通学路の秘密

南いおり

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溝端悟

20××年6月18日13:46

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化学の授業で席替えをした。化学の授業は化学室で行われていた。

一つの机に三人ずつ座れて、俺は机の真ん中で左は古川さん、右は一哉になった。

古川さんは前の席では一哉の隣で、その前は俺の隣だったから話しやすかった。

それもあってか、授業中も勉強を教えあったり、進路についての話などたくさん話していた。

一哉は普段はクールだがいじると意外とおもしろいと古川さんが気付き、俺に一哉をくすぐるように言って、ちょっかいをかけていた。

この日の授業中も油断した隙にくすぐった。すると避けようとした一哉がバランスを崩し、俺の方に抱きつき、頬に一哉の唇が当たった。

俺と一哉は驚いたような顔をしていて、古川さんは笑っていた。おそらく古川さんからは抱きついただけに見えたのだろう。

一哉は姿勢を戻し、何事もなかったように振る舞っていたが、耳が赤くなっているように見えた。

そして、俺はこの日から一哉を意識するようになっていた。

俺は今まで彼女がいたことはないが、好きな人がいたことはあった。それは全部女であって、男を好きになったことはなかった。



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