聖女ですが追放されたので、怪しい3人衆と旅をすることにしました。

蒼依月

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第1章

14話

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 ガーラはシオンの答えに満足し、僅かに口角を上げた。
 4人は誘われるように、森の中に入っていく。
 しばらく進むと、太陽の光も当たらなくなり、シオンは胸の前で手を組み緊張を誤魔化す。
 それを知ってか知らずか、前を歩いていたウェストがこちらを振り返った。

「シオン。緊張しているのか?」
「え、ええ。少し。皆さんの足を引っ張ってしまわないかと」
「はは、そんなことか」

 ウェストは右手でガーラを指さした。

「大丈夫さ。ガーラが君をここまで連れてきたんだ。怪我の心配はない」
「どういう意味です?」
「あいつは使えない人間には容赦ないんだ。まああいつなりの優しさなんだろうけど、あの通り言葉をオブラートに包むことを知らないから」

 ウェストが大きな体をシオンの方に傾け、口元を手で隠す。内緒話と言わんばかりの仕草だ。だがガーラにはバッチリ聞こえていたようで、ウェストは針のような視線を彼から浴び、肩を竦めた。
 スイがシオンの横でガーラの後姿を見つめながら言う。

「でも、使えない奴が一緒でも、面倒を喰らうのは結局スイ達。ガーラのやっていることは間違いじゃない」
「ま、それもそうだがな」

 つまりは、シオンはこのチームに必要な存在だと言ってくれているのだろうか。
 
(ガーラさん、さっき私の力は必ず役に立つって言ってた。それに見合う働きをしないと)

 シオンが前を向いた時、左側から怖気立つような気配を感じた。弾かれたように、そちらを見る。
 隣を歩いていたスイが、シオンの様子の変化にいち早く気付いた。

「シオンお姉ちゃん?」

 その声に、シオンではなくガーラとウェストが振り返る。
 3人はシオンの視線の先を追ったが、何も見えない。ガーラは視線はそこから外さずに、ウェストに訊ねる。

「ウェスト。何か聞こえるか?」
「いや、何も」
「スイも感じない」

 ガーラはゆっくりと視線をシオンに戻す。彼女は木々の奥を見定めるように目を眇めている。
 まるでように、ただ一点を睨んでいる。
 そうして数秒、シオンが動くのを待っていると、引き結んでいた彼女の薄い唇が、開いた。

「来ます!」

 それにいち早く反応したのは、ガーラだった。
 風の速さでシオンの前に回りこみ、光の壁を展開する。ガーラの動きとほぼ同時、凄まじいスピードで何かが飛んで、壁に弾かれ地面に突き刺さった。

「枝……?」

 スイが吸い寄せられるように飛んできた枝を手に取る。

「スイ、こっちに来い。まだ来る」

 スイが頷くより先に、次の攻撃が飛んできた。ウェストが咄嗟にスイの手を引いて、ガーラの光の壁の中に匿う。
 パキンパキンパキンと、何かが弾かれる音が3回した。シオンが壁に弾かれたものを目で追うと、それは枝だったり、小さな石だったりした。
 ガーラが前方を睨めつけながら、シオンに訊ねた。

「シオン。君は攻撃が来ることを予知したのか?」
「いいえ。気配でそう感じただけです」

 素直にそう答えると、ガーラはこめかみに汗を一筋流しながら、不敵に笑った。

「なるほど?聖女様様だな」
「これは聖女の力ではありません。ずっとこうして戦闘の前線に出ていましたので、勝手に身に着いただけです」

 ガーラは驚いて一瞬シオンを見た。

「君はまるで戦を経験した騎士のようだな」
「はは、そうかもしれません」

 あまり嬉しくない、とシオンは内心溜息をついた。

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