45 / 76
第四章
45 敵はこの血
しおりを挟む
父の言ったとおり、停戦から一年以内で国境付近で争いが勃発した。その後ルーストランドに侵攻したベルマニアの部隊が、非戦闘員の村人を襲ったことで、本格的な戦争へ変化していく。
国同士の総力戦にならないよう、国境付近で戦を留める必要がある。ロドリックが出陣してから更に戦況は悪化していったが、幸いにも公爵邸付近までは侵攻されなかった。
軍人同士の戦争とはいえ、市街地戦ではすでに非戦闘地へ避難した住民の生活していた痕跡が見られて胸が痛かった。まだ、その痕跡を気にしてられるなら良かったと後から思う。
人を殺した時、ロドリックは十四歳だった。
数ヶ月に及ぶ戦闘から、公爵邸に帰還した夜。
テオバルトは九歳になっていた。弟とは元々話す方ではない。けれどその夜、なぜか彼がロドリックに語りかけた。
「兄さん」
しかし、ロドリックは無視をした。
テオバルトだけでなく、邸宅の者に『おかえりなさいませ』と告げられるのでさえ苦痛だったのだ。
その日帰還したロドリックは、今までの自分が、この血に潜んでいる黒い男に塗り替えられた気がしていた。もう以前までのロドリックではない。何だか、狂っているような気もする。同時にとにかく、疲れていた。しかしとても疲弊しているのに夜に眠るのも難しくなり、悪夢を見るようになる。
どれだけ眠れなくても戦は続いていた。国境警備部隊から情報が入ればすぐに出兵する。昼も夜も悪夢の繰り返しだった。どちらの方がマシかは、ロドリックにはよく分からなかった。
たまに戦場で、あぁ今死ぬんだなと気づく時があった。するとロドリックは、決まって、遠い昔に見た幾つかの景色を思い出す。
例えば、子供の頃に父や母と共に傍系貴族の邸宅へ向かった日の記憶だ。その邸宅は海辺にあり、嵐がやってくると海は巨大な化物のように荒れ狂う。一方で風のない晴れた空の下では、海は青い宝石の絨毯が広がっているかのように煌めいていた。
だがロドリックは、その嵐の恐ろしさも海の美しい煌めきも、一人で眺めていて、父と共有することはなかった。
父はいつも遠くにいて、彼と海を眺めたことは一度もなかったから。
嵐の海を思い出しながらも、ロドリックは、吹き荒れる嵐のような戦場にいる。
結局いつも生き残っていた。仲間の誰かが救出してくれるが、それは常に父ではない。
いつも父はロドリックの傍にいない。共に海を眺めたことがなかったように、この嵐をすぐ近くで突き進むこともない。
不意に、考えた。
――もしここで俺が死ねば、父は馬を止めてくれるのだろうか。
考えてもすぐに答えを知る。
きっと父は振り向かないだろう。
ロドリックの死体を横目にして突き進んでいく。
……しかし、先に死んだのは父だった。
父の死体の傍を通り過ぎていったのはロドリックの方だったのだ。
「俺は父が死んでから、公爵家を継ぎ、騎士団の団長となった」
訥々と語るロドリックに、ユリアンが頷く。
「十五歳で公爵となったとはお聞きしていました。随分、お若いなと」
「若いと言っても十五だ。父は俺を軍人にするという役目を果たした」
ユリアンの瞳は紫の目をしている。魔法の夜のような、綺麗な色だった。
本当に、魔法のようだった。彼の穏やかな目を見つめていると、勝手に言葉が紡がれる。
「母が死んだのは、父が戦死してから二年後だった」
そのせいだろう。ロドリックはどこか安心した心地で、彼らの死を語ることができた。
――父が死んでからは母の行動がより大胆になっていった。
我が国ルーストランド王国の侵略を推進しているのは、ベルマニア王国の王と強硬派の貴族たちだ。穏健派の王弟とその他の貴族たちと終戦の話を進めようと、母はルーストランド王室と貴族達に働きかけ、実際にベルマニアの王弟と会談を果たすことに成功した。
そうして、父が亡くなってから二年後に母は殺された。
公爵を継いだロドリックは十七歳で、テオバルトはまだ十二歳だった。
ロドリックはその夜、『知らせ』を受け取った。王都へ向かった母を護衛していた騎士の生き残りからの手紙だ。彼はロドリックに手紙を渡すと、何か語る前に息絶えた。
手紙を読んだロドリックは、馬に跨った。
その知らせを胸ポケットにしまって、騎士らと共に母の元へ駆けていく。
母を信じたことが間違いだったのか、正しかったのか。
