聖女ですが追放されたので、怪しい3人衆と旅をすることにしました。

蒼依月

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第1章

13話

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 現場に向かう途中、ガーラが村長から聞いた話の内容をざっと話してくれた。

「今回の魔物は一言で言うと厄介だ。人間に取り付き、人間の体を使って他の人間を傷つける」
「正直あまり無いタイプの魔物だな。幽霊とか言われた方が納得がいく」

 ウェストが悩ましげに眉をひそめる。

「そうだな。村長の話と僕たちの知識からして、恐らくだと思う」
「ユウム。聞いたことあります。取り付いた人の脳に入り込んで、体を勝手に動かすとか。取りつかれた人間は自我を喪失することが多いそうですね。一度だけ、対峙したことがあります」

 シオンは過去の対峙した記憶を思い出す。その時の取りつかれた人の状態は、はっきりいって見れたものではなかった。その人はまだ自我を失う前に、自分の婚約者を自分の手で殺していた。魔物に取りつかれた状態でろくに抵抗もできず、只々涙を流して悲痛に叫びながら、婚約者を刺殺していた。
 シオンはその時の状況を思い出して顔をしかめた。

「シオンお姉ちゃん?」

 スイがどうしたのと聞いてくる。シオンは咄嗟に笑顔を作った。

「なんでもない。大丈夫」
「うん」

(でも、あの魔物相手なら、私の力も役に立てるかも)

 ふと、ガーラがシオンを振り向いた。

「シオン、この魔物退治は少々血なまぐさくなるかもしれない」
「え?」
「ユウムを倒すには、取りつかれた人間ごと殺さなければいけない。ユウムに取りつかれた人間は最後、魔物として処理される」
「ま、待ってください!ガーラさん、私を使ってください。私の力なら、ユウムを人間から引き離すことが出来ます!」

 ガーラがその双眸を見開いた。
 だがすぐにハッとして取り繕い、顎に緩く指をあてる。

「なるほど。聖女にはそんな力があるんだな」

 ガーラはポソリと独りごちた後、シオンを見た。興味津々といった表情だ。口の端がつり上がっている。

「ならば見せてもらおう。君のその力を」


□□□□□□□□


 ガーラに案内された場所は、村を出て少し進んだ場所にある森だった。

「ユウムはこの森にいるらしい。取りつかれた人間が10人はいると、村長が言っていた」
「そんなに……」
「ユウムは他にもいるらしいから、放っておけば被害は確実に増えていくだろう。今も、何とか食い止めている程だというからな」
「ええ。ユウムが増えた理由は分かりますか?」
「村長の話だけでは分からない」

 するとガーラとシオンの話を聞いていたウェストが口を挟む。

「それならこの森にある木の実かもしれない」
「木の実?」

 シオンが聞き返すと、ウェストが頷く。彼の鼻が何かを嗅ぎ分けるようにスンスンと動いている。

「リコの実の匂いがする」
「なるほど」
「ユウムの好物ですね」
「それで集まってきたのかもしれない。村長の話で、森に木の実を取りに行った際に襲われたという者もいると言っていたしな」

 シオンは森を見つめる。目の前の鬱蒼とした木々の奥を見定めるように目を眇めた。

「気配がします」
「ああ」
「スイ、シオンお姉ちゃんと初めてのお仕事、頑張る」
「そうだな」

 ガーラが一歩先に出た。振り返ってシオンに問う。

「行けるか?」

 シオンは挑むようにそれに答えた。

「はい。もちろんです」

 
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