異世界の小噺

わこつ

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科学と魔法

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私は魔術師。元いた魔法の世界から科学の世界に転成した。
この世界は便利で不便だ。便利なところは魔法を一切使わず元いた世界より快適に暮らせること。遠くの人と話せる機械を見たときは驚きのあまり膝が落ちた。
不便なところは魔王という敵にあたるものが存在しないため、人同士で争うこと。どこの世界でも人は敵を作り、攻撃するものなんだと嘆いた。
ふとそう思いながら、コウヒイを飲んでいると携帯電話がなった。
「仕事だ。場所は35.580981,178…」
ここからそう遠くはない距離だ。私は早速動き出す。
「ハロー、フォックス。コード"i"起動」
私はもう一つの携帯電話(スマホ)に声をかけた。
科学は素晴らしい。エミュレータを起動しておけば魔法の詠唱や必要な供物を自動で計算しデータ上で処理してくれるのだから。
そうこうしているうちに私の姿は薄くなり始めた。

これからどういう仕事をするかって?聞かない方がいいが、優しく言うなら<悪い人を成敗しにいく>だ。
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