知らない世界はお供にナビを

こう7

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サルサでのんびり

終わって終わる

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呆れ7割怒り4割のマール様がカエデ犬に施しをお与えなさって下さる。
有り難や有り難や。

正直、飯抜きを言い渡されるか生ゴミに近い野菜の切れ端をお与えになるかと覚悟をしていたけれどマール様はやはり神様でした。

『ご主人様の覚悟が極端過ぎます。少し前まで学生だった方とは思えません。』

だって異世界だもん。
力の無い女の子が見知らぬ世界で生きるにはそれぐらいの覚悟はいるでしょう。

なっちゃんにそう伝えたいけれど、今喋れば変人の称号がついてしまう。

『もう変人は手遅れかと。言い伝え忘れておりましたが、ご主人様の心の声も分かりますので口に出さなくても会話は可能です。』

新たな事実。
もしそうなら今までの私の乙女心全て見られてたってこと?

『そうですね。ご主人様の崇高で残念な乙女心はしっかりと把握しております。』

それは恥ずかしい。
けれど、何でも知っているなっちゃんに何かを隠すなんて到底無理。
諦めよう。恥じらいはあっても読まれて困ることなんて無いしね。

『本当にご主人様は無さそうですから凄いです。』

そう?ありがとう。


なっちゃんとの新しいコミュニケーション方法を会得したカエデの前に料理が並べられていく。
マール神は並べ終えたら大人しく食べなと一言残して去って行った。私の信用度もなかなかのもんだぜ。


何かの肉が焼かれ色とりどりの野菜が添えられた料理とかぼちゃ色のスープ、籠に入れられたフランスパンもどき。

事前のみっちゃん知識では、異世界の料理は地球に比べたら何段階もグレードが下がって味付けも塩ばかり。砂糖は貴重品って教えてもらってた。
異世界に行ったら料理革命してやるとみっちゃんは豪語していた。

けれど実際目の前に並べられた料理は現段階で漂う香りに関しては食欲をそそりまくっている。
いや、味はそうでもないかもしれない。名前だけが無駄に洒落てたり長かったりするやつと一緒で、これらは多分匂いだけだと思う。


フォークで肉をグサリ。そして、そのまま口へ放り込む。




圧倒的美味!
あの美食家も大絶賛!
隠れた名店、こだわりと手間暇を惜しみなくかけた味わいの料理流星群。


私の頭の中で無数に広がるキャッチコピーの嵐。
異世界をなめてた、完敗だよ。
高校の時に母親が用意してくれた弁当よりも何倍もの美味しさ。お母さんごめんなさい、私屈しちゃった。

手が止まらない止まらないよ。いくら抗おうともフォークがスプーンが私の意思に反するの。


あぁ…ああぁ…。




ご馳走様でした。
とても美味しかったです。このままマール様にお腹を見せて絶対の服従を誓いたいくらい美味しかったです。
やろうと思ったけど頭をぶっ叩かれたので止めときます。
やろうと思えばいつでも出来るので良ければ声を掛けて下さい。



しばらくお腹休めをして椅子から立ち上がる。
でも、鳥頭なカエデは忘れていた。自分がどういう体勢だったかを。

産まれたての子鹿よりも退化した両足。ガクガクで上半身を支えきれない。


そして、今日何度目かの失態。
前に居る人を巻き込むように倒れる最中、カエデは思う。


あぁ、終わった…。





カエデは今、牢屋で体育座りをしている。衛兵おじさんと話した部屋の近くにあってなんと屋根付きで硬めの床。寝床としては最高最悪だね。


どうしてこうなった?

理由は三度目のチャンスを貰えなかったから。どんなに寛容なマール神でも今度ばかりは腹見せも床舐め掃除をしても許してはくれませんでした。


明日までしっかり反省しなさいと今朝と違う衛兵おじさんにお叱りを頂き現在。


「なっちゃん、どうしてこうなったんだろ?」

『理由は特に無いかと。強いて挙げるのであればご主人様ですからとしか言い様がありません。』

「そっかぁ…。」

今日一日でたらふく涙を流したのにまだまだいっぱい出せる。



床の冷たさを感じながら今日が終わる。
これは私の望んだのんびりほのぼの異世界ライフと違う。





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