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劇録!王都脱出編
あなた地位にする?お金にする?そ・れ・と・も
しおりを挟む僕はただいま王族一家と対面中。
姫さま、隙あらば腕を組もうとしないでください。
「ふむ、自己紹介も終わったし本題に入ろう。」
正面にいる国王さんは、ひと呼吸置いて話し始める。
「今回の事件だが、ソフィーから話を聞いて犯人の目星はついた。まあ、真っ先にソフィーが亡くなったと騒いでいたからすぐに分かったんだがな。現在、徹底的に調べ、裏取りしているところだ。近日中に捕まえられるだろう。」
「は、はぁ…」
「コータ、君のおかげで王国に蔓延る蛆を取り除くことが出来た。ありがとう。
よって、褒美を与える。」
「ほ、褒美ですか?」
「そうだ、君は何を望む? 地位か?金かな?おいおいそれともうちの娘かい?」
「まあ、あなたったらもう!娘との婚約ですと、地位を与えないといけないですよ」
「おお、そうだな。なら、地位は男爵から徐々に上げていく方が良いな。」
「ですね、コータ様ならすぐに功績を挙げて伯爵以上になられるでしょう。」
「私たちにこんな可愛い弟が出来るなんて幸せですわ!」
僕をそっちのけで勝手に盛り上がっている。仲がいいなぁ、この家族。
「ふむ、ではコータよ。褒美は爵位で良いかな?お金も出るぞ」
「「「さあさあ、コータさん!」」」
みんなの視線が一気に僕に集中する。
もう‥もう無理です…
「ご、ご‥」
「ご?」
「ごめんなさい、もう限界です!それでは!!」
僕の臨界点はとうに超えていた。
一気に身体強化で逃げる。
影で隠れていた人が僅かに僕のスピードに反応出来ていたけど、それだけだ。
追いつかないだろうし、追いつかせない。
後ろから声が聞こえるが、もう無理です。人とずっと接して1週間ちょっと、何度も吐き気や意識が遠くなりそうなのを堪えてきた。
だから、許してほしいです。
お金は亡くなった騎士のご家族にでもあげてください。
風になって王城から脱出する。
路地裏で休憩。
もう暗くなってきている宿屋を探そう。
百科事典で王都のおすすめ宿屋を探す。
冒険者ギルドの近くにある月見亭という宿屋が神様のイチオシらしい。
疲れた体を奮い立たせ、宿屋に向かう。
看板に三日月がモチーフのシンボルが飾られていてすぐに分かった。
幸いにも部屋は空いていたのですぐに自室に引きこもった。
突然入れられた迷宮のゴール全てに王族一家がスタンバイしているという恐ろしい夢を見ました。
朝起きたら、汗と涙でびしょびしょになっていました。
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