195 / 266
戦乱の帝国にて聖女と三姉妹は踊る
嵐の前の誕生祭3
しおりを挟む新たなお友達サラちゃん。
会って少しの間で親しくなれるほど元気で明るい女の子。
そんなサラちゃんを連れてまだまだお祭りを楽しむ予定。
ただ俺達は共和国の地元民ではないので誕生祭にどんな催し物があるのか分からない。
だからこそのサラちゃん。
誕生祭参加歴2年目の先輩。
頼りにしている事を伝えればムフフンと鼻を一発吹いて自信満々に任しぇて宣言。
これは頭を撫でたくなる愛嬌。
妹みたいな変態や妹のような変態、姉だと思いたい姉?に囲まれる中で唯一の癒やしになるやもしれない。
「こっちだよー!」
誕生祭でおすすめの場所をお願いしたら、案内する気メラメラに小走りで先導してくれる。
転ばないよう注視しなきゃね。
サラちゃんが最初に教えてくれた所は小魚を薄い紙で出来た小さな網で掬う遊び。
なんと掬った小魚はその場でカラッと揚げてくれるらしい。
ゴクリ、これはやるしかあるまい。
四人分のお金を支払う。
一回やり直しが出来る。
小網を構えて小魚の動きをよく見る。行動を予測してその動き出しに合わせて流れるように。
失敗。
破れた小網を新たな物と交換。
さっきは狙った小魚の活きが良すぎた。隅の方で大人しくしているのを狙おう。
ゆっくり掬おうとして失敗したから次は速さを意識しよう。
セイル様と渡り合った時並みの速度で小網を繰り出す。
…………失敗。
誰にぶつけて良いか分からない怒りがふつふつと湧き上がる。
ふと他の面子を見るとサラちゃんは経験者なのかもう三匹目を獲得していた。
ロコルお姉ちゃんやミーナちゃんも掬った小魚を入れる容器の中には既に一匹ほど存在していた。
お、俺だけ…。
誰かが落ち込む俺の肩をポンと叩く。
変た……スゥ様だ。
「お姉しゃま、私にお任せ下さいませあ…ましぇ!」
なんで無理に噛んでいるの?
俺の生まれた疑問に答えることなく姫様は生簀の前に立つ。
少女は小網を側に捨てて容器を生簀に浸ける。
そして、ただ語る。
「貴方達、我らが偉大なる女神様がお前たちに使命をお与えて下さった。それは、お前たちが糧となり偉大なる女神様と一つとなれる使命である。さぁ、こちらに来るのです。女神と共にこの世界の行く末を見守るのです。」
な、何をやっているんだ…。
浸けられた容器の周りで何故か集まっていた小魚達はやがてゆっくりと一点に集束して行く。
気が付けば、姫様の容器は山盛りの小魚さんでいっぱい。
唖然とする俺と店の店主と護衛と周囲で偶々見ていた人達。
ロコルお姉ちゃんとミーナちゃんはうんうんとどうしてか納得していて、サラちゃんは単純にしゅごーいと大はしゃぎ。
山盛り容器を片手に姫様は笑顔で振り向く。
「お姉様あ…しゃま、敵は取りましたよ!さぁ、たーんとお食べ下さいませあ…しぇ!!」
…………………頂きます!
もう訳分かんねぇ、もう知らん。
小魚の揚げ物がたらふく食える、もうそれでいいや。
この後、小魚達は全て美味しく頂きました。
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
【長編版】この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ
・めぐめぐ・
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。
アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。
『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。神聖魔法を使うことしか取り柄のない役立たずのくせに』
そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。
傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。
アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。
捨てられた主人公がパーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー長編版。
--注意--
こちらは、以前アップした同タイトル短編作品の長編版です。
一部設定が変更になっていますが、短編版の文章を流用してる部分が多分にあります。
二人の関わりを短編版よりも増しましたので(当社比)、ご興味あれば是非♪
※色々とガバガバです。頭空っぽにしてお読みください。
※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。
聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~
白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。
王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。
彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。
#表紙絵は、もふ様に描いていただきました。
#エブリスタにて連載しました。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる