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第61話 梅がゆと父親がよこした軍医
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沼霧さんにより、部屋に荷物が運ばれる。
そして夕食は、看護婦長が直々に部屋まで持ってきてくれた。
「梅がゆです。あと味噌汁ね」
白い使い古されたお茶碗に入っているのは、麦ごはんのおかゆと梅干しが1つ。そして味噌汁は白味噌仕立てで中には大根とニンジンが入っている。
「ありがとうございます」
「また、お茶碗回収に来ますね」
看護婦長が退出し、1人での夕食となる。
普段。月館島では母親に沼霧さんとあやかし達とで食事をしていた。その時の賑やかさは無い。
(さみしいなあ)
仕方ないが、1人で食べるしか無い。
「頂きます」
まずは味噌汁から頂く。とろみがほんのりとある。白味噌仕立てだからだろうか。
具材は少なめだが、くたくたの大根からは甘味も出ているし、ニンジンも柔らかくて美味しい。
「うん。美味しい」
次に梅がゆ。梅干しを細かくし、種を取り除いて混ぜてから食べる。
梅の酸っぱさが上手く強調されている。だが、美味しさで言えば味噌汁の方が上か。
(おかゆだから仕方ない)
何とか食べ終えると、看護婦長がお茶碗を回収しに部屋に再び戻ってきた。
「ごちそうさまでした」
「完食ね。どうでしたか?」
「お味噌汁美味しかったです。あと梅がゆも」
「そうでしたか。ありがとうございます」
看護婦長がお皿を下げて退出するのを、私はベッドの上から見送っていったのだった。
看護婦長が去って30分程すると、彼女はまた部屋に入ってくる。
「千恵子さん。紹介したいお医者さんがいまして。お時間構いませんか?」
「はい、大丈夫ですが……」
看護婦長に先導されて中に入ってきたのは、若い男性の医者だ。軍服の上からは白衣を羽織っており、髪を七三分けにして長身で美しい顔立ちをしている。
「初めまして。千恵子さん。篝と申します。これから千恵子さんの主治医として勤めてまいりますので、よろしくお願い申し上げます」
彼の物腰の柔らかい態度には好感が持てた。
「よろしくお願いします」
「千恵子さん。篝先生はですね。陸軍の軍医をされてらっしゃる方で、お父様から直々にご指名いただけたんです。あと診察時に当院の医者が失礼な物言いをされたと聞いて、申し訳ありません」
「……あの女医さんですか?」
「そうです。誠に申し訳ございませんでした」
あの、診察室から出る前の物言いか。おそらくは母親が父親に伝えたのだろうか。
まああのいかにもご令嬢ですが?な雰囲気は母親としても思う所があったのだろう。
「わかりました。では今後は篝先生が私を診るという事でよろしいですか?」
「はい。千恵子さん。私が責任をもって診させていただきます」
篝先生はそう言うと、穏やかににこっと笑ったのだった。
そして夕食は、看護婦長が直々に部屋まで持ってきてくれた。
「梅がゆです。あと味噌汁ね」
白い使い古されたお茶碗に入っているのは、麦ごはんのおかゆと梅干しが1つ。そして味噌汁は白味噌仕立てで中には大根とニンジンが入っている。
「ありがとうございます」
「また、お茶碗回収に来ますね」
看護婦長が退出し、1人での夕食となる。
普段。月館島では母親に沼霧さんとあやかし達とで食事をしていた。その時の賑やかさは無い。
(さみしいなあ)
仕方ないが、1人で食べるしか無い。
「頂きます」
まずは味噌汁から頂く。とろみがほんのりとある。白味噌仕立てだからだろうか。
具材は少なめだが、くたくたの大根からは甘味も出ているし、ニンジンも柔らかくて美味しい。
「うん。美味しい」
次に梅がゆ。梅干しを細かくし、種を取り除いて混ぜてから食べる。
梅の酸っぱさが上手く強調されている。だが、美味しさで言えば味噌汁の方が上か。
(おかゆだから仕方ない)
何とか食べ終えると、看護婦長がお茶碗を回収しに部屋に再び戻ってきた。
「ごちそうさまでした」
「完食ね。どうでしたか?」
「お味噌汁美味しかったです。あと梅がゆも」
「そうでしたか。ありがとうございます」
看護婦長がお皿を下げて退出するのを、私はベッドの上から見送っていったのだった。
看護婦長が去って30分程すると、彼女はまた部屋に入ってくる。
「千恵子さん。紹介したいお医者さんがいまして。お時間構いませんか?」
「はい、大丈夫ですが……」
看護婦長に先導されて中に入ってきたのは、若い男性の医者だ。軍服の上からは白衣を羽織っており、髪を七三分けにして長身で美しい顔立ちをしている。
「初めまして。千恵子さん。篝と申します。これから千恵子さんの主治医として勤めてまいりますので、よろしくお願い申し上げます」
彼の物腰の柔らかい態度には好感が持てた。
「よろしくお願いします」
「千恵子さん。篝先生はですね。陸軍の軍医をされてらっしゃる方で、お父様から直々にご指名いただけたんです。あと診察時に当院の医者が失礼な物言いをされたと聞いて、申し訳ありません」
「……あの女医さんですか?」
「そうです。誠に申し訳ございませんでした」
あの、診察室から出る前の物言いか。おそらくは母親が父親に伝えたのだろうか。
まああのいかにもご令嬢ですが?な雰囲気は母親としても思う所があったのだろう。
「わかりました。では今後は篝先生が私を診るという事でよろしいですか?」
「はい。千恵子さん。私が責任をもって診させていただきます」
篝先生はそう言うと、穏やかににこっと笑ったのだった。
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