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第9.5話「ある鬼の夢」(2021年エイプリルフール企画)
おまけ「目覚め」
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「これにて、一件落着!」
「良かったね、モモちゃん」
「うん! お兄さんが思う存分練習出来て、嬉しい!」
帰り道、今日は珍しく陽斗お兄ちゃんと二人きりだった。
蒼劔お兄ちゃんは異種格闘技戦での活躍(?)のおかげで、色んな生徒から黒縄お兄ちゃんの写真を求められるようになったので、こっそり売りさばくのに忙しいみたい。私は陽斗お兄ちゃんと一緒に帰れるから嬉しいけどね!
「……ねぇ、陽斗お兄ちゃん」
「なぁに? モモちゃん」
私はずっと陽斗お兄ちゃんに言いたかったことを言った。
「私……これからもずっと、陽斗お兄ちゃんと一緒にいたい。真紅お兄ちゃんや月音お姉ちゃん、他のみんなともずっと……だから陽斗お兄ちゃん、私とずっと一緒にいてくれる?」
……これは告白じゃない。陽斗お兄ちゃんが私や真紅お兄ちゃん達とずっと一緒にいて欲しいっていう願望。
いつかきっと離れ離れになる日は来るけど、それでも「いいよ」って答えて欲しかった。
陽斗お兄ちゃんは少し考えてから、答えた。
「それは……"君"次第かな」
「私次第?」
夕日が沈み、空が深い青へと染まっていく。
陽斗お兄ちゃんは紺色の空を背に、私に微笑んだ。
「だって、この世界は"君"が見ている夢だから。そして……現実のこれからを決めるのも、"君"だから」
私に向けられているはずの陽斗お兄ちゃんの目には、紺太郎お兄ちゃんの姿が映っていた。
「勝手にすればいい。俺は最初から、お前を信用していない」
陽斗お兄ちゃんは真紅お兄ちゃんに姿を変え、私を冷たく見下ろす。私ではない誰かを蔑む、憎悪の色に染まった瞳だった。
「うん……知ってた」
私……いや、俺は力なく笑った。
「それでも、お前と笑い合う夢くらいは見てもいいだろ? 現実では叶わないって分かってんだから」
「……叶っていたさ。お前が馬鹿なことを考えさえしなければな」
真紅も悲しげに笑い、目を伏せた。
俺が本当に得たかったものは、何だったのだろうか……考えても仕方ない。
現実に戻れば、全て忘れてしまうのだから。
・
紺太郎は玄関のドアを激しく叩かれる音で目を覚ました。
「紺太郎、起きろ! 今すぐここから逃げるぞ!」
「うるせぇな……」
渋々、起き上がる。目では見ずとも、外に真紅達が来ているのは分かっていた。
目の辺りが濡れているのに気づき、指で触れると、何故か涙を流していた。
「なんか……すっげぇ馬鹿馬鹿しくて、少し寂しい気分になる夢を見た気がする。覚えてねぇけど」
寝巻きの袖で涙を拭い、起き上がる。
覚えていないのだから、さほど大事な夢ではなかったのだと思い込んだ。
「……んだよ、こんな時間に遊びに来やがって」
紺太郎はわざとらしく大きく欠伸をしながら、玄関のドアを開いた。
(2021年エイプリル・フール企画 第9.5話「ある鬼の夢」終わり)
「良かったね、モモちゃん」
「うん! お兄さんが思う存分練習出来て、嬉しい!」
帰り道、今日は珍しく陽斗お兄ちゃんと二人きりだった。
蒼劔お兄ちゃんは異種格闘技戦での活躍(?)のおかげで、色んな生徒から黒縄お兄ちゃんの写真を求められるようになったので、こっそり売りさばくのに忙しいみたい。私は陽斗お兄ちゃんと一緒に帰れるから嬉しいけどね!
「……ねぇ、陽斗お兄ちゃん」
「なぁに? モモちゃん」
私はずっと陽斗お兄ちゃんに言いたかったことを言った。
「私……これからもずっと、陽斗お兄ちゃんと一緒にいたい。真紅お兄ちゃんや月音お姉ちゃん、他のみんなともずっと……だから陽斗お兄ちゃん、私とずっと一緒にいてくれる?」
……これは告白じゃない。陽斗お兄ちゃんが私や真紅お兄ちゃん達とずっと一緒にいて欲しいっていう願望。
いつかきっと離れ離れになる日は来るけど、それでも「いいよ」って答えて欲しかった。
陽斗お兄ちゃんは少し考えてから、答えた。
「それは……"君"次第かな」
「私次第?」
夕日が沈み、空が深い青へと染まっていく。
陽斗お兄ちゃんは紺色の空を背に、私に微笑んだ。
「だって、この世界は"君"が見ている夢だから。そして……現実のこれからを決めるのも、"君"だから」
私に向けられているはずの陽斗お兄ちゃんの目には、紺太郎お兄ちゃんの姿が映っていた。
「勝手にすればいい。俺は最初から、お前を信用していない」
陽斗お兄ちゃんは真紅お兄ちゃんに姿を変え、私を冷たく見下ろす。私ではない誰かを蔑む、憎悪の色に染まった瞳だった。
「うん……知ってた」
私……いや、俺は力なく笑った。
「それでも、お前と笑い合う夢くらいは見てもいいだろ? 現実では叶わないって分かってんだから」
「……叶っていたさ。お前が馬鹿なことを考えさえしなければな」
真紅も悲しげに笑い、目を伏せた。
俺が本当に得たかったものは、何だったのだろうか……考えても仕方ない。
現実に戻れば、全て忘れてしまうのだから。
・
紺太郎は玄関のドアを激しく叩かれる音で目を覚ました。
「紺太郎、起きろ! 今すぐここから逃げるぞ!」
「うるせぇな……」
渋々、起き上がる。目では見ずとも、外に真紅達が来ているのは分かっていた。
目の辺りが濡れているのに気づき、指で触れると、何故か涙を流していた。
「なんか……すっげぇ馬鹿馬鹿しくて、少し寂しい気分になる夢を見た気がする。覚えてねぇけど」
寝巻きの袖で涙を拭い、起き上がる。
覚えていないのだから、さほど大事な夢ではなかったのだと思い込んだ。
「……んだよ、こんな時間に遊びに来やがって」
紺太郎はわざとらしく大きく欠伸をしながら、玄関のドアを開いた。
(2021年エイプリル・フール企画 第9.5話「ある鬼の夢」終わり)
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