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第76話 深手
すぐに私は医師を呼んだ。医師は近くに控えていたらしく兵と共に急いで駆け寄ってくる。群衆はアダン様の勝利を祝い彼の近くに来ようとしていたが、兵がそれを阻止している。
医師と私の要請で担架が運ばれ、2人はそれぞれ兵の手によって乗せられ移動していく。
「ジョージ・ヨージス殿は既に亡くなっています」
「そうですか……」
ジョージの死亡宣告。それを聞いた私は1つ頷く。そして気を失っているアダン様に対して、頬や肩をパチパチと手で叩いて刺激を与えて起こそうと試みると、担架の上でゆっくりと目を開いてくれた。
「し、ジャスミン……」
「アダン様、しっかり! 誰か、包帯を! 早く!」
医師からも気を確かに! と大きな声で告げられる。彼の意識は見るからに不安定だ。兵が包帯を持って来てくれたのですぐに止血を施す。
「はあっ……」
「アダン様。気を確かに持ってください!」
「そうだ、ね……ジャスミン……」
アダン様は急ぎ、宮廷へと運ばれた。ジョージの遺体はそのままヨージス家の屋敷へと移送された。私達含めて医師と薬師が全員駆けつけ、彼が着用している鎧を外すのと同時に傷の手当が行われる。
アダン様は何とか意識を繋いでいる。時折苦しそうにうめき声を上げ、痛そうにしているのを見た私は気つけ薬と共に痛み止めの薬も彼に飲ませた。痛みを取り除けられたら多少は楽になれるはずだ。
「はあーーっ……」
「アダン様、どうですか?」
「少しは楽になったかな。ありがとう、ジャスミン」
「いえ。ウィリアさん。新たな包帯をお願い」
「分かりました」
包帯は数時間置きに取り替えなくてはならない。アダン様の血で溢れた包帯を解いて、止血薬を塗り新しい包帯を新たに巻く。その繰り返しだ。私は医薬師長として、ずっと彼のそばにつく。アダン様の為にも薬師としても彼のそばから離れる訳にはいかない。
薬師になったばかりの私なら臆していたかもしれない。だが今はその時から立場も意思も変わったのだ。
(眠さも食欲も感じない)
「ジャスミン……」
「どうなさいました?」
「頭がふわふわする……」
出血のせいか彼は貧血の症状が新たに現れ始めたので、私は貧血に効果がある薬を更にアダン様に飲ませ、更にお肉をしっかりと食べてもらうように進言した。薬だけでは追いつかないと判断したからだ。
(薬だけでは駄目だ。しっかり食べて食材からも摂取してもらわないと)
「アダン様、好きな肉料理はありますか?」
「そうだな……ローストとか?」
「ではそれをお出しします。メイドの方々。厨房へ注文をお願いします。出来れば柔らかめで」
「かしこまりました」
時折アダン様の右手を握りながら、私は早く傷が塞がるように神へと祈りを捧げる。
医師と私の要請で担架が運ばれ、2人はそれぞれ兵の手によって乗せられ移動していく。
「ジョージ・ヨージス殿は既に亡くなっています」
「そうですか……」
ジョージの死亡宣告。それを聞いた私は1つ頷く。そして気を失っているアダン様に対して、頬や肩をパチパチと手で叩いて刺激を与えて起こそうと試みると、担架の上でゆっくりと目を開いてくれた。
「し、ジャスミン……」
「アダン様、しっかり! 誰か、包帯を! 早く!」
医師からも気を確かに! と大きな声で告げられる。彼の意識は見るからに不安定だ。兵が包帯を持って来てくれたのですぐに止血を施す。
「はあっ……」
「アダン様。気を確かに持ってください!」
「そうだ、ね……ジャスミン……」
アダン様は急ぎ、宮廷へと運ばれた。ジョージの遺体はそのままヨージス家の屋敷へと移送された。私達含めて医師と薬師が全員駆けつけ、彼が着用している鎧を外すのと同時に傷の手当が行われる。
アダン様は何とか意識を繋いでいる。時折苦しそうにうめき声を上げ、痛そうにしているのを見た私は気つけ薬と共に痛み止めの薬も彼に飲ませた。痛みを取り除けられたら多少は楽になれるはずだ。
「はあーーっ……」
「アダン様、どうですか?」
「少しは楽になったかな。ありがとう、ジャスミン」
「いえ。ウィリアさん。新たな包帯をお願い」
「分かりました」
包帯は数時間置きに取り替えなくてはならない。アダン様の血で溢れた包帯を解いて、止血薬を塗り新しい包帯を新たに巻く。その繰り返しだ。私は医薬師長として、ずっと彼のそばにつく。アダン様の為にも薬師としても彼のそばから離れる訳にはいかない。
薬師になったばかりの私なら臆していたかもしれない。だが今はその時から立場も意思も変わったのだ。
(眠さも食欲も感じない)
「ジャスミン……」
「どうなさいました?」
「頭がふわふわする……」
出血のせいか彼は貧血の症状が新たに現れ始めたので、私は貧血に効果がある薬を更にアダン様に飲ませ、更にお肉をしっかりと食べてもらうように進言した。薬だけでは追いつかないと判断したからだ。
(薬だけでは駄目だ。しっかり食べて食材からも摂取してもらわないと)
「アダン様、好きな肉料理はありますか?」
「そうだな……ローストとか?」
「ではそれをお出しします。メイドの方々。厨房へ注文をお願いします。出来れば柔らかめで」
「かしこまりました」
時折アダン様の右手を握りながら、私は早く傷が塞がるように神へと祈りを捧げる。
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