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しおりを挟むセフィーレ王国の女王さん
王都の頭上に突然と現れた巨大なお城。
私の住むこの城が霞んでしまうほどの精巧な造りと美しさ。神々が住んでいると言われれば納得してしまいそう。
隣で私同様にあれを呆然と眺める娘のティアラが呟くように問いかけて来た。
「お母様、あのお城は何でしょうか?」
「私にも分からないわ。でも、一つだけ気になる事があるのよね。」
「お母様、私もです。あのお城を見ていると急に心労たっぷりな驚きの出来事を数々も提供して下さる方々がチラつくのです。」
「あら本当に奇遇ね、私もよ。あの方々ならお城の一つや二つ空へ生み出すなんて容易く思えてしまうわ。」
私達のお城でつい最近起きた惨劇。
あれはもう超常現象の類、今回のこれもそれと同じ匂いを感じる。
もう私の目には色々諦めたくなる影が差してきました。
「姫様、ご、ご報告がごじゃいます!!」
いつも大人しく寡黙な印象の娘の従者リン。
彼女がこんなにも慌ててやって来るとは何事でしょう、想像はつきますが…。
「落ち着きなさいリン。あのお城についてかしら?」
「は、はいそうです!」
「では、報告をお願いします。」
「は、はい。あ、あの例の方々にちょっかいを掛ける者がいないよう姫様の命を受け、私は潜んで見守っておりました。そうしましたら、通りで立ち止まったかと思えば少しして空に大きな城が出現しました。私自身何を言ってるか分かりませんが現れました。」
だいぶ混乱しているようだ、可哀想に。
一番近くでその出来事を目撃してしまったのなら仕方の無い事かもしれない。
「そうやっぱりあの方々達ですよね…はは。お母様どういたしますか?」
「はは…どういたすもなにもどうも出来ないわ、私達は静観しましょう。他国から何か問い合わせがあっても知らぬ存ぜぬで行くつもりよ。本当に何も知らないですしね。」
「そ、そうですね。あの城が攻めてこない事をお祈りするだけにいたします。」
「そんな物騒な事を思い浮かべないで、私までゾッとしちゃう。」
あの人達が城で突撃して来たらと思うと鳥肌が止まらない。
何事もありませんようにと震えながら祈る母娘とは裏腹に忘れてはいけない馬鹿二人が居る。
「父上、あれは凄い!!ぜひ私達の物に致しましょう!!」
「うむ、そうだな。我が国の我が王都の空で現れたのならもう我々の物で決まりだな!!」
「はい、父上!!」
「「あーはっはっはっはー!!!」」
馬鹿二人が馬鹿な思考で声高々に笑ってやがる。
「お母様…。」
「えぇ、やってしまいなさい。捕縛と監禁、それでも騒ぐなら多少の躾も許可致します。絶対関わらせないようにしましょう。」
「はい、ではちょっと行ってきます。リン行くわよ!!」
ここしばらくの間でティアラ姫の精神力はかなり強化された。
父親達を止められず歯がゆい想いをしていた少女の姿は無い。
大声でお馬鹿な企みを考えている馬鹿二人へ渾身の姫様ドロップキックをかましていく。
リンちゃんは既に捕縛用の太めの縄を用意済みだ。
「「ぎゃん!?!!」」
王族があげてはならないような悲鳴をあげながら父兄二人は静かに退場していく。
これでこの城内で最も不安要素のある馬鹿は排除出来た。
だが、馬鹿は何処にでも湧いてくる。
どうにかこの城内及び領地に巣食う馬鹿共にあれへ関わるなと周知しなければと決意する母娘でした。
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