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第一章 全国一位の実力
「このちりぬるを、受けてみよーッ」
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「時間制限は一時間。先に三点取ったほうが勝ちで、いいよなあ」
相手のキャプテンがフロントセンターに立ち、八重歯を見せ、悪役らしさ溢れる笑みを浮かべた。固く尖った焦げ茶色のスポーツ刈りが様になっていてガタイもいい。広い額が自信を物語っている。左胸には山田ジョンと縦書きの刺繍がある。第一印象、バカそう。
だが向かいに並ぶのは、第一回全国大会で優勝した万葉高校の選手たちである。入試の偏差値もすこぶる高い、巷では難関の男子校だ。万葉高校の文芸バレーボール部は、もっと大規模なチームのはずだ。こっちを見下しているらしく六人だけを向かわせて来やがった。赤紫と紺の縦ボーダーシャツ、そして黒地に白ラインが入ったズボンという妙な体操服を着こなしている。六人とも縦横共に大きく筋肉質だ。敵のキャプテンが大きく鼻を鳴らした。俺はその山田ジョンとやらを見上げ強気に告げる。練習とはいえ、かなり気合いが入った。
「全国大会と同じルールだな。いいぜ。さっさと来いよ」
去年、五十校が参加し六回戦まであった全国大会で俺たち新古今高校は三回戦で敗退している。第一期生の先輩二人がその日、無念のまま引退した。その初春から三ヶ月。同じ校区という唯一の共通点を理由に持ち出して、何度も足を運び頼み込んで、今日ようやく、態度は不良みたいなのに全国一位である奇妙な万葉高校と、初試合のアポが取れたのだ。
我が校の体育館はここ大阪では右に出る校がないほど環境が整っているので、依頼した側だが例外的に来てもらった。それをネタにして数十回も謝らされたが、相手は全国一位だから文句は言えない。敵陣は面倒くさそうに伸びをする。いつも使っている球じゃないと落ち着かねえ、などと言い、やつらは青と黄色の配色をしたボールを持参してきた。俺たち六人の大事な白い排球は、今は体育館の隅で寂しそうに揺れている。
「がははは! てめえらの負けは決まってるのによお、無謀な挑戦を挑んできたよなあ、バッカじゃねえの。なあ、ちっちぇえキャプテンさんよお」
そう凄んだジョンとやらを目の前から睨みつけ、笑って宣戦布告を返してやる。
「やってみないと、わからねえだろ」
強気だけが俺の取り柄だ。
そうだ、背は低いが人並みに筋肉はあって、褐色肌で黒髪なこの俺こそ、国語好きそうな名前してるという理由だけで昨年ここに引きずり込まれた、新古今高校文芸バレーボール部第二期生キャプテン、二年三組の小野マトペである!
ちなみに小野マトペも山田ジョンも、二千百十二年の今ではいたって普通の名前である。昔は違ったらしいが、現在は当て字かカタカナが主流なのだ。
「五十年前はねエ、マトペさんなんて人は、おらんかったよオ」
と、ばあちゃんによく言われるけれども、俺は小野マトペだ。
この名前を案外気に入っている。オノマトペ(擬音語・擬態語)は人それぞれ聞こえ方が違う。だから周りに左右されず自分らしく生きろ、という大切なメッセージがちゃんと込められている、らしい。この説明がないとギャグでしかない名前だが、由来が好きなのだ。
息子に小野マトペと名づけたくて、婚活サイトで小野さんばっかりアタックしたという母さんと、そんな母さんを受け入れた父さんはもう何がなんだかよく分からないが、それでもまあ小野マトペには素敵な由来があるからいい。だが込められた意味が一目で分かる漢字の名前が、この部に入ってからは少し羨ましかったりする。
熱の高まる初夏の体育館で、最強チームと対峙した。さあ、来い。
「新古今高等学校 対 万葉高等学校 練習試合 開始」
俺たちの顧問である古井寿限無先生が両校の間に立って声を張り、合図の尺八を高く吹いた。六人対六人、男たちの熱き闘いが今始まる!