その答えを知るために、ロドリックは残虐を尽くされた森へと向かった。
父も母もいなくなった公爵邸は、テオバルトに預けることにした。母の代わりに領地経営や王室とのやり取りを、今後テオバルトに任せるのだ。そのために執事長や他の使用人達、親戚の貴族の主も協力してくれた。
ロドリックからテオバルトに教育することは何一つない。ロドリックが知ってるのは戦いだけだ。
しかし、ただ一つだけテオバルトに言いつけた。
とにかく、「何もするな」と。
母の行いを禁じたのだ。この戦争を止めるために働きかけるな。
大人しくしていろ。何かを知ろうとしてはいけない。知ってはいけない。ベルマニアに目を付けられるような目立つ行いは絶対にするな。
頼むから、何もしないでくれ。
幼いテオバルトは頷いた。そうして二人は、完璧に生き方を分けた。
ロドリックは戦地へ向かい、テオバルトは公爵邸で人々を生かすために教育を受ける。たまにロドリックも邸宅へ帰還したが、弟とは仕事や必要不可欠な会話以外の言葉は交わさなくなっていた。
テオバルトは忠実に言いつけを守っていたし、騎士団へ関わろうとは一切しなかった。テオバルトの非干渉はロドリックに安堵を齎したが、その一方で、睡眠障害は深刻となっていった。
不思議とロドリックが夢に見るのは、特定の三つの記憶が殆どだ。
一つは戦地での記憶。ロドリックは夢の中で、仲間の遺体をどうやって持ち帰るべきかを考えている。耳元ではいろいろな声がする。それが生者の声なのか、死者の声なのか、ロドリックには判別できない。現実に起きたことと妄想がごった返しになった夢だった。
二つ目は、母を護衛していた騎士からの手紙を受け取った瞬間からの再生だ。
それはとても精巧な記憶を再現した夢で、あの手紙を手にした時の息遣いまでもが正しい。
母が死の間際に残した手紙を、ロドリックは開く。懺悔ばかり綴られた手紙を読んだロドリックは、戦闘用の軍服に着替え始める。夜明け前に出発した。愛馬に跨る時、テオバルトが使用人と共にこちらを眺めていた。ロドリックは彼を横目にした後、薄暗い空を見上げて、
「寒いなぁ」
と呟いた。
馬を走らせた時点で目が覚める。不思議といつも、血に濡れた森へ辿り着く前に夢は終わる。
三つ目は、晴れた午後の思い出だ。
それはロドリックの思い出ではない。幼いテオバルトと父が庭を散歩していた光景で、昔から何度も夢に現れる。
十八で成人を迎え、二十歳になってもずっと。
そうやって、大人になればなるほど、ロドリックは父と似通っていく。同じ黒髪に鋭い目つき。人より高い背丈に、屈強な体。
それは祖父に近付いていくのと同義だった。
……きっと父も、幼い頃に知ったのだろう。
己は『その男』に近付いていくのだと。
遠い昔に、幼い父の絵を見たことがある。少年の父は祖父の隣に立っていて、小さな軍服に身を包んでいる。こちらを睨みつけるような、縋るような幼い少年の目は黄金だった。その隣に立つ黒髪の男は公爵騎士団の最高司令としての軍服を着ている。ただひたすら鋭い視線を向けていて、隣の子供には一切関心を払わない。
その二人の姿はまるで、ロドリックと父そのものだった。
絵の中に残る二人の視線が合わさることはないし、きっと現実でもそうだったのだろう。父は子供の頃、恐怖と諦念を抱いていたはずだ。
その感情は大人になり、ロドリックが生まれると、再び蘇った。父を虐める負の感情はロドリックの前でだけ繰り返される。黒髪は呪いの色。血を色濃く継いだ厳しい顔は何もかも、父に覚えのあるもの。
ロドリックと共にいる時の父はきっと、あの絵に映る少年に戻っていたのだ。
その父が親になれるのは、祖父とも父自身とも似ていないテオバルトの前だけだった。
夢の中で、あの人は、ロドリックが見たこともない笑顔をテオバルトに向ける。その笑みは安堵に満ち溢れていて、穏やかだった。
黒髪の男は、小柄な茶髪の少年を抱き上げる。少年はふんわりとした笑顔を浮かべ、柔らかそうな手のひらで男の頬を触る。男は少年の茶髪を撫でて、花の道を歩いていく。
取り残されたロドリックは夢の中で、大人になっていた。その姿はたった今過ぎ去っていったその男や、祖父にそっくりだった。
こんなにも似ている。ロドリックは硬い手のひらを見つめてみる。子供の頃には考えていた。
――どうして父上は俺を見てくれないのだろう?
