過去と未来と偉人とキーと

赤欄

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1.冒険の始まり、そして弥生時代

時代の渦に飛び込め!!

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「ところでさ、お前は一体誰なんだよ?」広一が赤欄に聞く。「俺か?あぁ、赤欄だ。よろしく頼む」「……ってそれだけかよ?」「誰だって聞かれたなら答えるのもこれくらいでいいだろ」「ほんと、お前って面倒くさいやつなんだな。時代のコンピュータだとか言ってるけどさ、なんでお前がここにいるんだよ?」「……そういえば言ってなかったな。ネットの世界の悪人たちを裁く、こう言ったら綺麗ごとだが実際は“ハッカーを狙うハッカー”って言ったところだな。俺みたいなことをしてるやつはある程度いてさ、その中でも俺の担当分野は『時代』。この時代のコンピュータを使って過去の書き換えや削除とかを取り締まっている」
「だったら俺たちをここに連れてこなくてもお前1人で何とかなるんじゃないのか?」「それに、私たちよりもスムーズにできそうだし……」彩芽も続く。「ならこう考えてみろ、俺みたいなことやってるやつがたくさんいると思うか?」「…………。」「こういう事をやってても所詮はニートなんだ。それにニートの奴らがみんなこんなことしてるわけがないしな。
それに、俺が残りのキーを集めに行ったらハッカーへの対策ががら空きになってしまう。まあ2人でそれをやってくれるのなら俺は今からでも集めに行くけど」「…………。」「分かってくれたか?じゃあやり方説明してやるからさ」そう言って赤欄は時代のコンピュータの一部を指さした。

「今ディスプレイに検索エンジンが映し出されてるのが分かるか?これに過去に何か過去に関するキーワードを打ち込む。すると色々と検索結果が出てくる。その中から気になるものを探してクリックするとこの暗闇から渦みたいなのが出てくる。その中に入れば過去にタイムスリップできるわけだ」 「お前ら、まずは早速弥生時代からだ。なんかキーワード思いつくか、彩芽?」「え?っていうかなんで私だけ?」「………すまない彩芽、2人の名前を入力してから分かったんだが、広一は幼いころに親や親戚を失っててろくに教育を受けてないらしいんだ。だからこういう知識面では彩芽しか頼りにならない」「じゃあ、あいつは?」広一が彩芽を指さした。「彩芽は両親が医者、それも医師会で高い役職に就いてるくらいのだ。つまり金持ちのボンボン、広一とは正反対だ。俺も適当に打ったのに、まさかここまでの凸凹コンビが誕生するとは…」赤欄はそこまで悲観していない、むしろ笑っている。
「でもこの世の中、凸凹コンビってはじめは大変だけど後々良かったりするんだよな」2人はお互いをじっと見る。しかしお互い疑ったような眼をしている。
「話がだいぶ長くなったな。彩芽、なんか打ち込んでくれ」とは言うもののキーは全てそろっていない。だが、彩芽はすぐ手を動かしていた。
“弥生 偉人”。 そして彩芽はすかさず『卑弥呼』というワードが含まれているサイトをクリック。赤欄の説明の通り、3人の目の前に渦のようなものが現れた。「それじゃ、弥生時代に行ってらっしゃい。俺はここでハッカーを取り締まったりお前たちに指示出したりするから」「行ってきます」2人は一言残して渦の中に入っていった。
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