堀田菩菩と胸に刺繍がある、大仏とも般若とも言い難い妙な顔の男がボールを持った。あの名前はたぶんボブと読む。筋肉の上に脂肪を乗せたような図体だ。そいつはバレーボールを柔らかく投げて、野太い声でサーブを打った。
「いろはにほへと」
なん、だと! いろは歌なんて、簡単なフリすぎる。まさか万葉高校、罠か! 初っ端から罠なのか! ボールが飛んでくる。俺の方へ。
「頼んだ小野」
フロントレフトの山ノ内爽流が、度の高いメガネの奥から熱い眼差しを向けてきた。俺とこいつは、まさかの生まれた頃からの幼なじみである。母親同士が高校時代からの付き合いなのだ。ソウルは白い肌にそばかすで髪も目も色素が薄い。曾祖母がロシア人らしい。だが今の時代、クオーターなんてごろごろいるので特別目立つわけではない。こいつは勉強熱心だが、試合では他力本願になってしまうから困る。チャームポイントである瓶底メガネも、たまに練習中にぶっ飛ばし視界がやばいと騒ぎだす。まあ、わざとじゃないから許す。
「任せろソウル」
キャプテンとして俺は構えた。深読みしている暇はない。
「このちりぬるを、受けてみよーッ」
アンダーが高く上がった。さあ万葉はどう返してくる。
「わかよたれそ」
敵陣のバックライトがトスを上げた。
「つねならむ。うゐのおくやま」
相手のコート内で声高らかにボールは行き来している。ソウルと目配せをして頷きあった。なんだ、普通の返しじゃないか。罠ではなかったようだな、バカめ!
「けふこえてえェーい」
あの山田ジョンの叫びとともに、ボールは我ら新古今のコートへ返る。ここ、フロントセンターへと狙ったように飛んできた。行くぜ、アンダー!
「あさきゆめみし」
余裕綽々な俺の声と共に、万葉側へボールは飛ぶ。ふいに、
「かかったな」
目の前で、ジョンが鼻を鳴らして呟いた。
「何っ」
罠ではないと、確信したはず。
「あさきゆめみしの返しは、」
八重歯を見せて笑い、やつは歪んだ眉をしてトスを上げた。そして筋肉質な手で、排球を新古今側へ弾丸のように打ち落とした。
「源氏物語」
指先をかすめてボールが床を叩いた。返しを言いかけていた口は、行き場をなくして空気を飲んだ。尺八が広い体育館に響き渡る。球が少し、バウンドした。
「一対零」
ボールが足元を転がって通過していく。ああ知っている。あれだ。源氏物語を漫画化した、大和和紀の、あさきゆめみしだ。知っていたのに。
バックレフトの池原緋色が、整った無表情のまま敵側へと投げ返した。ヒイロではなくヒーローと読むこいつは、我らの副キャプテンである。「名前負けだ」と当人がキザなことを言いやがって誰にも本名では呼ばせていない。けれどこいつはその名に相応しいかっこよさを、恐ろしいまでに兼ね揃えている。
「ち。噂通り強いな、万葉高校」
舌打ちが癖だ。ヒイロはイケメンで文武両道で女子にモテるというそれだけでも凄まじいのに、加えて努力家で無口でクールときた。八頭身のほどよく高い身長と、スタイリッシュな短い髪と、涼しげな切れ長の目を持っている。ソウルがよく、俺も池原みたいになれたらなアなんて言うが、メガネぶっ飛ばすガリ勉くんにはむりな話だろう。まあ黒髪褐色チビな俺にも、程遠いがな。イケメンな副キャプテンは、無表情で敵コートを見据えている。
サーブの権利は万葉のままだ。文芸バレーボールのルールでは、点が入った時も途切れたワードから再開すると決められている。それは一重にマジカルバナナのルールに同じ!
向こうのバックライトがまたボールを上げる。
「源氏物語」
この堀田菩菩とかいうサーバーの、ヤクザと麻呂を混ぜたみたいな混乱する顔と、百人一首でも読み上げそうな遅い声の組み合わせでものすごく調子が狂う。レシーブが緩やかな弧を描いて飛んでくる。フロントライトの内田歩夢が、
「紫式部、エイッ」
と、うさぎのように跳ねて返したボールを万葉のバックセンターがこう打った。
「上東門院」
内田の方に返ったが、まだ一年生で経験も三ヶ月しかないやつの思考は固まってしまったらしい。上東門院ボールを必死にトスしたものの、言葉は出なかった。尺八が試合を止める。ヒイロが整った顔で、眉だけで怒りを表し舌打ちをする。
「二対零」
古井先生が厳かに言った。これでマッチポイントだ。ちなみに上東門院とは、紫式部が側近として仕えていた一条天皇の中宮、藤原彰子その人の異名である。
「すみません僕、本っ当にすみません先輩」
内田はサラッサラで量が多めのショートカットを下げ、どんぐり眼に涙を浮かべた。小動物っぽい。以前、母さんの本棚にあった平成時代のまんがを開いてみたら、内田みたいな少年がえーと、なんというか、大変なことになっているページを見つけてそっと閉じたことがある。まあつまりこの後輩は女々しい雰囲気のやつだ。で、俺の母さんはそういうのが好きな人だ。しかも趣味が高じたらしく、母さんの職業はそっち方面の漫画家だったりする。
ソウルが俺越しに右を見て、苦笑いで片手を上げた。
「ごめんなアトム、フォロー間に合わなくて」
