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サルサでのんびり
逃げるが勝ち
しおりを挟む自分の挙動不審さが周囲に認知され始めた事実。
かなり落ち込みたい。
落ち込みたいけど今は目の前の現状をどうにかせねばならない。
「やっぱりその挙動不審さ噂通りだな。大人しくついてこい。」
その噂の発生源を根絶したい。
頭を抱えたり悶たりするけどそれだけだ、決して挙動はおかしくない。
「いきなり知らない人についてこいと言われて付いて行く人はいません。」
「つべこべ言わず付いてこい。領主様の息子であらせられるブヒーラ様のお呼びだぞ。反抗すればどうなるか分かっているのか?」
どうなるの?
『私兵でも送られて始末されるか捕らえて奴隷のように扱われるかですかね。まぁ付いていっても面倒事に巻き込まれるでしょうけど…。』
うぅ…どちらを選んでも禄な事にならない。
『ひとまず相手の出方を見るべくこの者たちに従うべきかと。いざとなれば私が指示します。』
あらやだ、なっちゃんがかっこいい。
なっちゃんが球体じゃなかったら同性だろうと結婚してたと思う。例え捨てられても抱かれてもいいと思える。
『止めてください。』
はい。
「おい、なにウットリした顔で他所を見ている?やっぱり変な奴だな。とにかく我々に付いてきてもらおうか。」
「くっ…はい。」
なっちゃんの言う通りに男達に渋々従う。
男達は私が逃げないように前後へ位置取りをしてそのまま歩かされる。
歩くこと数十分。
見えてきたのはそれはそれは大きなお家、お屋敷って言っても過言ではない。
男達は門の前に立つ兵士?に軽く挨拶をしてそのまま進んでいく。
助けを求める視線を送ったけど目をそらしやがった酷いよ。
屋敷に入るとメイドの出迎えなんて妄想は無く、待っていたのは少し小太りのおじ…青年?だと思う男性。とても豚さん鼻な青年……オークとかじゃないよね?
「ブヒーラ様、噂の女を連れて参りました。」
「ぶっひひひ、そうかそうかよく連れて参った。お前達にはあとで褒美を与えよう。女を置いて下がっておれ。」
「はっ、ありがとうございます。」
男達はポツンと私を放置して退出して行った。
え、こんな笑い声のみならず鼻息もぶひひな男と二人っきりとか勘弁して。
カエデの悲愴感と裏腹にブヒーラと呼ばれるオークはゆっくりと近付いてくる。
「ぶっひっひ、ふむ好みではないがなかなか整った顔ではないか。精霊眼にこの顔なら俺の妾としぶひぃ!?」
奇声と共に倒れるオーク。
カエデの片手にはみっちゃんお手製のスタンガン。
ギギギとぎこちなく顔をなっちゃんへと向ける。
「や、やっちゃった。」
『やっちゃいましたね。』
てへ、どうしよう。
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