いつか、弟へ向けるような笑顔を、同じ目線で浮かべてくれることはあるのだろうか。
俺と一緒に眠ることはあるのだろうか。
今ならその答えを知っている。
……分かるよ。
貴方が俺に触れるわけがない。
なぜなら貴方は俺に、恐怖していたから。
恐怖していたし、憎んでいたし、許せなかった。
心からロドリックを恐れていたのだから、目線を合わせることはできないし、共に眠れるわけがなかった。
彼にとって本当の悪魔はロドリックだった。敵はこの血。黒い小さな悪魔に見つめられて、あの人はどれだけ恐ろしかっただろう。愛せるはずがなかった。触れられるはずがなかった。
きっと父という子は、ロドリックという父に復讐をしたかったのだ。
ただ、それだけだった。
国同士の総力戦にならないよう、国境付近で戦を留める必要がある。ロドリックが出陣してから更に戦況は悪化していったが、幸いにも公爵邸付近までは侵攻されなかった。
軍人同士の戦争とはいえ、市街地戦ではすでに非戦闘地へ避難した住民の生活していた痕跡が見られて胸が痛かった。まだ、その痕跡を気にしてられるなら良かったと後から思う。
人を殺した時、ロドリックは十四歳だった。
数ヶ月に及ぶ戦闘から、公爵邸に帰還した夜。
テオバルトは九歳になっていた。弟とは元々話す方ではない。けれどその夜、なぜか彼がロドリックに語りかけた。
「兄さん」
しかし、ロドリックは無視をした。
テオバルトだけでなく、邸宅の者に『おかえりなさいませ』と告げられるのでさえ苦痛だったのだ。
その日帰還したロドリックは、今までの自分が、この血に潜んでいる黒い男に塗り替えられた気がしていた。もう以前までのロドリックではない。何だか、狂っているような気もする。同時にとにかく、疲れていた。しかしとても疲弊しているのに夜に眠るのも難しくなり、悪夢を見るようになる。
どれだけ眠れなくても戦は続いていた。国境警備部隊から情報が入ればすぐに出兵する。昼も夜も悪夢の繰り返しだった。どちらの方がマシかは、ロドリックにはよく分からなかった。
たまに戦場で、あぁ今死ぬんだなと気づく時があった。するとロドリックは、決まって、遠い昔に見た幾つかの景色を思い出す。
例えば、子供の頃に父や母と共に傍系貴族の邸宅へ向かった日の記憶だ。その邸宅は海辺にあり、嵐がやってくると海は巨大な化物のように荒れ狂う。一方で風のない晴れた空の下では、海は青い宝石の絨毯が広がっているかのように煌めいていた。
だがロドリックは、その嵐の恐ろしさも海の美しい煌めきも、一人で眺めていて、父と共有することはなかった。
父はいつも遠くにいて、彼と海を眺めたことは一度もなかったから。
嵐の海を思い出しながらも、ロドリックは、吹き荒れる嵐のような戦場にいる。
結局いつも生き残っていた。仲間の誰かが救出してくれるが、それは常に父ではない。
いつも父はロドリックの傍にいない。共に海を眺めたことがなかったように、この嵐をすぐ近くで突き進むこともない。
不意に、考えた。
――もしここで俺が死ねば、父は馬を止めてくれるのだろうか。
考えてもすぐに答えを知る。
きっと父は振り向かないだろう。
ロドリックの死体を横目にして突き進んでいく。
……しかし、先に死んだのは父だった。
父の死体の傍を通り過ぎていったのはロドリックの方だったのだ。
「俺は父が死んでから、公爵家を継ぎ、騎士団の団長となった」
訥々と語るロドリックに、ユリアンが頷く。
「十五歳で公爵となったとはお聞きしていました。随分、お若いなと」
「若いと言っても十五だ。父は俺を軍人にするという役目を果たした」
ユリアンの瞳は紫の目をしている。魔法の夜のような、綺麗な色だった。
本当に、魔法のようだった。彼の穏やかな目を見つめていると、勝手に言葉が紡がれる。
「母が死んだのは、父が戦死してから二年後だった」
そのせいだろう。ロドリックはどこか安心した心地で、彼らの死を語ることができた。
――父が死んでからは母の行動がより大胆になっていった。