反射するメガネが、かっこいいという意味ではなく眩しい。
「そんな、山ノ内さんは悪くないですよっ」
内田はふるふると首を振る。不意にバックライトの遠道常侍が膝を折り、後ろから楽しそうに内田をこづいた。一年生のくせにかなり背が高いのだ。やつはブイサインをして笑う。
「まあまあ今はこんなもんっしょ。俺ら第三期生は、これから伸びていけばいいんじゃないの。あ、身長じゃなくて実力ね。なんつって、たはは」
この通り性格も一年生らしくない。常に侍と書いてジョージと読む。へらへらしているこいつには違和感のある漢字だよなあと俺は思う。脱力したようなタレ目と、赤みがかったくせっ毛が軽い印象を増幅させている。先祖にイタリア人がいるとか前に言ってたか。でもジョージのあっけらかんとした態度が新古今チームを引っ張ってくれている節もあるから、常に侍だとは全く思えないが、こいつのことは後輩ながら尊敬している。本人には伝えないが。
「なんだよ遠道、僕がチビだって言いたいのかっ」
頬をふくらませて内田が背伸びをしたので、俺はつい例のまんがを思い出して噴き出した。母曰く、身長差カップルが正義だとかキタコレだとかどうのこうの。ちなみに俺も小さいが、このドチビよりは十七センチも高い。内田なんてたったの一四六センチだ。
「どうかしましたかキャプテン」
「いや、気にするな内田。それよりマッチポイントだ、気合い入れてくぞ」
「はいっ」
「ジョージも、何が伸びていけばいいだ。今も全力尽くせ」
「うぇーい」
万葉がボールをもてあましながら小声の雑談を始めている。時間の無駄だと笑っていた。
あと一点で、終わってしまう。次こそとめる。絶対に!
「上東門院とかハイレベルだぜ。強いぜ万葉高校」
バックセンターの速見オールマイティが、昭和のスポ根まんがのように鼻をこすった。振り向くと、でかっぱなと角刈り頭を持つ巨人が視界を覆う。
速見は、バカだ。バレーは上手いが知識の方は知ったかぶりだ。オールマイティなんて名前をつけられちゃって、名前負けも大概ってところだ。たぶん今も、なぜ上東門院が正解なのかわかっていない。どうせこの試合のあとに、なあキャプテン、さっきのはどういう意味だったんだぜ、とか聞いてくるんだぜ。平均的な学力はあるが、こいつは応用を身に付けようとはしてくれない。バレーボール自体は本当に上手いのに、もったいない話だ。
「弱えなあ。もうマッチポイントじゃねえか」
万葉のキャプテンが品のない声で笑う。上東門院に、なんと返せばいいだろう。
「まだだ。まだ終わっちゃいねえ」
恐れを隠すように俺は拳に力を入れ、減らず口を叩いた。そうだ、終わらせてたまるか。三度目のサーブが、あのヤクザ麻呂こと堀田菩菩によって、遅い声で速く来る。
「上東門院」
バックライトのジョージが真剣な表情で受けて、
「藤原道長、彰子の父だ!」
よく通る声を張った。打つ瞬間だけは凛々しくなるのだ。高くトスが上がる。
「あらまー、やりすぎたー」
飛びすぎたボールを仰ぎ見て、やつはまた脱力して笑った。バックセンターの速見オールマイティが、落ちてきたそれをアンダーで再び上げる。少し不安げに、
「この世をば?」
とヒイロを見た。端正なイケメンは呆れ顔で頷く。ヒイロがちゃんとヒーローなように、速見もちゃんとオールマイティだったらいいのにな。
「我が世とぞ思ふ望月の。エエーイッ」
フロントライトのドチビが続けた。このエイエイ言うクセは入部当初から直らない。敵に技を読まれて困る。いつも「また言っちゃいましたっ」などとぬかすが、例のまんがの主人公みたいに、お前は本当にかわいいなあとか俺は言ってやらんぞ内田歩夢!
「欠けたることもなしと思えば!」
とどめのスパイクを打つ。来い一点! しかし、
「小っ、右っ、記いいーっ」
万葉のバックライトに、死に物狂いでとめられた。堀田菩菩。顔は変わらぬまま低く叫んで太い体で弾むように球を拾った。小右記。この世をばの歌が収録された文献だ。知っているとは小癪な。地面とほぼ平行に、真っ直ぐ返ったボールはネットに軽く触れて、新古今側にコロンと落ちた。息を飲み、俺たちは敵陣と審判を交互に見る。
なあ、今の。
「三対零。勝者、万葉高校」
尺八が、鳴る。
「嘘だろ」
あっけなかった。
万葉高校は噂以上に強かった。だがこの闘いは、俺たちの始まりにすぎない。文芸バレーボール部の歴史は、どの高校もまだ一年だ。
「ありがとうございました」
ネット越しに礼をする。この先きっと、いくらでもくつがえせる。
「なあ万葉。最後の一点は運だったよな。また戦おうぜ」
わざと言った。へえ、とジョンは眉間に皺を寄せてほくそ笑み、
「次は二秒でぶっ潰してやるよ。全国大会で会えたらなあ!」
デコピンを食らわせてきた。その上、ガハハハと嫌味で下品な笑い声をつけ足しやがった。おのれ万葉、いつか目にもの見せてやる。新古今高校の文芸バレーボール部は、いずれお前らを超えて日本一になる。俺たちはもっと強くなれるんだ。闘いは今、幕を開けた!
