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第26話 結婚拒否!
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ギルテット様の意見はまさにごもっともである。シャミリー王女のお腹の子の父親が誰かもわからないのに結婚は無理な話だ。
(その父親と結婚するのは無理なのかしら?)
普通ならお腹の子の父親と結婚しよう。という話になるのが自然な流れだと思うのだが……。そうは行かない理由でもあるのだろうか?
私はこの考えをまずは金色の天蓋付きベッドの上に雑に座っている3人へと話してみる。先に口を開いたのはギルテット様だった。
「おそらくですが……2つ。まず1つ目はお腹の子の父親が誰か分からないという事でしょう。2つ目は……父親が平民、もっと言うと奴隷かそれに近い階級なので認知は出来ないという事かと」
「なるほど……」
「王子ぃ、1つ目だったらその……シャミリー王女ってビッチ過ぎませんか?」
「まあ性には奔放という事にはなるでしょうね。誰かが分からないという事ですから。逆を言うと誰か分からないくらい関係を持っているという事になります」
「ギルテット王子、2つ目の可能性は?」
「自分は1つ目の方があり得そうだなとは思います。一応あんな雰囲気の王女がそんな奴隷に一目ぼれだなんて考えにくいんですよね。もしそうだとしたらそもそも俺に求婚します?」
私はこう考える。
まず1つ目。父親が誰だか分からないというのは可能性がありそうだ。とはいえそれならわざわざギルテット様を選ぶのだろうか? 複数の男性と関係を築けるなら自国だけでも引く手あまただろうし。
2つ目は……彼女が奴隷や平民をどのように思っているかによりそうだ。道具としてみているなら欲求不満を解消する為に使い、避妊に失敗した……というストーリーも考えられる。
いずれにせよ、彼女に聞いてみないと分からない気がする。
「……王女に聞いてみてはどうですか?」
「シェリーさん……わかりました。そうしますか」
ベッドに座っていたギルテット様が立ち上がり、部屋の扉をおそるおそる開けた。そこにはシャミリー王女はおらず侍従が1人いるだけである。
「王女は帰られましたか?」
「いや、別室で待機しています」
「わかりました。では彼女にこう質問してきてくださいませんか? おなかの子は誰だ? とね」
「! か、かしこまりました……!」
侍従は彼女のお腹には気づいていなかったのか、一瞬目を丸くさせるとそのまま廊下を歩いていく。ギルテット様はそのまま扉の付近で待っていた。
大体15分くらい経っただろうか。侍従がこちらへと小走りで帰って来た。
「お待たせしました! わからないという事です……」
「そうですか。父親は分かりませんか」
「いや、自分が妊娠している事についてです」
「は?」
この期に及んでしらばっくれているというのか。
「ギルテット様。直接会いに行って話を聞きましょう!」
「シェリーさん、や、でも……」
「直接問いただした方が良いような気がします!」
……なんだか今分かった事なのだが。私の胸の中でめらめらと炎が燃えているような、そんな感覚がしている。こんな不誠実かもしれない人にギルテット様は渡したくはない。
「行きましょう!」
「シェリーさん落ち着いて! 行きますから!」
という事で私は早足でシャミリー王女のいる部屋へと向かった。
「王女! 失礼いたします!!」
「ちょ、ちょっと何よ! あなたさっきギルテット様のそばにいた女ね?!」
「看護婦のシェリーと申します! あなた結論から言いますと妊娠されておいでですね?」
「ぐっ……ええ、そうよ。看護婦にバレてしまったらしょうがないわね……それの何がいけないのよ」
「父親は? その子の父親ではなく、なぜギルテット様と結婚しようとお思いになったのです?! 包み隠さず仰ってくださいませ!」
今の私はサナトリウムでの父親とのやり取りくらい、興奮しているかもしれない。
「何よ! 看護婦風情が!」
「私を馬鹿にされるようでしたらギルテット様はお許しにはなりませんよ! それに看護婦を侮辱するのは王女としての振る舞いですか!」
シャミリー王女は私の剣幕に徐々に圧倒されてきているようだ。
「わ、わかったわよ……! 全部教えるから! 落ち着きなさいって」
「早く教えてくださいませんか? あ、部屋の外にはギルテット様もいますから嘘はつかないでくれます?」
「や、約束するわ……とりあえず結論から言うとこの子の父親とは結婚できないの。この子の父親には既に正妻がいるから!」
そう来たか。という事は……1つ目の父親が誰だかわからないという可能性は否定された事になる。
「なぜ結婚しないのですか? 王女だから?」
「そうよ。王女だから……それに彼は平民だし。あとギルテット様は王子でしょ? だから私のアクセサリーとしてもいいかなって思ったの。最初はね」
「……最初は? 今はそう思ってないのですか?」
「ええ、この子の父親よりもギルテット様の方が好きかもって思ったの。平民と結婚できないなら王子の方がいいわよねって事。ぽやぽやした考えと言うのは否定しないわ。自分でもそうだと思うもの」
2つ目の可能性が正しかったみたいだ。それにしても彼女のぽやぽやした態度には呆れるばかりだ。
(その父親と結婚するのは無理なのかしら?)