我が国ルーストランド王国の侵略を推進しているのは、ベルマニア王国の王と強硬派の貴族たちだ。穏健派の王弟とその他の貴族たちと終戦の話を進めようと、母はルーストランド王室と貴族達に働きかけ、実際にベルマニアの王弟と会談を果たすことに成功した。
そうして、父が亡くなってから二年後に母は殺された。
公爵を継いだロドリックは十七歳で、テオバルトはまだ十二歳だった。
ロドリックはその夜、『知らせ』を受け取った。王都へ向かった母を護衛していた騎士の生き残りからの手紙だ。彼はロドリックに手紙を渡すと、何か語る前に息絶えた。
手紙を読んだロドリックは、馬に跨った。
その知らせを胸ポケットにしまって、騎士らと共に母の元へ駆けていく。
母を信じたことが間違いだったのか、正しかったのか。
その答えを知るために、ロドリックは残虐を尽くされた森へと向かった。
父も母もいなくなった公爵邸は、テオバルトに預けることにした。母の代わりに領地経営や王室とのやり取りを、今後テオバルトに任せるのだ。そのために執事長や他の使用人達、親戚の貴族の主も協力してくれた。
ロドリックからテオバルトに教育することは何一つない。ロドリックが知ってるのは戦いだけだ。
しかし、ただ一つだけテオバルトに言いつけた。
とにかく、「何もするな」と。
母の行いを禁じたのだ。この戦争を止めるために働きかけるな。
大人しくしていろ。何かを知ろうとしてはいけない。知ってはいけない。ベルマニアに目を付けられるような目立つ行いは絶対にするな。
頼むから、何もしないでくれ。
幼いテオバルトは頷いた。そうして二人は、完璧に生き方を分けた。
ロドリックは戦地へ向かい、テオバルトは公爵邸で人々を生かすために教育を受ける。たまにロドリックも邸宅へ帰還したが、弟とは仕事や必要不可欠な会話以外の言葉は交わさなくなっていた。
テオバルトは忠実に言いつけを守っていたし、騎士団へ関わろうとは一切しなかった。テオバルトの非干渉はロドリックに安堵を齎したが、その一方で、睡眠障害は深刻となっていった。
不思議とロドリックが夢に見るのは、特定の三つの記憶が殆どだ。
一つは戦地での記憶。ロドリックは夢の中で、仲間の遺体をどうやって持ち帰るべきかを考えている。耳元ではいろいろな声がする。それが生者の声なのか、死者の声なのか、ロドリックには判別できない。現実に起きたことと妄想がごった返しになった夢だった。
二つ目は、母を護衛していた騎士からの手紙を受け取った瞬間からの再生だ。
それはとても精巧な記憶を再現した夢で、あの手紙を手にした時の息遣いまでもが正しい。
母が死の間際に残した手紙を、ロドリックは開く。懺悔ばかり綴られた手紙を読んだロドリックは、戦闘用の軍服に着替え始める。夜明け前に出発した。愛馬に跨る時、テオバルトが使用人と共にこちらを眺めていた。ロドリックは彼を横目にした後、薄暗い空を見上げて、
「寒いなぁ」
と呟いた。
馬を走らせた時点で目が覚める。不思議といつも、血に濡れた森へ辿り着く前に夢は終わる。
三つ目は、晴れた午後の思い出だ。
それはロドリックの思い出ではない。幼いテオバルトと父が庭を散歩していた光景で、昔から何度も夢に現れる。
十八で成人を迎え、二十歳になってもずっと。
そうやって、大人になればなるほど、ロドリックは父と似通っていく。同じ黒髪に鋭い目つき。人より高い背丈に、屈強な体。
それは祖父に近付いていくのと同義だった。
……きっと父も、幼い頃に知ったのだろう。
己は『その男』に近付いていくのだと。
遠い昔に、幼い父の絵を見たことがある。少年の父は祖父の隣に立っていて、小さな軍服に身を包んでいる。こちらを睨みつけるような、縋るような幼い少年の目は黄金だった。その隣に立つ黒髪の男は公爵騎士団の最高司令としての軍服を着ている。ただひたすら鋭い視線を向けていて、隣の子供には一切関心を払わない。
その二人の姿はまるで、ロドリックと父そのものだった。
絵の中に残る二人の視線が合わさることはないし、きっと現実でもそうだったのだろう。父は子供の頃、恐怖と諦念を抱いていたはずだ。