本日も審判をしてくださった顧問の古井先生は、
「うむ。お疲れさま」
と普段通りの短い挨拶だけをして、尺八片手に職員室へと帰っていく。よく言えば放任主義というやつだ。この御時世に着流しを好んで私服としている、古典担当のダンディな中年。気づけば居て、いつの間にか消える風のような方である。
万葉の連中もボールだけ回収し、さっさと自分たちの学校へ帰っていった。紫のユニフォームが六つ、馬鹿笑いをしながら体育館からすぐ消えた。
ネットを片付けながら、口を開く。
「今日の反省点だが、初めの罠にはまったのが最大の敗因だな。悪かった」
「うーんまあ、キャプテンはよくやったほうだぜ、許してやるぜ。ところで上東門院はなんで正解だったんだぜ?」
「お前は本当、ノットオールマイティだな!」
「おっと、名前をネタにするのはよくないんだぜ」
やっぱり速見が一番反省していないのだ。
「俺こそごめんな。もっと知識があれば、くっ」
演技っぽく首を振った途端にメガネをぶっ飛ばして、
「し、視界が。視界がーっ!」
ソウルはコンタクトレンズを探すように床に這いつくばった。内田が「あっ、僕に任せてくださーいっ」と真ん丸な瞳を持つ童顔で笑顔を作り、すぐに拾う。
「山ノ内さんどうぞ。試合中は外れなかったのにですねえ」
ほんとにねえ。ジョージが暖かい目で見守りながら、またふぬけた笑みを浮かべる。体育館の隅に転がっていた、いつもの白い球をひょいと抱えた。
「実は俺にもミスがあるんだな。あそこで藤原道長じゃなくて藤原定子と言っておけば、まだ答えにくい出題になりやしたでしょ? たは、すんまそん」
「反省点だらけだな」
呟いて、ヒイロはまた舌打ちをした。
「打倒万葉ですっ」
「ああ次は勝ってやるぜ、オイラの最強レシーブをくらえなんだぜ」
「そうですねっ、そのためにも速見さんはまず勉強をがんばってくださいねっ」
よく言った内田。全力であざとい枠にいるこのチビが意外と、先輩に対しても臆せず意見できるところを俺は買っている。速見は昭和の古臭いまんがでよく見る、がん! という大げさな効果音が入りそうな愉快な表情をした。
「まさかの! アトムちゃんがひどいこと言ってきたんだぜ!」
「ほんとのことですもん」
その流れに乗せて俺は、威勢よく声を張ってみせた。
「技能は万葉と大差ない。必要なのは知識だ。各自文学史を復習しておけ!」
全員を躍起させようと発言したのに我らのクールな副キャプテンは、
「ち。どっちも負けてるだろうが」
冷徹に呟いた。ヒイロにはもっと、人の気持ちを考えて発言していただきたい。強さや見た目はヒーローでも、そこらへんの思いやり精神はヒーローではない。
「あと、騙されない能力も必要だと思うんだな」
にまりと笑って、ジョージが意味深にボールを投げてきた。胸元で受けとめる。
「それは、気合いでなんとかするぜ!」
こればっかりは性格の問題な気がするのだ。
「キャプテンの半分は気合いで出来ています」内田。
「全成分だろ」ヒイロ。
「いわゆるバカってやつだぜ」速見。
「速見てめえ」
「なんでオイラだけなんだぜ!」
ボールを投げつけると、上手にオーバーハンドパスを返してきたから腹立つ。アンダーで内田に回すと、お遊びであろうとやつはエイッと打った。ヒイロは何を考えているかわからない真顔で、フォームの綺麗なトスをする。新古今の部員は、全員でたった六人だ。文バレ人口はまだ少ない。ソウルだけが遠巻きに、てきぱきとコートを片付けていて、
「雑談タイムじゃないぞ。反省と片付けは」
分厚いメガネの奥で目を細め真面目な声を張っていた。
「あ、はーい。この遠道、助っ人いたしやーす」
ジョージがパスの輪から抜けて、ネットをたたむのを手伝い始める。あんまりタイミング悪く去られたもので、白いボールはやつがいた位置に一直線に落下した。
体育館に、青春の音が響いた。
相手のキャプテンがフロントセンターに立ち、八重歯を見せ、悪役らしさ溢れる笑みを浮かべた。固く尖った焦げ茶色のスポーツ刈りが様になっていてガタイもいい。広い額が自信を物語っている。左胸には山田ジョンと縦書きの刺繍がある。第一印象、バカそう。
だが向かいに並ぶのは、第一回全国大会で優勝した万葉高校の選手たちである。入試の偏差値もすこぶる高い、巷では難関の男子校だ。万葉高校の文芸バレーボール部は、もっと大規模なチームのはずだ。こっちを見下しているらしく六人だけを向かわせて来やがった。赤紫と紺の縦ボーダーシャツ、そして黒地に白ラインが入ったズボンという妙な体操服を着こなしている。六人とも縦横共に大きく筋肉質だ。敵のキャプテンが大きく鼻を鳴らした。俺はその山田ジョンとやらを見上げ強気に告げる。練習とはいえ、かなり気合いが入った。
「全国大会と同じルールだな。いいぜ。さっさと来いよ」
去年、五十校が参加し六回戦まであった全国大会で俺たち新古今高校は三回戦で敗退している。第一期生の先輩二人がその日、無念のまま引退した。その初春から三ヶ月。同じ校区という唯一の共通点を理由に持ち出して、何度も足を運び頼み込んで、今日ようやく、態度は不良みたいなのに全国一位である奇妙な万葉高校と、初試合のアポが取れたのだ。
我が校の体育館はここ大阪では右に出る校がないほど環境が整っているので、依頼した側だが例外的に来てもらった。それをネタにして数十回も謝らされたが、相手は全国一位だから文句は言えない。敵陣は面倒くさそうに伸びをする。いつも使っている球じゃないと落ち着かねえ、などと言い、やつらは青と黄色の配色をしたボールを持参してきた。俺たち六人の大事な白い排球は、今は体育館の隅で寂しそうに揺れている。
「がははは! てめえらの負けは決まってるのによお、無謀な挑戦を挑んできたよなあ、バッカじゃねえの。なあ、ちっちぇえキャプテンさんよお」
そう凄んだジョンとやらを目の前から睨みつけ、笑って宣戦布告を返してやる。
「やってみないと、わからねえだろ」
強気だけが俺の取り柄だ。
そうだ、背は低いが人並みに筋肉はあって、褐色肌で黒髪なこの俺こそ、国語好きそうな名前してるという理由だけで昨年ここに引きずり込まれた、新古今高校文芸バレーボール部第二期生キャプテン、二年三組の小野マトペである!
ちなみに小野マトペも山田ジョンも、二千百十二年の今ではいたって普通の名前である。昔は違ったらしいが、現在は当て字かカタカナが主流なのだ。
「五十年前はねエ、マトペさんなんて人は、おらんかったよオ」
と、ばあちゃんによく言われるけれども、俺は小野マトペだ。
この名前を案外気に入っている。オノマトペ(擬音語・擬態語)は人それぞれ聞こえ方が違う。だから周りに左右されず自分らしく生きろ、という大切なメッセージがちゃんと込められている、らしい。この説明がないとギャグでしかない名前だが、由来が好きなのだ。
息子に小野マトペと名づけたくて、婚活サイトで小野さんばっかりアタックしたという母さんと、そんな母さんを受け入れた父さんはもう何がなんだかよく分からないが、それでもまあ小野マトペには素敵な由来があるからいい。だが込められた意味が一目で分かる漢字の名前が、この部に入ってからは少し羨ましかったりする。
熱の高まる初夏の体育館で、最強チームと対峙した。さあ、来い。
「新古今高等学校 対 万葉高等学校 練習試合 開始」
俺たちの顧問である古井寿限無先生が両校の間に立って声を張り、合図の尺八を高く吹いた。六人対六人、男たちの熱き闘いが今始まる!
堀田菩菩と胸に刺繍がある、大仏とも般若とも言い難い妙な顔の男がボールを持った。あの名前はたぶんボブと読む。筋肉の上に脂肪を乗せたような図体だ。そいつはバレーボールを柔らかく投げて、野太い声でサーブを打った。
「いろはにほへと」
なん、だと! いろは歌なんて、簡単なフリすぎる。まさか万葉高校、罠か! 初っ端から罠なのか! ボールが飛んでくる。俺の方へ。
「頼んだ小野」
フロントレフトの山ノ内爽流が、度の高いメガネの奥から熱い眼差しを向けてきた。俺とこいつは、まさかの生まれた頃からの幼なじみである。母親同士が高校時代からの付き合いなのだ。ソウルは白い肌にそばかすで髪も目も色素が薄い。曾祖母がロシア人らしい。だが今の時代、クオーターなんてごろごろいるので特別目立つわけではない。こいつは勉強熱心だが、試合では他力本願になってしまうから困る。チャームポイントである瓶底メガネも、たまに練習中にぶっ飛ばし視界がやばいと騒ぎだす。まあ、わざとじゃないから許す。
「任せろソウル」
キャプテンとして俺は構えた。深読みしている暇はない。
「このちりぬるを、受けてみよーッ」
アンダーが高く上がった。さあ万葉はどう返してくる。
「わかよたれそ」
敵陣のバックライトがトスを上げた。
「つねならむ。うゐのおくやま」
相手のコート内で声高らかにボールは行き来している。ソウルと目配せをして頷きあった。なんだ、普通の返しじゃないか。罠ではなかったようだな、バカめ!
「けふこえてえェーい」
あの山田ジョンの叫びとともに、ボールは我ら新古今のコートへ返る。ここ、フロントセンターへと狙ったように飛んできた。行くぜ、アンダー!
「あさきゆめみし」
余裕綽々な俺の声と共に、万葉側へボールは飛ぶ。ふいに、
「かかったな」
目の前で、ジョンが鼻を鳴らして呟いた。
「何っ」
罠ではないと、確信したはず。
「あさきゆめみしの返しは、」
八重歯を見せて笑い、やつは歪んだ眉をしてトスを上げた。そして筋肉質な手で、排球を新古今側へ弾丸のように打ち落とした。
「源氏物語」
指先をかすめてボールが床を叩いた。返しを言いかけていた口は、行き場をなくして空気を飲んだ。尺八が広い体育館に響き渡る。球が少し、バウンドした。
「一対零」
ボールが足元を転がって通過していく。ああ知っている。あれだ。源氏物語を漫画化した、大和和紀の、あさきゆめみしだ。知っていたのに。
バックレフトの池原緋色が、整った無表情のまま敵側へと投げ返した。ヒイロではなくヒーローと読むこいつは、我らの副キャプテンである。「名前負けだ」と当人がキザなことを言いやがって誰にも本名では呼ばせていない。けれどこいつはその名に相応しいかっこよさを、恐ろしいまでに兼ね揃えている。
「ち。噂通り強いな、万葉高校」
舌打ちが癖だ。ヒイロはイケメンで文武両道で女子にモテるというそれだけでも凄まじいのに、加えて努力家で無口でクールときた。八頭身のほどよく高い身長と、スタイリッシュな短い髪と、涼しげな切れ長の目を持っている。ソウルがよく、俺も池原みたいになれたらなアなんて言うが、メガネぶっ飛ばすガリ勉くんにはむりな話だろう。まあ黒髪褐色チビな俺にも、程遠いがな。イケメンな副キャプテンは、無表情で敵コートを見据えている。
サーブの権利は万葉のままだ。文芸バレーボールのルールでは、点が入った時も途切れたワードから再開すると決められている。それは一重にマジカルバナナのルールに同じ!
向こうのバックライトがまたボールを上げる。
「源氏物語」
この堀田菩菩とかいうサーバーの、ヤクザと麻呂を混ぜたみたいな混乱する顔と、百人一首でも読み上げそうな遅い声の組み合わせでものすごく調子が狂う。レシーブが緩やかな弧を描いて飛んでくる。フロントライトの内田歩夢が、
「紫式部、エイッ」
と、うさぎのように跳ねて返したボールを万葉のバックセンターがこう打った。
「上東門院」
内田の方に返ったが、まだ一年生で経験も三ヶ月しかないやつの思考は固まってしまったらしい。上東門院ボールを必死にトスしたものの、言葉は出なかった。尺八が試合を止める。ヒイロが整った顔で、眉だけで怒りを表し舌打ちをする。
「二対零」
古井先生が厳かに言った。これでマッチポイントだ。ちなみに上東門院とは、紫式部が側近として仕えていた一条天皇の中宮、藤原彰子その人の異名である。
「すみません僕、本っ当にすみません先輩」
内田はサラッサラで量が多めのショートカットを下げ、どんぐり眼に涙を浮かべた。小動物っぽい。以前、母さんの本棚にあった平成時代のまんがを開いてみたら、内田みたいな少年がえーと、なんというか、大変なことになっているページを見つけてそっと閉じたことがある。まあつまりこの後輩は女々しい雰囲気のやつだ。で、俺の母さんはそういうのが好きな人だ。しかも趣味が高じたらしく、母さんの職業はそっち方面の漫画家だったりする。
ソウルが俺越しに右を見て、苦笑いで片手を上げた。
「ごめんなアトム、フォロー間に合わなくて」
反射するメガネが、かっこいいという意味ではなく眩しい。
「そんな、山ノ内さんは悪くないですよっ」
内田はふるふると首を振る。不意にバックライトの遠道常侍が膝を折り、後ろから楽しそうに内田をこづいた。一年生のくせにかなり背が高いのだ。やつはブイサインをして笑う。
「まあまあ今はこんなもんっしょ。俺ら第三期生は、これから伸びていけばいいんじゃないの。あ、身長じゃなくて実力ね。なんつって、たはは」
この通り性格も一年生らしくない。常に侍と書いてジョージと読む。へらへらしているこいつには違和感のある漢字だよなあと俺は思う。脱力したようなタレ目と、赤みがかったくせっ毛が軽い印象を増幅させている。先祖にイタリア人がいるとか前に言ってたか。でもジョージのあっけらかんとした態度が新古今チームを引っ張ってくれている節もあるから、常に侍だとは全く思えないが、こいつのことは後輩ながら尊敬している。本人には伝えないが。
