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第三章
41 良い人生だった
――『初めて抱きしめられたから、ドキドキした』
その台詞はルブリアンの心を強く締め付けた。
こうした感情には慣れていない。抱きしめられるのはこれが初めて……まだ幼いシロファスが魔塔に連れられてくる場面を想像し、腕に力が入った。
「あの、団長……?」
「もう寝ろ」
おずおずとシロファスが言うので、ルブリアンは体を離す。
それからベッドにシロファスの体を横たえた。大きな目がランプの灯りのせいで光を蓄えている。
「寝ていろ。夕食の時間になったら使用人が呼びにくる」
「さっきみたいに団長と一緒にご飯食べられるってこと?」
どうしてそう解釈したんだ。
まともな食事を用意するとは言ったが同じ食卓につくとは言っていない。だが「だんちょう……」と寂しがるような目線を前に、口は開けないし、何なら部屋を出て行くこともできなかった。
一度立ち上がったルブリアンだがため息混じりに椅子に腰を下ろす。足を組むと、ベッドの中のシロファスがニカっと笑った。
「あのさ、団長、俺、今日はこんな風に弱ってしまったけれど、明日からは頑張るから」
「……暫く騎士団と魔法軍への魔力供給は禁止する」
「えーっ」
大声をあげてすぐさま上半身を起こすシロファスを、ルブリアンも速やかに元の姿勢へ横たえた。
「寝ていろと言ったよな?」
「……は、はい。でもどうして仕事を無くす? 俺、役に立てるよ!」
「もう十分役に立っている」
「魔力供給だけじゃなくても! 魔獣討伐とか、あと麻薬探しとか」
「あぁ。今回、母上の持っていた飴玉を麻薬と見抜いたんだったな」
「そうだよ。俺はそういうのが得意なんだ」
「得意?」
「昔、薬を探す仕事をしてたこともある」
「……」
昔、と言ったシロファスは血を吐かない。魔塔での生活に関してではないということだろう。
だとすると魔塔に来る前?
――『殆どの子達は記憶を――』
森から救い出した時、シロファスが言いかけていた言葉が不意に頭を過ぎる。推測するに『記憶を消されている』のだが、シロファスはその限りではないのだろうか。
すると突然シロファスが言った。
「俺はね、もうとっくに死んでた命なんだ」
囁き声に近い優しい声色だった。
ルブリアンを見上げるシロファスの、まるで慈悲深さすら感じる暖かな瞳。
ルブリアンは唾を飲み込んだ。
「……どういう意味だ?」
「……」
シロファスの体には何も異常がない。呪いが発動しない……またもや魔塔でのことではない?
シロファスは唇の隙間からそっと息を吸った後、吐息混じりに呟いた。
「そのままの意味だよ。本当ならもう終わってた生命が、またしても、始まった」
横たわったまま薄い唇から言葉を告げるシロファス。ルブリアンより年下の彼の目つきはやけに老成していて、その一瞬だけルブリアンは、はるかに年上の……長らく生きてきたナニカを前にしたように錯覚し息を止めた。
背筋に悪寒が走る。魔獣より上位の存在である精霊や妖精、神霊を前にしたような感覚に陥ったのだ。
「けれどまたここで生きることができる」
けれど彼の『生きる』という言葉で、その錯覚が魔法のように解けた。
目の前には必死に生きるシロファスという青年がいる。翠の瞳に光をこれ以上入らないほど溜めたシロファスは、ニコーッと笑った。
「ここあたたかいね。団長もあたたかい?」
ふぅ、と息を吐き、ルブリアンは頷いた。
「あぁ」
「夕食、一緒に食べられるんだもんね」
肯定した覚えはないがシロファスの中では決定事項らしい。従順だがふてぶてしい資質も潜在している。どれも素直さゆえなのだろう。
ルブリアンは「分かった」と頷いた。
シロファスは笑顔をより溌剌とさせて、眠る気など微塵も見せない明るさで「やったぁ」と嬉しそうにする。だが途中で思い出したようにハッとし、先程のルブリアンの発言を流せないようで言及してくる。
「ところでさっきの騎士団の仕事を辞めさせるって発言に関してだけど……」
「辞めさせるとは言ってない。一時的に禁止するだけだ」
シロファスはスンと深刻な顔をして言った。
「なぜ」
なぜ……。
「……お前は働きすぎている」
「でも団長の役に立ててるんだよね?」
ルブリアンは無性にシロファスに触れたくなり、ひとまず前髪を撫でた。
「母上の治療をしてくれるんだろう?」
「うん!」
「ならそれに集中しろ」
「そういうことか! オッケー!」
オッケー?
