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終末のダンジョン
クロウさんVS病んでる二人2
しおりを挟む情けない。
自分よりもいくつも下の子供に救われて、本来ならその友の為に自分の命をもって報いらなきゃなれねぇのに。
なのに、俺は未だ恐怖に怯えてまた地獄の日々を受け入れようとしていた。
本当に情けない。
でも、それも今日で卒業。
いい加減漢にならねぇと格好悪い。
フィオナの触手によって拘束された身体に力を込めていく。
ミチミチと音が鳴る。
触手が千切れているのかはたまた俺の身体が悲鳴を上げているのか分からない。
けれど、拘束は解けた。身体中が痛いけど今は気にすることではない。
とりあえずまだ俺のお腹で顔を埋めるお姫様の顔を両手で掴む。
「く、クロウ…いいよ。」
俺が顔を掴んでなにを勘違いしたか知らんが目を閉じて唇をむちゅうと尖らせた。
俺がもう全てを諦めて受け入れたとでも思っているのだろう。
男なら誰でも羨む状況だな。
まぁ俺には関係ないけど。それよりも今まで我慢して来た鬱憤やら女性に対してどんな理由でも手をあげてはいけないとかそういった諸々を解放。
「今までの恨みじゃっクソボケがぁ!!」
「こふぅん!?」
お腹の近くで目を閉じる一国の姫君の顎目掛けて渾身の膝蹴りをお見舞いした。
後々不敬とか色々と問題が起きそうで震えるけれど、なによりもめちゃくちゃスッキリ。
でも、まだまだ終わらない。目の前で膝蹴りで宙を舞う同族を前にしてもひたすら俺の頬を舐める変態が残っている。
そんな彼女の頬に左手を添える。添えた途端に舐めるのを止めて頬をボッと赤く染める。
こいつらは本当に俺を好き過ぎる。ついさっきの出来事も忘れたように俺だけを見て油断してくれる。
もし出会い方や接し方が違っていたら違う未来もあったかもしれない。
でも、この先の未来は一つだけ。
俺は己の力全てを集約させた右拳を空いている彼女の頬へと振りかぶる。
「もう金輪際関わってくんじゃねぇこの変態!!」
「ぎゃんっ!?」
どっちが悪人か分からないような鈍い音を立てて彼女もまた空へと舞った。
今晩はぐっすり眠れそうです。
さぁ、あとはお前だコータ。
頑張れよ。
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