「なんだよ遠道、僕がチビだって言いたいのかっ」
頬をふくらませて内田が背伸びをしたので、俺はつい例のまんがを思い出して噴き出した。母曰く、身長差カップルが正義だとかキタコレだとかどうのこうの。ちなみに俺も小さいが、このドチビよりは十七センチも高い。内田なんてたったの一四六センチだ。
「どうかしましたかキャプテン」
「いや、気にするな内田。それよりマッチポイントだ、気合い入れてくぞ」
「はいっ」
「ジョージも、何が伸びていけばいいだ。今も全力尽くせ」
「うぇーい」
万葉がボールをもてあましながら小声の雑談を始めている。時間の無駄だと笑っていた。
あと一点で、終わってしまう。次こそとめる。絶対に!
「上東門院とかハイレベルだぜ。強いぜ万葉高校」
バックセンターの速見オールマイティが、昭和のスポ根まんがのように鼻をこすった。振り向くと、でかっぱなと角刈り頭を持つ巨人が視界を覆う。
速見は、バカだ。バレーは上手いが知識の方は知ったかぶりだ。オールマイティなんて名前をつけられちゃって、名前負けも大概ってところだ。たぶん今も、なぜ上東門院が正解なのかわかっていない。どうせこの試合のあとに、なあキャプテン、さっきのはどういう意味だったんだぜ、とか聞いてくるんだぜ。平均的な学力はあるが、こいつは応用を身に付けようとはしてくれない。バレーボール自体は本当に上手いのに、もったいない話だ。
「弱えなあ。もうマッチポイントじゃねえか」
万葉のキャプテンが品のない声で笑う。上東門院に、なんと返せばいいだろう。
「まだだ。まだ終わっちゃいねえ」
恐れを隠すように俺は拳に力を入れ、減らず口を叩いた。そうだ、終わらせてたまるか。三度目のサーブが、あのヤクザ麻呂こと堀田菩菩によって、遅い声で速く来る。
「上東門院」
バックライトのジョージが真剣な表情で受けて、
「藤原道長、彰子の父だ!」
よく通る声を張った。打つ瞬間だけは凛々しくなるのだ。高くトスが上がる。
「あらまー、やりすぎたー」
飛びすぎたボールを仰ぎ見て、やつはまた脱力して笑った。バックセンターの速見オールマイティが、落ちてきたそれをアンダーで再び上げる。少し不安げに、
「この世をば?」
とヒイロを見た。端正なイケメンは呆れ顔で頷く。ヒイロがちゃんとヒーローなように、速見もちゃんとオールマイティだったらいいのにな。
「我が世とぞ思ふ望月の。エエーイッ」
フロントライトのドチビが続けた。このエイエイ言うクセは入部当初から直らない。敵に技を読まれて困る。いつも「また言っちゃいましたっ」などとぬかすが、例のまんがの主人公みたいに、お前は本当にかわいいなあとか俺は言ってやらんぞ内田歩夢!
「欠けたることもなしと思えば!」
とどめのスパイクを打つ。来い一点! しかし、
「小っ、右っ、記いいーっ」
万葉のバックライトに、死に物狂いでとめられた。堀田菩菩。顔は変わらぬまま低く叫んで太い体で弾むように球を拾った。小右記。この世をばの歌が収録された文献だ。知っているとは小癪な。地面とほぼ平行に、真っ直ぐ返ったボールはネットに軽く触れて、新古今側にコロンと落ちた。息を飲み、俺たちは敵陣と審判を交互に見る。
なあ、今の。
「三対零。勝者、万葉高校」
尺八が、鳴る。
「嘘だろ」
あっけなかった。
万葉高校は噂以上に強かった。だがこの闘いは、俺たちの始まりにすぎない。文芸バレーボール部の歴史は、どの高校もまだ一年だ。
「ありがとうございました」
ネット越しに礼をする。この先きっと、いくらでもくつがえせる。
「なあ万葉。最後の一点は運だったよな。また戦おうぜ」
わざと言った。へえ、とジョンは眉間に皺を寄せてほくそ笑み、
「次は二秒でぶっ潰してやるよ。全国大会で会えたらなあ!」
デコピンを食らわせてきた。その上、ガハハハと嫌味で下品な笑い声をつけ足しやがった。おのれ万葉、いつか目にもの見せてやる。新古今高校の文芸バレーボール部は、いずれお前らを超えて日本一になる。俺たちはもっと強くなれるんだ。闘いは今、幕を開けた!