その感情は大人になり、ロドリックが生まれると、再び蘇った。父を虐める負の感情はロドリックの前でだけ繰り返される。黒髪は呪いの色。血を色濃く継いだ厳しい顔は何もかも、父に覚えのあるもの。
ロドリックと共にいる時の父はきっと、あの絵に映る少年に戻っていたのだ。
その父が親になれるのは、祖父とも父自身とも似ていないテオバルトの前だけだった。
夢の中で、あの人は、ロドリックが見たこともない笑顔をテオバルトに向ける。その笑みは安堵に満ち溢れていて、穏やかだった。
黒髪の男は、小柄な茶髪の少年を抱き上げる。少年はふんわりとした笑顔を浮かべ、柔らかそうな手のひらで男の頬を触る。男は少年の茶髪を撫でて、花の道を歩いていく。
取り残されたロドリックは夢の中で、大人になっていた。その姿はたった今過ぎ去っていったその男や、祖父にそっくりだった。
こんなにも似ている。ロドリックは硬い手のひらを見つめてみる。子供の頃には考えていた。
――どうして父上は俺を見てくれないのだろう?
いつか、弟へ向けるような笑顔を、同じ目線で浮かべてくれることはあるのだろうか。
俺と一緒に眠ることはあるのだろうか。
今ならその答えを知っている。
……分かるよ。
貴方が俺に触れるわけがない。
なぜなら貴方は俺に、恐怖していたから。
恐怖していたし、憎んでいたし、許せなかった。
心からロドリックを恐れていたのだから、目線を合わせることはできないし、共に眠れるわけがなかった。
彼にとって本当の悪魔はロドリックだった。敵はこの血。黒い小さな悪魔に見つめられて、あの人はどれだけ恐ろしかっただろう。愛せるはずがなかった。触れられるはずがなかった。
きっと父という子は、ロドリックという父に復讐をしたかったのだ。
ただ、それだけだった。
2,963
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
「オレの番は、いちばん近くて、いちばん遠いアルファだった」
星井 悠里
BL
大好きだった幼なじみのアルファは、皆の憧れだった。
ベータのオレは、王都に誘ってくれたその手を取れなかった。
番にはなれない未来が、ただ怖かった。隣に立ち続ける自信がなかった。
あれから二年。幼馴染の婚約の噂を聞いて胸が痛むことはあるけれど、
平凡だけどちゃんと働いて、それなりに楽しく生きていた。
そんなオレの体に、ふとした異変が起きはじめた。
――何でいまさら。オメガだった、なんて。
オメガだったら、これからますます頑張ろうとしていた仕事も出来なくなる。
2年前のあの時だったら。あの手を取れたかもしれないのに。
どうして、いまさら。
すれ違った運命に、急展開で振り回される、Ωのお話。
ハピエン確定です。(全10話)
2025年 07月12日 ~2025年 07月21日 なろうさんで完結してます。
【完結】マジで婚約破棄される5秒前〜婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ悪役令息は一体どうしろと?〜
明太子
BL
公爵令息ジェーン・アンテノールは初恋の人である婚約者のウィリアム王太子から冷遇されている。
その理由は彼が侯爵令息のリア・グラマシーと恋仲であるため。
ジェーンは婚約者の心が離れていることを寂しく思いながらも卒業パーティーに出席する。
しかし、その場で彼はひょんなことから自身がリアを主人公とした物語(BLゲーム)の悪役だと気付く。
そしてこの後すぐにウィリアムから婚約破棄されることも。
婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ一体どうしろと?
シナリオから外れたジェーンの行動は登場人物たちに思わぬ影響を与えていくことに。
※小説家になろうにも掲載しております。
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる