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お茶会よりも戦闘を
番外編 聖女の冒険2
しおりを挟む冒険者登録をする為、現在冒険ギルドに来ている。
突き刺さる視線の中を歩き、人当たりの良さそうな笑みを浮かべる受付嬢の下へたどり着いた。
「ようこそ冒険ギルドへ。本日はご依頼でしょうか?」
「い、いえ私達は冒険者登録に参りました。」
「えっ、お嬢さん達が?」
女の子二人。
しかも一人は特に幼い。
危険の多い職業には余りにも不釣り合いな面子に受付嬢も驚きを隠せない。
「私達二人共、年齢は12歳超えていますから問題無いはずですが‥。」
簡単な知識しかないけど、12歳以上であれば犯罪歴のない者なら誰でも登録出来るはず。
もしかして、俺の見た目が幼いから規定年齢に達してないと思われているかも。
ほら、受付嬢の目が疑念と何故か心配を宿らせている。
そして受付台で見えないけど何かを取り出した。何も書かれていない手のひらくらいの羊皮紙。
それを俺だけ持たされて再度年齢を答えた。
受付嬢は何の変化も起きない羊皮紙を確認する。
おそらくあれで真偽を判別したんだろうね。
「本当に12歳なのですね。大変失礼致しました。」
「いえいえ、自分が年齢より幼く見えるのは理解していますので気にしてませんよ。これ返しますね。」
重さのない胸を張り、自虐に走りながら紙を返却する。
俺はこれからだからさ。
無理矢理悲哀を打ち消し登録を始める。
といっても、手続きは至って簡単。先ほどよりも大きめの羊皮紙に名前と年齢、犯罪歴の有無を書くだけ。
材質がさっきの嘘発見紙と同じだから、犯罪をしてないかこうして分かる訳だ。
年齢もここでやれば二度手間にならなかったと思うけど、よほど疑われていたみたい。
もちろん、俺達は何の反応もなく無事記入完了。
年齢詐称をやや疑われたものの、ようやく晴れて聖女兼冒険者になりました。
等級は最低の10等級。
最高の1等級には何年かかることやら。
自分の等級の一つ上を必要数こなせば上がっていくようだけど、あいにく俺は欲求を満たすためなので余り興味がない。
ただ8等級までは2週間に一度は依頼を受けないと資格を破棄されるので注意しとこう。
色々と受付のお姉さんから注意事項が聞けたので早速依頼を受けましょう。
依頼は受付近くに配置された掲示板に沢山の依頼が書かれた羊皮紙が乱雑に貼られているので、自分で選んで受付に受理してもらうだけ。
もう昼間という事もあり、掲示板にを眺める人も少なく案外すんなりと確認に入れる。
日帰りで出来そうなのはあるかな。
ロコルお姉ちゃんと見渡していると後ろから分かりやすく馬鹿にする声が。
「おいおい、ここはいつから子守をする場所になったんだ?おらそこの餓鬼、邪魔だからどっかに行けよ!」
面倒くさいけど振り向く。隣のロコルお姉ちゃんは腰の短剣をいつでも抜ける準備をしている。
振り向くと昼間から酒を飲んだと教えるように赤い顔と臭い息に酒瓶を所持した酔っ払い三人。
身に付けている装備からして同じ冒険者みたい。
「はい、もう依頼は選んだので退けますね、では。」
俺は薬草採取依頼の紙を剥がして男達の横をすり抜けようとしたけど塞がれる。
もうなんだよ。
「おチビちゃんはとっとと失せろ。だが、そっちの嬢ちゃんにはもうちょっと俺達に付き合ってもらうぜ。なに悪いようにはしないさ、へへ。」
男達はロコルお姉ちゃんを標的に下卑な笑みを浮かべる。
お姉ちゃん可愛いもん、納得納得。
でも、その手で触んじゃねえよ。
ニタニタと笑いながら伸ばす腕を掴む。
酔っ払っいの癇に障ったのか青筋を立てながら怒鳴ってくる。
馬鹿な大声のせいでギルド内の注目が一気に集まる。
可哀想にと同情する者や酔っ払っい同様に笑う者、関わらないよう無関心を装う者と様々な視線が。
「おい、クソ餓鬼離しやがれ!痛い目に遭いたいのか?」
ギルドの職員達も冒険者同士の揉め事には容易に関与出来ない。
でも、いつでも飛び込めるよう待機してくれてるので有難い。
尚も怒鳴りながら強引に俺の手を振り払おうとするも、俺が離すわけがない。
むしろ、少しずつ力を込めていく。
掴まれた男も次第に骨まで響く軋みに焦り始める。
「て、てめぇ、離しやがれ!」
必死に振り解こうとしながら、俺目掛けて持っていた酒瓶で殴りかかってきた。
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