超短編集:『全員アホの冒険』

七つ目の子

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※残酷な描写あり

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 この世界には人間と動物、そして人間を襲うモンスターがいる。
 その中で人間だけは神の祝福を受け、死んでも無限に生き返るのだ。

 彼らは寿命まで決して命尽きない。
 そして彼らは夢見ているのだ。
 いつかモンスターのいなくなる世界を。


 ある一つの冒険者パーティがあった。
 メンバーは暑苦しいウォーリアー、根暗ネクロマンサー、充電式ライト、そして光の魔術師だ。
 最早文句のつけようがない完璧な布陣である。


 彼らは今漆黒のダンジョンに来ている。
 「ふう。落ち着くなここは。正に俺の為の世界だ」
 暑苦しいウォーリアーは突然そんなことを呟く。

 「うぎゃあああああ目がああああああ」
 根暗マンサーは真逆の反応だ。
 当然だろう。ここは漆黒のダンジョンである。本来であれば。

 「ペカー」
 充電式ライトは照らしている。光の魔術師を。

 「フハハハハ、我が魔法とうひは光を増強する! おっと、恥ずかしいところまで丸見えだぞダンジョンめ!」
 彼は光を増強する魔法を扱う。それはとても強力だ。
 ダンジョンの奥の方まで丸見えである。
 そして恥ずかしいのはお前だ、等とは決して口にしてはいけない。
 それがこの世界のルールである。


 ダンジョンは罠まで丸見えだ。
 「おっとお! 罠きたぞ罠ァ! それでは、さっそくかかってみようか!! グハァアア!!!」
 暑苦しいウォーリアーは即死する。どうやら漆黒の煙を発生させる罠だったようだ。
 彼は闇に飲まれると死ぬのだ。

 「ああ、この罠は良いな。心が落ち着ギャアアアアアアアアア!」
 根暗マンサーも死ぬ。漆黒の煙を除去するために充電式ライトがフルパワーを発揮し、それを光の魔術師が増強したのだ。彼の心に希望の光は絶望となって降り注ぐ。

 「ふっ。これで邪魔者は消えた。さあお前も死ぬのだハゲ!」
 充電式ライトは本性を表す。彼は実はこのダンジョンの主だったのだ!

 「フハハハ! どちらが眩しいか勝負と行こうではないか! おおっと、恥ずかしいところまで丸見えだぞ充電式ライトめ!」
 現時点ではハゲの光の方が若干強いようだ。充電式ライトは徐々に押されていく。しかし、充電式ライトにはソーラーパネルも備わっている。戦いは再び均衡を保つ。


 数年後、光のダンジョンには多くの冒険者が押しかけた。
 いろんな人や場所の色んな所が色々丸見えなのだ。
 その中には暑苦しいウォーリアーと根暗マンサーも居た。
 暑苦しいウォーリアーは堂々と見ている。何を? ロマンを。
 一方根暗マンサーは日々ここに通い、こそこそと色々見る事によって気分を盛り上げていたのだ。
 彼らはここで仲間を失ったが、再びここに通うことで過去を乗り越えとても強くなった。

                              めでたしめでたし


 時は変わって数十年後、光のダンジョンの光量が徐々に落ちていっていると話題になる。
 光の魔術師の魔法とうひに皺が増え、光を乱反射してしまうようになったのだ。
 このままでは色々と見えなくなってしまうと焦りだした冒険者達は若返りの薬を開発しようと努力した。
 しかし、いつしかそれが完成した頃には、充電式ライトの充電は切れていたが……。



                                  おわり
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感想 2

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みんなの感想(2件)

ねる
2019.06.22 ねる

読んでいて笑いが止まりませんでした。面白かったです。

解除
此処寝
2018.08.16 此処寝

ダメです。人前では読めません。おかし過ぎます。

解除

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