした。
その後、武具と道具は全て換金して身分証と共に然るべき所に渡した。
骨は家に持ち帰る。この後に行うことをしないと私の信条に反してしまうからだ。
家に戻った後、我は骨の一部を折りあるものを探した。魔石である。
魔石は本来、人属からは取れないと言われているが、そうではない。他の魔物等と同じように命が亡くなれば生成されるのだ。なのに人属は自分達の中で魔石は作られないと考えている。
そうなると、何故我が知っているかという問題になるわけだが、一度人間を解体したときに偶然見つけたのだ。一応、言っておくが暗殺者の稼業のためにしたのであって、決して自己の快楽のためではないことは言っておく。
そうこうしているうちに、小指サイズの細長い魔石を見つけた。我はその魔石に問いかける様に呟き、魔力を注いだ。
「さあ、お前の最後を見せてくれ。」

どういう理屈かは不明だが、我は魔石に魔力を入れると、その魔石の所有者の最後に見た光景を知ることが出来る。
結論から言うと、この駆け出し冒険者はスライムにやられたのでは無かった。パーティーを組んでいたいっぱし冒険者に慰みものにされ、最後に首を閉められた。ここまで来ればすることは1つ。準備することにしよう。

翌日、冒険者が一人減ったが特に問題なく世間は回っている。
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