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ランパード商会3
しおりを挟む突然現れたドラゴンの死体に気絶してしまったコロックさん。ほんのサプライズのつもりがまさかこんな事になるなんて。
『ドラゴン程度で気絶とは情けないっすね。』
そんな事を言っている場合じゃない。
急いで口を開けたまま気絶するコロックさんの肩を揺さぶり覚醒を促す。
「こ、コロックさん!?しっかり、しっかりして下さい!まだ寝るには早すぎますよ!!」
「ドラ…ド…ドラゴ………はっ!!私はいったい?さっきのドラゴンは夢かぁ、ふいー。」
まだ夢から醒めないコロックさんはいよいよ現実逃避し始めちゃった。
汗を男らしく拭って清々しい顔なのにドラゴンの方を見ない。
「コロックさん、そろそろ戻って来て下さい。夢ではなく現実です、帰って来て下さい。」
「う…うぅ、分かりました。もう一度見る前にちょっと深呼吸させて下さい。すーはーすーはー。」
よっぽどドラゴンに堪えたらしい。
でも、それだけ価値があるって事だ。むふふ、幾らで売れるかな。
ようやく観念したコロックさんは改めてドラゴンの方を振り向く。
お、今度は耐えた。
少し白目を剥きそうだけど耐えている。
「こ、これはほ本物ですか?」
「本物かどうかは商人であるコロックさんなら一目で判るでしょう。それで買ってくれますか?」
「買います!買い取ります!」
やや食い気味に買取宣言。
顔が近い、荒い鼻息がファサってまつ毛にかかる。
どうにか興奮気味のコロックさんを押し戻す。
「じゃあ、買い取りをお願いします。お幾らで買ってくれるんですか?」
「まさかドラゴン丸々素材が手に入る日が来るとは思いませんでした。ただ申し訳ありませんが今すぐに全額をお支払いする事は出来ません、現時点で商会から全て出しても足りないくらいです。ですが!ですが安心して下さい、ドラゴンはあらゆる方面で貴重な素材です。必ず良い値段で買わせますので、その後に全ての支払いをしたいと考えております!」
長々と力説してくれた。
要は破産しても支払い切れないから色んな所に売って金を作って渡しますと。
たった一体でそれほどか。
ちなみにまだあるけどって伝えたら勘弁して下さいと懇願された。
次に買い取るなら今のドラゴンを売り切ってからにして欲しい、そう言われました。
「分かりました。また買い取りますってなったら教えて下さい。何体でも出しますので。」
「な、何体も…ごくり。」
「はい。それと全額受け取るまで時間が掛かるようですが、その…今お金が心許ないので出来れば買取金額の一部を頂ければ助かるんですが…。」
支払いに時間掛かるならいよいよ無一文。
「かしこまりました。現状で支払える分をお渡し致します。では、客間に戻りましょう。こちらのドラゴンは我が商会の解体職人達総出で丁寧な解体を致しますね。」
そう言ってまだフラフラな感じのコロックさんに付いて倉庫を出ていく。
案内されて着いたのは客間。
ソファへ促されて大人しく座る。
「では、ご用意して参りますので少々お待ち下さいませ。」
コロックさんが出ていき、それから少しして最初に出会った受付のお姉さんが紅茶を持って来てくれました。
もう不審者を見る目ではなく大事な客人とでもコロックさんが言ったのかもうそれはそれはニコニコ顔だ。
あの時の笑顔はまだ愛想笑いの段階だったんだと理解しました。
女性って怖い。
ちょっと怯える俺を気にせず彼女はすごく愛想を振りまいて去って行った。
『旦那、人間の女って凄いっすね。』
『……そうだね。でも、冒険者ギルドのあの受付嬢よりは断然マシでしょ。』
いきなり初対面で不機嫌そうに応対した人よりも良いに決まっている。
強かでそれはそれで怖いけどね。
紅茶を飲み終わる前にコロックさんが戻って来ました。
両手には膨らんだ革袋を一袋ずつ持っている。
「ユウ殿お待たせしました。こちらがひとまず買取金額の一部でございます、締めて4600万zです。大金貨でのお支払いですと使いづらいかと思いましたので全て金貨で460枚での支払いにしました。」
「お気遣いありがとうございます、とても助かります。」
「いえ、これでもまだ一部でしてすぐに全額をお支払い出来ない事を申し訳無く思っております。」
これでまだ一部…ドラゴン凄い!
クロコの影に保管しているドラゴン全部売ったらあっという間に天空城を解放出来るじゃないだろうか。
案外解放する日は近いかも、そう思うとウキウキが止まらない。
第一回目の商談はこれにて終了………の前にコロックさんからの確認事項が。
「これからドラゴンの素材をお金を出してくれる色々な方々に売りつけに行きますが、おそらくドラゴンを狩ってきた者は誰か問われてしまうでしょう。その時に、その…。」
「決して無理に内緒にしてくださいとは言いませんよ。もし面倒事が起きてこの街に居られないと思えば出て行くだけですから。俺達は旅人で自由ですからね。」
「…………分かりました。なるべく出処がユウ殿だと知られないよう努めますね。」
うん、流石コロックさん。
俺達が何処かへ行ってしまえば、今後も手に入る可能性があったドラゴンを手に入れられないもんね。
コロックさんと出会えて良かった。
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