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第11話 騎士団長様の性癖①
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「女性の、胸が好き?」
女性と男性では胸の形や大きさは違う。女性の方はたおやかな肉感と丸み、そして柔らかさが加わった乳房と呼ばれるもので、男性は胸筋が発達している人はしている……という具合だ。
そして女性は子を産めば乳頭から白濁した乳汁、いわば母乳が分泌される。この母乳は赤ん坊にとっては大変重要な食料であるのだ。
あとは、昔、薬師達が若返りの魔法薬を作っていた時に高貴な女性の母乳を盗み入れた……なんて噂話をタタおばあさんから聞いたのを思い出す。
「そうなんだ。俺は女性の胸……乳房が好きなんだ」
「例えば、どこがお好きなのでしょう?」
「一番重視しているのは形だな。温かみがあって、柔らかくて、丸みもあって……彫刻や絵画のような乳房を見ていると、喉の奥から感嘆と快感があふれ出してくるんだ」
レイルド様が流ちょうに語っているのを見ていると、彼の目の奥から熱意がしっかり伝わって来ている気がした。
「でも、女性の乳房が好きだと公言するのは、はしたなくて淫らな事。だから俺はずっと我慢してきたんだ」
「えっ、はしたなくて淫らな事なのですか?」
するとレイルド様の顔がぼっと真っ赤に染めあがった。
「当たり前だろう! 性に関する話題なのだぞ……!」
「でも、女性の乳房は身体の一部ではないですか? それに母乳は赤ん坊にとっては欠かせないものですし」
ぐぐぐっ……と声にならない声を出してうろたえているレイルド様を見て、私は何かしてしまったのかと頭の中をぐるぐる巡らせるが、この場を収めるべき言葉が見つからない。
「くっ……ダメだ、話に戻る。俺が女性の乳房が好きだと気がついたのは5歳の頃だ。家族で王宮内にある美術館に行ったんだ。そしたら半裸の女神が描かれている絵を見て、好きだと気がついてしまったんだ……」
「女神、ですか?」
「ああ。顔のない女神だった」
顔のない女神はエルドランド王国で古くから伝わる地母神のひとりで、タタおばあさんの話だとそういう表現がなされる例が多いんだっけ?
抱いていた疑問をぶつけてみると、レイルド様は「確かにそうらしいな」と小さく呟いた。
「首の下から垂れ下がる肉……乳房は形が綺麗に整っていて、柔らかさと肉感と圧力がこれでもかという位に入り混じっていた。そして下の方には桃色に染まる乳首と乳輪が鎮座していて、あの迫力と衝撃は今でも忘れられない。言語化しにくいが、とにかくすごかったんだ」
つらつらと言葉を吐きだす彼の声音には、熱湯の如き熱が宿っていた。それらの熱に殴りつけられるかのように興奮が感じられる。
……そんなに衝撃的だったのか。
「その後数日間、俺の脳内はあの女神の乳房と乳首で占拠されてしまっていた。あれに触りたい。ぬくもりを得たい……と。今思うと、その時の俺はただ母性を求めていたのかもしれない。俺の実母は俺を産んだ直後に亡くなったからな」
それを聞いて私の身体は雷に打たれたかのような衝撃を受ける。
出産直後というのなら、ここにレイルド様が元気に存在しているのはとっても奇跡的だからだ。
「そうだったのですか?! えっと、どうやって……!」
赤ん坊は出産直後から数日間出る初乳を飲まないと、元気に育たないとされている。特に魔力を持つ上級貴族以上の身分となると、魔力の含まれた初乳を摂取しなければ魔力が枯渇又は発現せず、最悪の場合死に至る場合だってあるのだ。
たとえば上級貴族出身とはいえ妾など正妻ではない母親から生まれた子が、不遇な環境下の元誕生し初乳が与えられなかったために魔力が発現せず、捨て駒の如くこき使われ酷い扱いを受ける……なんて話はタタおばあさんからしょっちゅう聞いている。
このパターンで生まれた女性の場合、稀に高貴な身分の殿方の目に留まり治療を受けて魔力を使えるようになる話もあるようだが。
とにかく、レイルド様にはどうやって処置を施されたのだろうか?
