後宮の手かざし皇后〜盲目のお飾り皇后が持つ波動の力〜

二位関りをん

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第77話 感謝

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 一方その頃。美華はまたも御仏の元に呼ばれていた。御仏の大きさは先ほどと同じままだが、周囲の景色はいつも夢で呼ばれるものと同じである。

「ははっ。呼ばれちゃいましたか。いつ見てもこの光景は落ち着きますね」
「ありがとうございます。あなたにお伝えしたい事があるのを忘れておりました」
「お伝えしたい事、ですか?」

 御仏はさっそく波動の力を使ってみてください。と美華に告げる。
 美華は祠近くの雑草を引っこ抜くとそこに波動の力を当てた。すると引っこ抜かれた雑草は黄金の光を纏いながら、美華に引っこ抜かれる前に植わっていた地面へと帰っていく。

「黄金の光が……」
「そうです。あの飴には私の力がたくさん込められていました」

 波動の力がより強化され、かつ邪龍の鱗を浄化させながら美華に得する部分だけは御仏の力として上書きした状態で残してあるらしい。

「ちょっと性質が変わると言っていましたが、そう言う事だったのですね」
「はい。改造みたいなものでしょうかね」

 ほほう……。と学者のような反応を見せる美華に対して更に御仏は続ける。

「少しだけなら、黒い泥も波動の力で消滅できます。これを伝えたかったのです」
「そうなのですか!?」

 驚く美華に、御仏は忘れていました……。と申し訳なさそうに漏らす。そんな御仏のいつもとは違う焦燥感を美華は敏感に感じ取っていた。

「まあ、そんな事もございますよ。今は大変な時期ですから焦ったりして猶更です。黒い泥に波動の力を当てたらいいんですね?」
「はい。あの巨人に当てたら消滅します」
「ふむふむ……」
「早速実践してみてください。また何かありましたらお呼びしますのでご了承を」

 美華は遠慮なくどうぞ。と返すと御仏は穏やかに笑うのだった。

「美華。私はあなたがとても面白い存在だと見ています」

 面白い存在と言われた美華。どうやら予想外の評価だったらしい。

「あなたは龍の国を大きく変えた。国の宝と呼べる存在になりました」
「……」
「波動の力とあなたの目を交換した事で、ここまでこの国が大きく変わる事になるなんて……」

 感慨深いように話す御仏に、美華は私はまだまだ満足していません。と胸のうちを語った。

「まだまだこれからです。私は」
「あなたならそうおっしゃると思いました」
「……なぜ?」
「そんな気がしたからです」

 長話になりましたね。と苦笑する御仏に、長話になっても構いませんよ。と美華は答える。

「ありがとうございます。美華。あなたに感謝を」
「どういたしまして……でも、本当にまだまだこれからです。まずは邪龍の死体を再封印しないと」

 美華の決意を聞き届けた御仏は笑みを浮かべながら、彼女を現実の世界へと戻したのだった。

「……む、何か起きてますね。力の見せ所でしょうか」

 美華はゆっくりと起き上がると、寝床の外に出た。
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