悪役令嬢? 何それ美味しいの? 溺愛公爵令嬢は我が道を行く

ひよこ1号

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意外な約束

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だが、返答が気に入らないのか、シルヴァインは不機嫌な顔のままだ。
フン、とシルヴァインにしては子供っぽく鼻を鳴らして、傍らの侍従を睨んでみせる。

「主人に問われたら嫌だなんて言えないだろう」
「いいえ、心よりそうお答えしておりますので、そちらは否定させて頂きます」

今度は否定してきたギラッファの答えを、何故か目の前を歩いているジェレイドが揶揄ってきた。
少しだけ振り返って見せる微笑が、悪気たっぷりだ。
腹黒イケメン、とはこういう人なのだろうか?とその笑顔をマリアローゼは見守った。

「おやおや、飼い犬に手を噛まれたのかい?」
「甘噛み程度で動じる主でもありませんので、ご心配には及びません」

悪意の篭ったジェレイドの揶揄にはシルヴァインではなく、ギラッファが礼儀正しく答える。
口を挟む隙もない応酬で、ギラッファは何時もどおり穏やかに微笑んでいる。

つまりは、わたくしをだしにして、
ギラッファもシルヴァインお兄様を少しからかっただけ、という事なのかしら?

マリアローゼはこてん、と首を傾げた。
シルヴァインは少し苦い顔をしていて、マリアローゼの仕草を見てやっと微笑んだ。

「あんまり縁者以外の人を愛称で呼ぶものじゃないよ、しかも男を」
「でも呼びにくいのは嫌ですの。ウルラートゥスもウル、でちょん切って差し上げましたわ」

それについては、シルヴァインだけでなくギラッファも、ミルリーリウムも、ジェレイドすらも驚いた顔をした。
他の従僕達も、驚いた顔をしている。
ぴたり、全員の足が一瞬止まった。
済ました顔で歩いていたのはエイラくらいである。

「あの男に会ったのか?」

最初に問いかけたのはシルヴァインだった。
怪訝な顔で、覗き込んでくるので、マリアローゼは腕の中で頷く。

「ええ、わたくしの先生の一人ですわ。別にウルと呼んでも文句はなさそうでしたし……
ああ、いえ、正確には文句を言ったけど、納得したのでしたわ」
「ああ、残念……その時の顔が見てみたかったですわ」

ミルリーリウムが手を口元に当てて、くすくすと笑い、ジェレイドもそれに頷いた。

「あの気難しい男が先生ねぇ……面白いな。丸くなったのかな。折角だから訪ねてみようかな」
「もしお会いになるのでしたら、わたくしの後にして下さいませ。ウルとは約束がありますの」

マリアローゼの言葉に、ミルリーリウムとジェレイドは目を丸くして顔を見合わせた。
余程珍しい事なのだろうか?とマリアローゼは不思議そうな顔で二人を見る。
そして、ミルリーリウムはくすくすと笑い、ジェレイドも笑顔で振り返って頷く。

「了解した。逢瀬は邪魔しないでおこう」

逢瀬と言うと何だか色っぽい響きなのだが、全然そんな雰囲気ではない。
沢山の犬と、それを束ねているボス犬に、大好きな餌を与える感覚に似ている。
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