転生先は乙女ゲーム?

niko

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お茶会

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 侍女が入れてくれた最高級であろう茶葉でいれた紅茶と、見たこともないような様々なお菓子。花の香りがする整えられた中庭。そして、金髪を風に靡かせるピエロ王子。


 アルもなんとなく不機嫌だし、エルンダ嬢は肉食女子のようで、席についてすぐに殿下に話しかけ続けている。
 チラリと殿下を見ると目が合ってしまった。ひっ!殺さないで!首をグインっと回す、心を落ち着かせるためアルを見る。

「シエンナ嬢、口に合わなかったかい?」

話しかけられたからか、エルンダ嬢が睨んでくる。

「い、いえ、さすが王城ですわ。お茶の香りがとても良いですね。」

顔がヒクヒクしてないことを願いながら、目を合わせないように、殿下の鼻を見ながらにっこり答える。

「そうか。好きなだけ飲んでくれ。」

「殿下!素敵なお庭ですわね。うちの庭も今スアムの花が咲いていて良い香りですのよ。」

「へぇ。」

「私、スアムの花が好きでいろんな色を毎年増やしているの!殿下はどんなお花が好きですか?」

殿下とエルンダ嬢が楽しそう?に会話してるので、アルとお茶を楽しむ。

「これなんて姉様が好きそうですよ。」

「ほんとね!このお菓子美味しいわ!なんだかパ○の実を思い出しちゃった。これとこれ一緒に食べるともっと近づくと思うんだけど。」

「姉様、ここは王城の中庭ですよ。2つのお菓子を一度に食べたらミーヤに言いつけますよ。」

「あっそうだったわ。ふふっアルと話してたら安心して忘れちゃってたわ。」

「もう、普通忘れないですよ。」

 あぶないあぶないすっかり家にいる気分だったわ。2人の様子を見てみると、エルンダ嬢は相変わらず頬を染めて殿下に話しかけている。殿下は…ひゃっ!不機嫌増してない!?怖い!

「で、殿下、素敵なお庭ですので少し散策してきてよろしいですか?」

「あぁ、だったら私が案内するよ。」

やめてー!あなたから逃げたいだけだから、意味なくなっちゃう!

「いっいえ!お気遣いなく!遠くには行きませんわ。アル、行きましょう。」

「そうですね。すぐ戻ります。」

 2人で手を繋いで花壇のほうへ行くと、後ろから視線を感じ、チラリと振り返ると、殿下が目を細めてこちらを睨んでいた。

 なんだ、そんな顔もできるのね。なんだかほっとしてアルと花を眺めていると、父が必死の形相で迎えに来た。

「シィ!アル!無事かい!?離れてゴメンよ!誘拐されてなくてよかった!!どこも怪我は?ないね!」

「お父様、物騒なこと言わないで。ここは騎士様もいらっしゃるんだから大丈夫よ。」

「そうですよ。あんまりいうと不敬になります。気をつけてください。」

 ひそひそお父様に注意する。殿下への挨拶も早々に済ませ、3人で馬車に乗り込み、無事我が家に戻ったのだった。

 そう、この時は無事だと思っていた。
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