本日も審判をしてくださった顧問の古井先生は、
「うむ。お疲れさま」
と普段通りの短い挨拶だけをして、尺八片手に職員室へと帰っていく。よく言えば放任主義というやつだ。この御時世に着流しを好んで私服としている、古典担当のダンディな中年。気づけば居て、いつの間にか消える風のような方である。
万葉の連中もボールだけ回収し、さっさと自分たちの学校へ帰っていった。紫のユニフォームが六つ、馬鹿笑いをしながら体育館からすぐ消えた。
ネットを片付けながら、口を開く。
「今日の反省点だが、初めの罠にはまったのが最大の敗因だな。悪かった」
「うーんまあ、キャプテンはよくやったほうだぜ、許してやるぜ。ところで上東門院はなんで正解だったんだぜ?」
「お前は本当、ノットオールマイティだな!」
「おっと、名前をネタにするのはよくないんだぜ」
やっぱり速見が一番反省していないのだ。
「俺こそごめんな。もっと知識があれば、くっ」
演技っぽく首を振った途端にメガネをぶっ飛ばして、
「し、視界が。視界がーっ!」
ソウルはコンタクトレンズを探すように床に這いつくばった。内田が「あっ、僕に任せてくださーいっ」と真ん丸な瞳を持つ童顔で笑顔を作り、すぐに拾う。
「山ノ内さんどうぞ。試合中は外れなかったのにですねえ」
ほんとにねえ。ジョージが暖かい目で見守りながら、またふぬけた笑みを浮かべる。体育館の隅に転がっていた、いつもの白い球をひょいと抱えた。
「実は俺にもミスがあるんだな。あそこで藤原道長じゃなくて藤原定子と言っておけば、まだ答えにくい出題になりやしたでしょ? たは、すんまそん」
「反省点だらけだな」
呟いて、ヒイロはまた舌打ちをした。
「打倒万葉ですっ」
「ああ次は勝ってやるぜ、オイラの最強レシーブをくらえなんだぜ」
「そうですねっ、そのためにも速見さんはまず勉強をがんばってくださいねっ」
よく言った内田。全力であざとい枠にいるこのチビが意外と、先輩に対しても臆せず意見できるところを俺は買っている。速見は昭和の古臭いまんがでよく見る、がん! という大げさな効果音が入りそうな愉快な表情をした。
「まさかの! アトムちゃんがひどいこと言ってきたんだぜ!」
「ほんとのことですもん」
その流れに乗せて俺は、威勢よく声を張ってみせた。
「技能は万葉と大差ない。必要なのは知識だ。各自文学史を復習しておけ!」
全員を躍起させようと発言したのに我らのクールな副キャプテンは、
「ち。どっちも負けてるだろうが」
冷徹に呟いた。ヒイロにはもっと、人の気持ちを考えて発言していただきたい。強さや見た目はヒーローでも、そこらへんの思いやり精神はヒーローではない。
「あと、騙されない能力も必要だと思うんだな」
にまりと笑って、ジョージが意味深にボールを投げてきた。胸元で受けとめる。
「それは、気合いでなんとかするぜ!」
こればっかりは性格の問題な気がするのだ。
「キャプテンの半分は気合いで出来ています」内田。
「全成分だろ」ヒイロ。
「いわゆるバカってやつだぜ」速見。
「速見てめえ」
「なんでオイラだけなんだぜ!」
ボールを投げつけると、上手にオーバーハンドパスを返してきたから腹立つ。アンダーで内田に回すと、お遊びであろうとやつはエイッと打った。ヒイロは何を考えているかわからない真顔で、フォームの綺麗なトスをする。新古今の部員は、全員でたった六人だ。文バレ人口はまだ少ない。ソウルだけが遠巻きに、てきぱきとコートを片付けていて、
「雑談タイムじゃないぞ。反省と片付けは」
分厚いメガネの奥で目を細め真面目な声を張っていた。
「あ、はーい。この遠道、助っ人いたしやーす」
ジョージがパスの輪から抜けて、ネットをたたむのを手伝い始める。あんまりタイミング悪く去られたもので、白いボールはやつがいた位置に一直線に落下した。
体育館に、青春の音が響いた。
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