「任せてっ」
「ああ」
「いっぱい役に立つから! ご主人様のために!」
ご主人様……。
かなり気分が上がっているようで訳の分からない言葉を繰り出している。全く眠る気配がない。これはいっそ眠らせるのを諦めて菓子でも与えてみるか、と考えが頭に浮かぶも、たった十数秒前の興奮は何だったのかいきなりシロファスはフニャと目を瞬かせた。
「眠くなってきた……」
「本当に突然だな」
「暖かい……お腹いっぱい……俺からいい匂いがする……ここに来れてよかった」
声も微睡を帯びていく。
「素敵な光景に出会えた」
「素敵な光景?」
鸚鵡返しに訊くと、シロファスはふわっとした笑みを浮かべる。
「団長とシャルロットさんが食事しているところ」
ルブリアンはシロファスを見下ろしている。
「団長が騎士団のみんなと一緒にいるところ。魔獣と戦っているところや、馬に乗ってたり、ご飯食べてたり……」
「俺がメシを食ってる光景が『素敵』なのか?」
「うん。素敵で幸せだよ」
シロファスは遂に目を閉じる。
ルブリアンに見つめられたまま。
「俺も、幸せだったなぁ」
シロファスは寝言みたいに呟いた。
「良い人生だった……」
それを最後に言葉は失せて、やがて小さな寝息が聞こえてくる。
ルブリアンは暫くその寝顔を見下ろしていたが、ランプの灯りを消して部屋を出た。
なぜシロファスがルブリアンをここまで考えているのか、その理由は不明だ。
初めて出会った時、言っていた……。
――『俺はずっと、本当にずっと、貴方に会えるのを待っていたんです!』
魔塔に残された子供達を救うためにルブリアンを探していたのであろう。代々神聖騎士団が魔塔の放つ魔獣や魔法使いと戦っていたのは周知の事実で、ルブリアンも例に漏れず魔塔の連中を含めた隣国と戦争をしていた。
シロファスはその話を知り、ルブリアンに『会える』ことを待ち望んでいたのだ。
けれども、どうだろう。シロファスの口振りはまるでルブリアンの幸福を願うようだったのである。
魔塔を救うための武器としてルブリアンと接触できたことを喜ぶというより、ルブリアンとの交流自体に喜びを感じているように。
実際のシロファスの考えは分からない。この一ヶ月近くと昨日からの濃厚な時間を過ごし、シロファスがただ単純な男ではないことは理解していた。
シロファスの本当の考えは不明瞭だ……しかしこれだけは分かる。
――『良い人生だった』とシロファスは過去形にした。
自分がこの先生きていけると全く思っていないのだ。
「……」
ルブリアンは一度立ち止まり、また歩き出した。
まずは邸宅の使用人として潜んでいた不届者らを処罰しなければならない。
その台詞はルブリアンの心を強く締め付けた。
こうした感情には慣れていない。抱きしめられるのはこれが初めて……まだ幼いシロファスが魔塔に連れられてくる場面を想像し、腕に力が入った。
「あの、団長……?」
「もう寝ろ」
おずおずとシロファスが言うので、ルブリアンは体を離す。
それからベッドにシロファスの体を横たえた。大きな目がランプの灯りのせいで光を蓄えている。
「寝ていろ。夕食の時間になったら使用人が呼びにくる」
「さっきみたいに団長と一緒にご飯食べられるってこと?」
どうしてそう解釈したんだ。
まともな食事を用意するとは言ったが同じ食卓につくとは言っていない。だが「だんちょう……」と寂しがるような目線を前に、口は開けないし、何なら部屋を出て行くこともできなかった。
一度立ち上がったルブリアンだがため息混じりに椅子に腰を下ろす。足を組むと、ベッドの中のシロファスがニカっと笑った。
「あのさ、団長、俺、今日はこんな風に弱ってしまったけれど、明日からは頑張るから」
「……暫く騎士団と魔法軍への魔力供給は禁止する」
「えーっ」
大声をあげてすぐさま上半身を起こすシロファスを、ルブリアンも速やかに元の姿勢へ横たえた。
「寝ていろと言ったよな?」
「……は、はい。でもどうして仕事を無くす? 俺、役に立てるよ!」
「もう十分役に立っている」
「魔力供給だけじゃなくても! 魔獣討伐とか、あと麻薬探しとか」
「あぁ。今回、母上の持っていた飴玉を麻薬と見抜いたんだったな」
「そうだよ。俺はそういうのが得意なんだ」
「得意?」
「昔、薬を探す仕事をしてたこともある」
「……」
昔、と言ったシロファスは血を吐かない。魔塔での生活に関してではないということだろう。
だとすると魔塔に来る前?
――『殆どの子達は記憶を――』
森から救い出した時、シロファスが言いかけていた言葉が不意に頭を過ぎる。推測するに『記憶を消されている』のだが、シロファスはその限りではないのだろうか。
すると突然シロファスが言った。
「俺はね、もうとっくに死んでた命なんだ」
囁き声に近い優しい声色だった。
ルブリアンを見上げるシロファスの、まるで慈悲深さすら感じる暖かな瞳。
ルブリアンは唾を飲み込んだ。
「……どういう意味だ?」
「……」
シロファスの体には何も異常がない。呪いが発動しない……またもや魔塔でのことではない?
