婚約者を妹に奪われ、家出して薬師になった令嬢は王太子から溺愛される。

二位関りをん

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第8話 夜、またしても

 その後も薬の仕分けに、国王陛下と王妃の為の夜の診察の準備にと追われながらも充実した時間は過ぎていく。
 そして、18時に今日の業務が終了した。

「ジャスミンさん。お疲れ様でした」
「医薬師長。お疲れ様です」
「緊張したでしょう。まさか王太子殿下があのような事をおっしゃるとは……」
「でも、勉強になりました。これからも頑張ります」
「良い心がけです。よろしければ皆と夕食いかがですか?」

 ハイダからそう誘われ、私ははい。と笑顔で返したのだった。

「皆、食堂へ行きましょう!」

 ハイダの号令で、私は薬師達に押されながら食堂に向かって行く。私達が食事をする食堂は、宮廷で働く者達専用の食堂となる。

「わあ……」

 実家の食堂よりも広い。長机も長い。とにかく長い。あちこちにメイドら宮廷で働く者達が食事をしている。
 ちなみに利用方法はまずトレイを取り、厨房にいるコックから食事を受け取る仕組みだ。
 
(シチュー美味しそう)

 今日の夕食は具沢山のビーフシチュー。そして茹で野菜にパン。小さな白いケーキもある。
 私はハイダから誘われ、彼女の隣に座った。

「うーん、美味しい!」

 ビーフシチューは味がしっかりしており、お肉も大きくてとても美味しい。

「ジャスミンさん、美味しそうに食べるのね」
「活き活きしていていいわあ」

 と、周りの薬師から言われると照れくささからかなんだか身体が熱くなる。

「は、はは……」
「ちょっと、ジャスミンさん困ってるわよ」

 その後もハイダやメラニー、薬師らと語らいつつ食事を頂いたのだった。
 夕食後は、宮廷で働く者達専用のシャワールームで汗を流して自室で薬や薬草に関する本を読み、勉強する。

(まだまだ勉強しないと……)

 もう気がつけば夜。消灯時間も過ぎている。

(そろそろ寝ないと)

 明日に備え、寝る準備をしていると窓からこんこんと音が聞こえてくる。窓の向こうにはアダン様がいた。

「アダン様……?」

 私は部屋の扉の鍵を締めてから、窓を開けた。誰かが入って来てこの場を見られたら……と思うとリスクは避けたい。

「何かありましたか?」
「昨日の事覚えてない?」
「え」
「明日も来るって言ったでしょ?」

 猫のような動きで部屋に入ってきたアダン様は、そう言って力強く私を抱き寄せる。
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