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第17話 ユングミル城への同行と昔話
「私が、避暑地へ同行ですか?」
私が宮廷で薬師として働き始めて大体1ヶ月が過ぎた朝。この話をハイダから聞いた時は、さすがに驚きを隠せられなかった。
「王太子殿下専属の薬師という事で、王太子殿下自らジャスミンさんの同行を願いたいと」
「そ、そうですか……あの、私で大丈夫なのか……」
「私も同行いたしますから大丈夫ですよ。心配なさらず」
「あっす、すみません……」
王族は夏になると夏は涼しい気候である北部のユングミル城という名の別荘へ移動し、そこで休暇を取ったり職務に励んだりする。
期間は大体2、3週間ほどでその間はごくわずかなメイドや医師、薬師らも同行する事になっているのだ。勿論ではあるがユングミル城で働くメイドや執事も何人かいる。
その同行に私が新人ながらも抜擢されたのだった。ハイダ曰く新人が抜擢されるのは、珍しい事だという。
「王太子殿下には何かお考えがあるのでしょう。それに良い勉強の機会にもなりましょう。何かありましたら私もいますから頼ってください」
「あっ、ありがとうございます!」
まさか、私がアダン様の専属薬師に任命されたとはいえユングミル城に同行出来るとは思わなかった。それに、ユングミル城は幼い頃に一度行った事がある。
(そういえば……)
私がユングミル城に行ったのは、4歳の頃。この時は父親と私だけで、母親と当時まだ赤ん坊だった妹のジュナはお屋敷に留まっていた。
「綺麗……!」
ユングミル城は広大な芝生と森の中にぽつんとある、巨大な城だ。見事に左右対称に区画整備された庭園の真ん中には王家の紋章の形に木が植わっており、野鳥が伸び伸び暮らす透明度の高い池、そして城の裏で花が迷路のように生い茂る風景は今も脳裏に焼き付いている。
「あら?」
私が1人でこの城の裏の花畑に行った時の事だった。確か父親は城で王族や貴族達とパーティーに出ていたか。
「うわああーーん……」
花畑の迷路の中で、うずくまって泣いている金髪の男の子を見つけた。私とそこまで年齢の変わらなさそうな雰囲気で、服装もシャツにジャケット、ズボンと見るからに高貴そうな装いをしていた。
「大丈夫?」
私が声をかけた時、彼の右膝が擦りむいて出血しているのが見えた。
「転んだの?」
男の子は泣きじゃくりながら、大きく首を縦に振った。
私はとりあえず止血出来るものを探した結果、ポケットに入っていたハンカチーフを取り出して彼の右膝に巻いてあげたのだった。
「ジャスミンがいるから大丈夫。痛いの痛いのとんでけ!」
私がそうおまじないをすると、男の子は泣き止んだ。そして目を丸くさせながらなんとか立ち上がったのだった。
「もう大丈夫?」
「……うん!」
「ジャスミンのハンカチーフ、返さなくてもいいわよ」
そういや、この時は自分の事をジャスミン呼びしてたのを思い出した。一丁前に貴族の令嬢振っていたな。
結局その男の子はありがとう。と一言告げた後は、その場から立ち去っていったのだった。
私が宮廷で薬師として働き始めて大体1ヶ月が過ぎた朝。この話をハイダから聞いた時は、さすがに驚きを隠せられなかった。
「王太子殿下専属の薬師という事で、王太子殿下自らジャスミンさんの同行を願いたいと」
「そ、そうですか……あの、私で大丈夫なのか……」
「私も同行いたしますから大丈夫ですよ。心配なさらず」
「あっす、すみません……」
王族は夏になると夏は涼しい気候である北部のユングミル城という名の別荘へ移動し、そこで休暇を取ったり職務に励んだりする。
期間は大体2、3週間ほどでその間はごくわずかなメイドや医師、薬師らも同行する事になっているのだ。勿論ではあるがユングミル城で働くメイドや執事も何人かいる。
その同行に私が新人ながらも抜擢されたのだった。ハイダ曰く新人が抜擢されるのは、珍しい事だという。
「王太子殿下には何かお考えがあるのでしょう。それに良い勉強の機会にもなりましょう。何かありましたら私もいますから頼ってください」
「あっ、ありがとうございます!」
まさか、私がアダン様の専属薬師に任命されたとはいえユングミル城に同行出来るとは思わなかった。それに、ユングミル城は幼い頃に一度行った事がある。
(そういえば……)
私がユングミル城に行ったのは、4歳の頃。この時は父親と私だけで、母親と当時まだ赤ん坊だった妹のジュナはお屋敷に留まっていた。
「綺麗……!」
ユングミル城は広大な芝生と森の中にぽつんとある、巨大な城だ。見事に左右対称に区画整備された庭園の真ん中には王家の紋章の形に木が植わっており、野鳥が伸び伸び暮らす透明度の高い池、そして城の裏で花が迷路のように生い茂る風景は今も脳裏に焼き付いている。
「あら?」
私が1人でこの城の裏の花畑に行った時の事だった。確か父親は城で王族や貴族達とパーティーに出ていたか。
「うわああーーん……」
花畑の迷路の中で、うずくまって泣いている金髪の男の子を見つけた。私とそこまで年齢の変わらなさそうな雰囲気で、服装もシャツにジャケット、ズボンと見るからに高貴そうな装いをしていた。
「大丈夫?」
私が声をかけた時、彼の右膝が擦りむいて出血しているのが見えた。
「転んだの?」
男の子は泣きじゃくりながら、大きく首を縦に振った。
私はとりあえず止血出来るものを探した結果、ポケットに入っていたハンカチーフを取り出して彼の右膝に巻いてあげたのだった。
「ジャスミンがいるから大丈夫。痛いの痛いのとんでけ!」
私がそうおまじないをすると、男の子は泣き止んだ。そして目を丸くさせながらなんとか立ち上がったのだった。
「もう大丈夫?」
「……うん!」
「ジャスミンのハンカチーフ、返さなくてもいいわよ」
そういや、この時は自分の事をジャスミン呼びしてたのを思い出した。一丁前に貴族の令嬢振っていたな。
結局その男の子はありがとう。と一言告げた後は、その場から立ち去っていったのだった。
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