シロファスは唇の隙間からそっと息を吸った後、吐息混じりに呟いた。
「そのままの意味だよ。本当ならもう終わってた生命が、またしても、始まった」
横たわったまま薄い唇から言葉を告げるシロファス。ルブリアンより年下の彼の目つきはやけに老成していて、その一瞬だけルブリアンは、はるかに年上の……長らく生きてきたナニカを前にしたように錯覚し息を止めた。
背筋に悪寒が走る。魔獣より上位の存在である精霊や妖精、神霊を前にしたような感覚に陥ったのだ。
「けれどまたここで生きることができる」
けれど彼の『生きる』という言葉で、その錯覚が魔法のように解けた。
目の前には必死に生きるシロファスという青年がいる。翠の瞳に光をこれ以上入らないほど溜めたシロファスは、ニコーッと笑った。
「ここあたたかいね。団長もあたたかい?」
ふぅ、と息を吐き、ルブリアンは頷いた。
「あぁ」
「夕食、一緒に食べられるんだもんね」
肯定した覚えはないがシロファスの中では決定事項らしい。従順だがふてぶてしい資質も潜在している。どれも素直さゆえなのだろう。
ルブリアンは「分かった」と頷いた。
シロファスは笑顔をより溌剌とさせて、眠る気など微塵も見せない明るさで「やったぁ」と嬉しそうにする。だが途中で思い出したようにハッとし、先程のルブリアンの発言を流せないようで言及してくる。
「ところでさっきの騎士団の仕事を辞めさせるって発言に関してだけど……」
「辞めさせるとは言ってない。一時的に禁止するだけだ」
シロファスはスンと深刻な顔をして言った。
「なぜ」
なぜ……。
「……お前は働きすぎている」
「でも団長の役に立ててるんだよね?」
ルブリアンは無性にシロファスに触れたくなり、ひとまず前髪を撫でた。
「母上の治療をしてくれるんだろう?」
「うん!」
「ならそれに集中しろ」
「そういうことか! オッケー!」
オッケー?
「任せてっ」
「ああ」
「いっぱい役に立つから! ご主人様のために!」
ご主人様……。
かなり気分が上がっているようで訳の分からない言葉を繰り出している。全く眠る気配がない。これはいっそ眠らせるのを諦めて菓子でも与えてみるか、と考えが頭に浮かぶも、たった十数秒前の興奮は何だったのかいきなりシロファスはフニャと目を瞬かせた。
「眠くなってきた……」
「本当に突然だな」
「暖かい……お腹いっぱい……俺からいい匂いがする……ここに来れてよかった」
声も微睡を帯びていく。
「素敵な光景に出会えた」
「素敵な光景?」
鸚鵡返しに訊くと、シロファスはふわっとした笑みを浮かべる。
「団長とシャルロットさんが食事しているところ」
ルブリアンはシロファスを見下ろしている。
「団長が騎士団のみんなと一緒にいるところ。魔獣と戦っているところや、馬に乗ってたり、ご飯食べてたり……」
「俺がメシを食ってる光景が『素敵』なのか?」
「うん。素敵で幸せだよ」
シロファスは遂に目を閉じる。
ルブリアンに見つめられたまま。
「俺も、幸せだったなぁ」
シロファスは寝言みたいに呟いた。
「良い人生だった……」
それを最後に言葉は失せて、やがて小さな寝息が聞こえてくる。
ルブリアンは暫くその寝顔を見下ろしていたが、ランプの灯りを消して部屋を出た。
なぜシロファスがルブリアンをここまで考えているのか、その理由は不明だ。
初めて出会った時、言っていた……。
――『俺はずっと、本当にずっと、貴方に会えるのを待っていたんです!』
魔塔に残された子供達を救うためにルブリアンを探していたのであろう。代々神聖騎士団が魔塔の放つ魔獣や魔法使いと戦っていたのは周知の事実で、ルブリアンも例に漏れず魔塔の連中を含めた隣国と戦争をしていた。
シロファスはその話を知り、ルブリアンに『会える』ことを待ち望んでいたのだ。
けれども、どうだろう。シロファスの口振りはまるでルブリアンの幸福を願うようだったのである。
魔塔を救うための武器としてルブリアンと接触できたことを喜ぶというより、ルブリアンとの交流自体に喜びを感じているように。
実際のシロファスの考えは分からない。この一ヶ月近くと昨日からの濃厚な時間を過ごし、シロファスがただ単純な男ではないことは理解していた。
シロファスの本当の考えは不明瞭だ……しかしこれだけは分かる。
――『良い人生だった』とシロファスは過去形にした。
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