26 / 100
買取お値段
しおりを挟む決意を決めて添い寝を断念した日からもう2週間ほど経過した。
一度目に添い寝を拒んだのにあらゆる理由を持ち込んでは何度も挑んで来る。身体は少年でも中身はおっさんだ勘弁してくれ。
クロコは諦めるのが肝心ですぜしか言わないし。
この2週間はその夜の問題以外は比較的順調に過ごせていた。
なけなしのお金からポータルを一つ購入して迷宮にもちゃんと行けた。
残り所持金が100万zを切った。一見多く見えるけど解放の事を考えれば少な過ぎる。
早くコロックさんから知らせが来ないかな。
二人の実力確認も無事終わりました。
シルヴィアがスキルの挑発で集合させてリリーの範囲魔法で殲滅。こういう時はしっかり息が合っている。
確認と素材採取の為とはいえ、ドラゴンに対して悪逆非道の限りを尽くしてしまった。
少し可哀想に思う。
そして、現在。
今日も迷宮でスキルの確認でもしようかななんて思っていると部屋にマーロさんがやって来た。
「ちょっと良いかい?アンタにお客さんが来てるよ。」
「お客さん?」
「そうお客さん、下で待っているよ。」
誰だろお客さんって。
とりあえず待たせっぱなしも悪いから下に降りるとしよう。
両隣で控えていたリリー達も一緒に付いて来る。うちの配下は心配性ばかりだ。
下に降りて入口付近で俺を待っていたお客さんはなんと久しぶりのジンさんとアレクさん。
同じ街に居たのにすれ違いが続いてなかなか会えていなかった。
「ジンさんにアレクさん、お久しぶりです。お元気そうでなによりです。」
「おう坊主、お前も元気そうひぃっ!?」
俺への坊主発言にシルヴィアが殺気を放ってしまった。
慌てて止める。
「シルヴィア落ち着いて、どうどう。」
肩をトントン叩いて宥める。すると、シュンと殺気が収まる。
「え、えらい凄みのある嬢ちゃんだな。坊…ユウの仲間か?」
「はい、俺の仲間です。シルヴィアとこっちの子がリリーです。」
いきなり殺気を放たれたにも関わらずシルヴィアを嬢ちゃん呼びする。
なかなか胆力がある人だ。
流石に坊主呼びは一旦止めたようだけど。
前々から話には出ていたけど、シルヴィア達にもジンさん達の事を紹介する。
そこは省略して用件を聞こう。
「ところでジンさん達は何の用ですか?」
「おう、コロックの旦那が買取金を全部用意出来たってんで呼びに来たんだよ。お前すごいじゃねぇか、ドラゴン倒したんだってな!」
コロックさん、俺達がドラゴン倒した事ジンさんに教えたんだ。
別に特別内緒にしている訳じゃないから気にしない。けれど、少し照れる。
「やっぱりあの時から感じてたがかなり強いんだな。今度、時間あったら手合わせお願いしてもいいか?」
「あ、僕もいいかな?」
「はい、良いですよ。」
いつになるかはまだ不明、でもアレクさん達との手合わせが決定した。
対人戦はギルドでの一件のみだから丁度いい練習になりそう。
ジンさん達と約束したら、元々の本件である買取金の受け取りにランパード商会へ向かう。
商会に到着。
中へ入ったところでジンさん達はまた何処かへ行ってしまった。
以前、怪しむ様に見ていた受付のお姉さんがすこぶる笑顔で歓迎してくれた。あの日見た受付嬢の不審げな目を俺達は忘れない。
「ようこそいらっしゃいましたユウ様!19歳独身好きなタイプはお金持ちな年下こと私が懇切丁寧にご案内致します。ささ、どうぞこちらへ。」
揉み手に猫なで声。
これほどまでに下手に出る人を見た事があるだろうか。
ここまで思いっきりやられるといっそ清々しい。
以前と同様の客間に案内されて紅茶を受け取るまで彼女のへへっな媚び笑いと大袈裟なくらいの敬語は続いた。
可笑しくて逆に好感が持てる不思議。
部屋を出る際ウィンクを忘れずやって受付のお姉さんは出て行き、入れ代わりにコロックさんが入って来た。
「ユウ様、お久しぶりです。わざわざお越し頂き誠にありがとうございます。」
「いえこちらこそちゃんと売れたようで良かったです。
「えぇ、もうたんまりと各方々に買わせましたよ…ぐふふ。」
コロックさんにしては人が悪い顔でほくほく笑う。あと、様付けに変わっている。
いったい幾らで売れたんだろう。
「では、お金をご用意致しますね。冒険者でも商人でもギルドに入っていればお金を預けてカードから引き出せるんですが、ユウ様はそれが出来ませんので全て現金でお渡しします。我が商会で預かる事も出来ますがどういたしますか?」
「いえ収納出来ますんで全て受け取りますよ。」
「ユウ様アイテムボックス持ちでしたね。ならば問題無いでしょう。今、部下に持ってこさせているのでもう少々お待ち下さいませ。」
しばし紅茶を飲んだりコロックさんと他愛のない話で花を咲かせる。
すると、コンコンノックの後に扉が開かれた。
コロックさんの部下らしい人達がエコバッグサイズの袋をいくつも抱えてやって来た。
そして、目の前のテーブルに積み重ねていく。
「大金貨や更にその上の白金貨では使いづらいと思いましたので全部金貨にしました。合計金額1億8千万zです。」
1億8千万z?
………………こりゃ、すげぇ。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主
雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。
荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。
十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、
ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。
ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、
領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。
魔物被害、経済不安、流通の断絶──
没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。
新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。
50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく
かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。
ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!?
俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。
第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。
「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」
信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。
賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。
様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する!
異世界ざわつき転生譚、ここに開幕!
※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。
※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。
『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』
KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。
日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。
アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。
「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。
貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。
集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。
そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。
これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。
今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう?
※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは
似て非なる物として見て下さい
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる