世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない

二位関りをん

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第12話 騎士団長様の性癖②

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 その後もレイルド様の話は静かに続いた。
 彼が通っていた貴族学校は恋愛禁止の校則があり婚約も卒業後と決められていた。教室も男子と女子とでそれぞれ分かれていたらしい。
 男子だけを集めて行われた閨教育では、女性の身体を触るのは初夜の時からと性に対して厳格な環境下で過ごしてきたのが如実に理解できた。

「お厳しい環境でお過ごしになられたのですね」
「そうかもしれないな。君は?」
「私はここで暮らしておりました」
「そうか……羨ましいな。我慢しか選択肢がなかったから」

 彼の話を聞く限り、嗜好を発揮できず、解消する術も無かったという事か。 
 レイルド様はあちこち視線を動かしていたが、最終的に私の顔に視点を合わしてくれる。

「俺の自制心もこうして強くなったのかもしれない」
「なるほど」
 
 やり場のない性衝動が溜まり……やがて魔力暴走を引き起こしていた。
 だが、ここで私はある事を思いつく。
 性衝動は溜まるとメンタルなどの精神に影響を及ぼすのだ。性器に直接症状が出る事例は無い……はずだが。

 もしかしたら、彼の強烈な自制心が、精神に影響を及ぼすのを阻止したのかもしれない。
 精神に症状が出なかった理由として、これなら説明がつくはずだ。

「心と身体のズレ、というやつですね……」
「それともうひとつ。実はこの俺の性癖は……実家に代々伝わる呪いなんだ」
「呪い?」
「ブリアント家代々伝わる言い伝えでな。黒髪に紫色の目を持つ者が生まれたら、その子は呪いを受ける事になる。と予言があるのだ」

 改めて私はレイルド様の髪と目に視線を合わせた。

「珍しいお色だなとは思いますが」
「そうだろう? 呪いは、的中したんだ。こんな淫らな嗜好から逃れられないという呪いだ」
「ちなみに、どのようにして呪いに気がついたんです?」
「半年前だ。南方への遠征先の事だった」

 レイルド様は馬に跨り、部下達を引き連れて砦へと移動していた。
 途中たまたま通りがかったと思わしき占い師の老婆に引き留められ、占わせてほしいと懇願されたそうだ。

「そしたらその婆さんにそう告げられた。ああ、俺の呪いはこの事だったんだと」
「……呪いについては、どなたかには」
「もちろん誰にも言っていない」

 レイルド様の迷いの無い視線を浴びた瞬間、ほっとした安堵と共に、一体どうして私に打ち明けてくれたのかと疑問が湧き出した。

「あの、どうして?」

 レイルド様はほんの少し目を閉じ、再び紫色の瞳を輝かせた。
 彼の瞳から、逃げられない。なぜだかは分からないが、目をそらせないのだ。

「……俺の為にここまで献身的に接してくれている君には言っても大丈夫かな、って先ほど考えてな。それに自分を研究対象としても良いかとも思ったんだ」
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