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1章

シエルの惚れた女

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「お前はどう思う?」

「惚れてなくても…妻として尊重はしているようです」

「本当はあの女が良かったんだけどな…あいつが唯一惚れた女。ああ、可愛い俺の弟が惚れたのだから殺さなければよかったな。もっと苦しめるべきだった」

「陛下、あの男の弱点を作ってどうなさるのですか?」

『影』が問う。と言っても『影』にその検討はついていた

「ゆっくりと確実にあいつを殺すんだよ…心から、な」

「流石陛下。面白そうです」

「まあ今こそ逃げ出した臆病者だが、昔はあれでも王子だ。そんな簡単には出来ないだろうが」

「楽しみです」

「ああ…」

「では、失礼します」

『影』は静かに消え去る



「ラナ様、執事候補の紙は」

「まだみたいね」

「そうですか」

トントントン

「マリー」

ガチャ

「はい…えっと貴方はジーク様?」

「はい、執事長からの命令で参りました」

「アイザック様から?」

「はい。執事候補の書が見つからないみたいで、専属執事が決まるまでは」

「マリー、誰だったの?」

「アイザック様から派遣された執事です」

「初めまして、ジークと申します。奥様にお会いできて光栄です」

「そうなの。よろしくね」

「はい。未熟者ですが、精一杯善処致しますのでよろしくお願い致します」

「ええ」

「ラナ様、では執事選びは出来ませんので」

「まずは領地と予算ね、ジーク、マリー!」

「「はい」」

「2人とも資料を持ってきて」

「わかりました。では、私は予算を」

マリーがそう言うとジークも後に言う

「私は領地をやります」

「わかったわ、はいこれ」

ラナ様が何かをささっと書き、私に渡す

「なんですか?これ」

「特別図書館入館許可証」

「ありがとうございます」

「では、失礼します」

確か図書館にあったよね

「図書館への道わかるのか?」

後ろからジーク様が追いついてくる

「ええ」

「あのさ、同じ立場なんだし敬語使わないでくれ」

「わかりました…わかった」

「それでいいんだ」

「ここから先は1部の者しか入れません」

「奥様からの命令です」

そう言って特別図書館入館許可証を見せる

「わかりました。どうぞ」

「ありがとうございます」

特別図書館の扉を開ける

そこはシエル様との懐かしの場所だった










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