後宮浄魔伝~視える皇帝と浄魔の妃~

二位関りをん

文字の大きさ
30 / 79

第30話 後片付けと稽古参加

しおりを挟む
 人魚が消滅した直後、桃玉は膝から崩れ落ちそうになるも龍環に支えられた。

「あ、ありがとうございます……」
(体力の消耗がきつい……それにおなかも減った……)
「よくやった桃玉。俺が照天宮まで送っていくよ」
「……すみません、お願いします」

 剣を鞘にしまうと龍環は桃玉をおぶって岸まで歩いた。

「皇帝陛下! 李昭容様!」
「あの池の中に昔の妃の遺体がある。引き上げて丁重に弔うように」
「ははっ」
「……今回の事件は、巨大な魚が巻き起こした事件として処理する。この事はくれぐれも内密に頼んだぞ」

 龍環の低い声がしんと周囲に響いた。

◇ ◇ ◇

 照天宮の自室に戻った桃玉は、ぬるま湯をしみ込ませた手拭いで全身を綺麗に拭き、いつもの服へと着替えると体力を回復させるべく女官達により用意されたもりもりと昼食を食べはじめる。

「わあ……美味しそう!」
「桃玉様、どうぞお召し上がりくださいませ」
 
 今日の昼食はソース付きの鶏肉の唐揚げを筆頭に、葉野菜と卵の炒め物に根野菜と刻んだ鶏肉を煮物などがずらりと並んでいた。そしてご飯は五目の炊き込みご飯。鶏肉日とでも言えるくらいの鶏肉がふんだんに使われた昼食である。

(唐揚げ美味しい……! 衣がさくっとしていて食べやすい! それにご飯も進む!)
「おかわりありますからたくさん食べてくださいね」 
「はい! ありがとうございます!」

 こうして桃玉はご飯をおかわりし、お腹いっぱい食事を味わったのだった。

◇ ◇ ◇

 その後。今回の事件は龍環の言う通り巨大な魚が犯人という事になり、また、人魚が憑依していた妃の遺体の身元は詳しく調査され、結果は先々代の皇帝の妃・郭《グォ》才人の者だとされた。
 調査後郭才人の遺体は遺族に引き渡されている。しかし大分年月が過ぎている事から、遺体を引き取った遺族はあまり事情をわかっていないようだった。
 そして人魚のあやかしを浄化させた桃玉は、体力増強の為にある行動に出る事に決める。それは佳淑妃の元で武術の稽古に参加する事だった。早速彼女のいる部屋へと向かった桃玉は、頭を下げて稽古に参加したい旨を申し出る。

「桃玉。貴女も武術の稽古に参加したいのか?」
「はい。体力をつける為にも……お願いします」
「貴女は確か、農民の出身だとは聞いている。後宮にいる他の妃達よりかは体力にはすぐれていると思うが?」
(う――ん……あやかし浄化の為とは言えないしなあ……)
「最近身体がなまってきていると感じまして」
「なるほど。向上心が高いのは良い事だ。では、参加を認めよう。ただし……」
「ただし?」

 佳淑妃は口角を釣り上げてにやりと笑った。

「厳しい稽古に耐えられるならな」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

白苑後宮の薬膳女官

絹乃
キャラ文芸
白苑(はくえん)後宮には、先代の薬膳女官が侍女に毒を盛ったという疑惑が今も残っていた。先代は瑞雪(ルイシュエ)の叔母である。叔母の濡れ衣を晴らすため、瑞雪は偽名を使い新たな薬膳女官として働いていた。 ある日、幼帝は瑞雪に勅命を下した。「病弱な皇后候補の少女を薬膳で救え」と。瑞雪の相棒となるのは、幼帝の護衛である寡黙な武官、星宇(シンユィ)。だが、元気を取り戻しはじめた少女が毒に倒れる。再び薬膳女官への疑いが向けられる中、瑞雪は星宇の揺るぎない信頼を支えに、後宮に渦巻く陰謀へ踏み込んでいく。 薬膳と毒が導く真相、叔母にかけられた冤罪の影。 静かに心を近づける薬膳女官と武官が紡ぐ、後宮ミステリー。

紅玉楽師は後宮の音を聞く 〜生き残りたい私の脱走計画〜

高里まつり
キャラ文芸
【耳のいい隠れ長公主】✕【したたかな美貌の文官】コンビが挑む後宮の陰謀! 片目が紅い娘・曄琳(イェリン)は訳あって後宮から逃走した妃の娘ーー先帝の血を引く、隠れ長公主。 貧民街で隠れて生活していたのに、ひょんなことから宮廷に舞い戻ってしまった曄琳は、生まれを秘匿し、楽師としてあらゆる音を聞き分けるという特技を活かしながら、宮廷からの脱走を目論んでいた。 しかしある日、後宮で起きた幽鬼騒動の解決に駆り出された先で、運命を狂わされてしまう。 利用できるものは利用します精神の美形の文官・暁明(シャオメイ)と、出生の秘密をなんとか隠して外に出たい曄琳。 二人が後宮での事件を追う中で、母や貴妃の死、過去の出来事が少しずつ絡んで、宮廷の陰謀に巻き込まれていく。契約じみた曄琳と暁明の関係も少しずつ、少しずつ、形を変えていきーー? 曄琳の運命やいかに!

ギルド回収人は勇者をも背負う ~ボロ雑巾のようになった冒険者をおんぶしたら惚れられた~

水無月礼人
恋愛
 私は冒険者ギルド職員ロックウィーナ。25歳の女で担当は回収役。冒険者の落し物、遺品、時には冒険者自体をも背負います!  素敵な恋愛に憧れているのに培われるのは筋肉だけ。  しかし無駄に顔が良い先輩と出動した先で、行き倒れた美形剣士を背負ってから私の人生は一変。初のモテ期が到来です!!  ……とか思ってウハウハしていたら何やら不穏な空気。ええ!?  私の選択次第で世界がループして崩壊の危機!? そんな結末は認めない!!!! ※【エブリスタ】でも公開しています。  【エブリスタ小説大賞2023 講談社 女性コミック9誌合同マンガ原作賞】で優秀作品に選ばれました。

何もしない公爵夫人ですが、なぜか屋敷がうまく回っています

鷹 綾
恋愛
辺境公爵カーネル・クリスの妻となったフィレ・バーナード。 けれど彼女は、屋敷を仕切ることも、改革を行うことも、声高に意見を述べることもしなかった。 指示を出さない。 判断を奪わない。 必要以上に関わらない。 「何もしない夫人」として、ただ静かにそこにいるだけ。 それなのに―― いつの間にか屋敷は落ち着き、 使用人たちは迷わなくなり、 人は出入りし、戻り、また進んでいくようになる。 誰かに依存しない。 誰かを支配しない。 それでも確かに“安心できる場所”は、彼女の周りに残っていた。 必要とされなくてもいい。 役に立たなくてもいい。 それでも、ここにいていい。 これは、 「何もしない」ことで壊れなかった関係と、 「奪わない」ことで続いていった日常を描く、 静かでやさしい結婚生活の物語。

処理中です...