普通ならお腹の子の父親と結婚しよう。という話になるのが自然な流れだと思うのだが……。そうは行かない理由でもあるのだろうか?
私はこの考えをまずは金色の天蓋付きベッドの上に雑に座っている3人へと話してみる。先に口を開いたのはギルテット様だった。
「おそらくですが……2つ。まず1つ目はお腹の子の父親が誰か分からないという事でしょう。2つ目は……父親が平民、もっと言うと奴隷かそれに近い階級なので認知は出来ないという事かと」
「なるほど……」
「王子ぃ、1つ目だったらその……シャミリー王女ってビッチ過ぎませんか?」
「まあ性には奔放という事にはなるでしょうね。誰かが分からないという事ですから。逆を言うと誰か分からないくらい関係を持っているという事になります」
「ギルテット王子、2つ目の可能性は?」
「自分は1つ目の方があり得そうだなとは思います。一応あんな雰囲気の王女がそんな奴隷に一目ぼれだなんて考えにくいんですよね。もしそうだとしたらそもそも俺に求婚します?」
私はこう考える。
まず1つ目。父親が誰だか分からないというのは可能性がありそうだ。とはいえそれならわざわざギルテット様を選ぶのだろうか? 複数の男性と関係を築けるなら自国だけでも引く手あまただろうし。
2つ目は……彼女が奴隷や平民をどのように思っているかによりそうだ。道具としてみているなら欲求不満を解消する為に使い、避妊に失敗した……というストーリーも考えられる。
いずれにせよ、彼女に聞いてみないと分からない気がする。
「……王女に聞いてみてはどうですか?」
「シェリーさん……わかりました。そうしますか」
ベッドに座っていたギルテット様が立ち上がり、部屋の扉をおそるおそる開けた。そこにはシャミリー王女はおらず侍従が1人いるだけである。
「王女は帰られましたか?」
「いや、別室で待機しています」
「わかりました。では彼女にこう質問してきてくださいませんか? おなかの子は誰だ? とね」
「! か、かしこまりました……!」
侍従は彼女のお腹には気づいていなかったのか、一瞬目を丸くさせるとそのまま廊下を歩いていく。ギルテット様はそのまま扉の付近で待っていた。
大体15分くらい経っただろうか。侍従がこちらへと小走りで帰って来た。
「お待たせしました! わからないという事です……」
「そうですか。父親は分かりませんか」
「いや、自分が妊娠している事についてです」
「は?」
この期に及んでしらばっくれているというのか。
「ギルテット様。直接会いに行って話を聞きましょう!」
「シェリーさん、や、でも……」
「直接問いただした方が良いような気がします!」
……なんだか今分かった事なのだが。私の胸の中でめらめらと炎が燃えているような、そんな感覚がしている。こんな不誠実かもしれない人にギルテット様は渡したくはない。
「行きましょう!」
「シェリーさん落ち着いて! 行きますから!」
という事で私は早足でシャミリー王女のいる部屋へと向かった。
「王女! 失礼いたします!!」
「ちょ、ちょっと何よ! あなたさっきギルテット様のそばにいた女ね?!」
「看護婦のシェリーと申します! あなた結論から言いますと妊娠されておいでですね?」
「ぐっ……ええ、そうよ。看護婦にバレてしまったらしょうがないわね……それの何がいけないのよ」
「父親は? その子の父親ではなく、なぜギルテット様と結婚しようとお思いになったのです?! 包み隠さず仰ってくださいませ!」
今の私はサナトリウムでの父親とのやり取りくらい、興奮しているかもしれない。
「何よ! 看護婦風情が!」
「私を馬鹿にされるようでしたらギルテット様はお許しにはなりませんよ! それに看護婦を侮辱するのは王女としての振る舞いですか!」
シャミリー王女は私の剣幕に徐々に圧倒されてきているようだ。
「わ、わかったわよ……! 全部教えるから! 落ち着きなさいって」
「早く教えてくださいませんか? あ、部屋の外にはギルテット様もいますから嘘はつかないでくれます?」
「や、約束するわ……とりあえず結論から言うとこの子の父親とは結婚できないの。この子の父親には既に正妻がいるから!」
そう来たか。という事は……1つ目の父親が誰だかわからないという可能性は否定された事になる。
「なぜ結婚しないのですか? 王女だから?」
「そうよ。王女だから……それに彼は平民だし。あとギルテット様は王子でしょ? だから私のアクセサリーとしてもいいかなって思ったの。最初はね」
「……最初は? 今はそう思ってないのですか?」
「ええ、この子の父親よりもギルテット様の方が好きかもって思ったの。平民と結婚できないなら王子の方がいいわよねって事。ぽやぽやした考えと言うのは否定しないわ。自分でもそうだと思うもの」
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