「ああ……出産直後、出血が収まらなくて急変したそうだ。それもあってか俺は乳母の乳で育ったと父上から聞いている」
「えっと、初乳は?」
「実は俺の乳母は実母の妹に当たる人物でな。王家でも乳母を務めた人物だったらしく、彼女のおかげで今俺はここにいると言えよう」
「確かに、血縁の方でしたら魔力の拒否反応も起こりませんからね……なるほど、なるほど……」
彼女の力添えもあって、レイルド様は病気にかかる事無く順調に育ったそうだ。
しかし、何かを思い出したのか彼の顔はす――っと曇っていく。
「あの、レイルド様……?」
「美術館を訪れてから1週間位経った時だったか。俺の部屋にやってきた義母を出迎えようとしたら足を滑らせてしまったんだ。その時に彼女の胸を誤って掴んでしまったんだが……」
「あっ……そ、それで……あ、お怪我はなかったのですか?」
「怪我はなかった。だが、義母からはそんな所を触ってはいけない! はしたない! と怒られてしまったんだ。この時は意図的なものではなかったが、それで乳房に触れたいと願う俺は異端かもしれない。と察してしまって……」
レイルド様の顔は暗く曇ったまま。
それだけ自分がアブノーマルである事に悲しみを抱いているのだろう。
女性と男性では胸の形や大きさは違う。女性の方はたおやかな肉感と丸み、そして柔らかさが加わった乳房と呼ばれるもので、男性は胸筋が発達している人はしている……という具合だ。
そして女性は子を産めば乳頭から白濁した乳汁、いわば母乳が分泌される。この母乳は赤ん坊にとっては大変重要な食料であるのだ。
あとは、昔、薬師達が若返りの魔法薬を作っていた時に高貴な女性の母乳を盗み入れた……なんて噂話をタタおばあさんから聞いたのを思い出す。
「そうなんだ。俺は女性の胸……乳房が好きなんだ」
「例えば、どこがお好きなのでしょう?」
「一番重視しているのは形だな。温かみがあって、柔らかくて、丸みもあって……彫刻や絵画のような乳房を見ていると、喉の奥から感嘆と快感があふれ出してくるんだ」
レイルド様が流ちょうに語っているのを見ていると、彼の目の奥から熱意がしっかり伝わって来ている気がした。
「でも、女性の乳房が好きだと公言するのは、はしたなくて淫らな事。だから俺はずっと我慢してきたんだ」
「えっ、はしたなくて淫らな事なのですか?」
するとレイルド様の顔がぼっと真っ赤に染めあがった。
「当たり前だろう! 性に関する話題なのだぞ……!」
「でも、女性の乳房は身体の一部ではないですか? それに母乳は赤ん坊にとっては欠かせないものですし」
ぐぐぐっ……と声にならない声を出してうろたえているレイルド様を見て、私は何かしてしまったのかと頭の中をぐるぐる巡らせるが、この場を収めるべき言葉が見つからない。
「くっ……ダメだ、話に戻る。俺が女性の乳房が好きだと気がついたのは5歳の頃だ。家族で王宮内にある美術館に行ったんだ。そしたら半裸の女神が描かれている絵を見て、好きだと気がついてしまったんだ……」
「女神、ですか?」
「ああ。顔のない女神だった」
顔のない女神はエルドランド王国で古くから伝わる地母神のひとりで、タタおばあさんの話だとそういう表現がなされる例が多いんだっけ?
抱いていた疑問をぶつけてみると、レイルド様は「確かにそうらしいな」と小さく呟いた。
「首の下から垂れ下がる肉……乳房は形が綺麗に整っていて、柔らかさと肉感と圧力がこれでもかという位に入り混じっていた。そして下の方には桃色に染まる乳首と乳輪が鎮座していて、あの迫力と衝撃は今でも忘れられない。言語化しにくいが、とにかくすごかったんだ」
つらつらと言葉を吐きだす彼の声音には、熱湯の如き熱が宿っていた。それらの熱に殴りつけられるかのように興奮が感じられる。
……そんなに衝撃的だったのか。
「その後数日間、俺の脳内はあの女神の乳房と乳首で占拠されてしまっていた。あれに触りたい。ぬくもりを得たい……と。今思うと、その時の俺はただ母性を求めていたのかもしれない。俺の実母は俺を産んだ直後に亡くなったからな」
それを聞いて私の身体は雷に打たれたかのような衝撃を受ける。
出産直後というのなら、ここにレイルド様が元気に存在しているのはとっても奇跡的だからだ。
「そうだったのですか?! えっと、どうやって……!」
赤ん坊は出産直後から数日間出る初乳を飲まないと、元気に育たないとされている。特に魔力を持つ上級貴族以上の身分となると、魔力の含まれた初乳を摂取しなければ魔力が枯渇又は発現せず、最悪の場合死に至る場合だってあるのだ。
たとえば上級貴族出身とはいえ妾など正妻ではない母親から生まれた子が、不遇な環境下の元誕生し初乳が与えられなかったために魔力が発現せず、捨て駒の如くこき使われ酷い扱いを受ける……なんて話はタタおばあさんからしょっちゅう聞いている。
このパターンで生まれた女性の場合、稀に高貴な身分の殿方の目に留まり治療を受けて魔力を使えるようになる話もあるようだが。
とにかく、レイルド様にはどうやって処置を施されたのだろうか?
「ああ……出産直後、出血が収まらなくて急変したそうだ。それもあってか俺は乳母の乳で育ったと父上から聞いている」
「えっと、初乳は?」
「実は俺の乳母は実母の妹に当たる人物でな。王家でも乳母を務めた人物だったらしく、彼女のおかげで今俺はここにいると言えよう」
「確かに、血縁の方でしたら魔力の拒否反応も起こりませんからね……なるほど、なるほど……」
彼女の力添えもあって、レイルド様は病気にかかる事無く順調に育ったそうだ。
しかし、何かを思い出したのか彼の顔はす――っと曇っていく。
「あの、レイルド様……?」
「美術館を訪れてから1週間位経った時だったか。俺の部屋にやってきた義母を出迎えようとしたら足を滑らせてしまったんだ。その時に彼女の胸を誤って掴んでしまったんだが……」
「あっ……そ、それで……あ、お怪我はなかったのですか?」
「怪我はなかった。だが、義母からはそんな所を触ってはいけない! はしたない! と怒られてしまったんだ。この時は意図的なものではなかったが、それで乳房に触れたいと願う俺は異端かもしれない。と察してしまって……」
レイルド様の顔は暗く曇ったまま。
それだけ自分がアブノーマルである事に悲しみを抱いているのだろう。
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