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サイデルよ、僕はきた
うわあぁ、女神さま2
しおりを挟むいきなり泣き崩れた神様が襲撃してきた。
「どうじて、どうじて離れるでずがぁー。わたじどは、一度限りのがんげいばんですかー」
含みのある言い方でなおも縋り付くように近づいてくる。
僕も次第に恐怖よりも可哀想なものを見る目に変わっていく。
「………ふう、冗談に決まってるじゃないですかー。少しでも緊張を解そうと思っただけですよ。神様ジョークです、はい。」
神様は先ほどの醜態が嘘のようににこやかな笑顔を浮かべ、ほほほとわざとらしく笑う。
僕はそれでも一定の距離を置く。
「そ、そうですか‥」
「はい、そうですよー。1週間くらいでまた再会すると思ったら、一月以上も後になるとは思わなかったのでついつい冗談を」
「う、ごめんなさい。」
確かに普通ならもうとっくに会いに来れたはずなのに、街までだいぶ躊躇しちゃった。
「いえいえ、それだけ今を謳歌しているということでしょう。それに駄目な夫を支えるのは妻の務めですからねー、ふふん。」
また変なことを言う。
この際だから聞いておこう。
「あ、あのー神様はなんでこんなに良くしてくれるんですか?1人の人間にここまでしてくださる理由が分かりません。」
僕の受けている恩恵はとても多大なものだ。
ふいに神様はその白い頰をほんのりと赤く染める。
「一目惚れですよー」
「は?」
思わず聞き返す。
「神様にだって好みの性格や心があるんですよ。コータさんと出会った時、私のリピドーが呼び起きたんですよー。」
「り、リピドーですか‥」
「はい、そうです。そもそも最初にどストライクゾーンと伝えたと思いますが?まあ、コータさんの性格上信じられないでしょうが。私は神様なのでいつまででも待てますのでぜひご検討を」
手をワキワキしている。
とても信じられない。
僕にもいつか信じれる時が来るのだろうか。
「ふふ、来ますよー。大丈夫です」
「……と、とにかく分かりました。僕も考えていきます。でも、好きだからってこんなに過保護にしてもいいんですか?」
「大丈夫です。乙女の愛はいつだってただ一人の為。私だって女の子だもん。」
だもんって、全然大丈夫じゃないと思う。
「安心してください。愛は不平等条約ですが、他は平等ですからー」
‥‥‥もう気にしても仕方ない。疲れました。
「神様、理由はともかく色々と便宜を図って頂きあ、ありがとうございます」
「そんな疲れきった顔で言わないでくださいよー。むーもう帰る気満々ですね。」
ふくれっ面で文句を言わないでください。
「はあ、分かりました。でも、また会いに来てくださいね!」
「はい」
「もう! 必ずですよー」
「は、はい!」
僕の返事に不満だったのか一気に顔を近づけてくる。
「ふふ、ではではまたお会いしましょうー」
「‥‥はい」
気づくと、元の大きな銅像の前にいた。
「随分と長いお祈りでしたね」
シスターさんに苦笑されながら、教会を後にする。
この後の予定は明日にして、なんか疲れたので宿屋に直行しました。
よだれを撒き散らし追いかけてくる神様の夢を見ました。
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