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第一章
第13話
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◇
──三日後。
薄暗い部屋の中、ノアリスは浅く息をしていた。
胃の底からせり上がってくるような鈍い痛みと、腰を砕かれるような圧迫感。
何も食べられていなかったが、吐き気だけは絶えず襲ってきていた。
「そろそろです。間隔が整ってきています」
白衣の医師が冷静に言うと、傍らの助手が器具の準備を始めた。
ノアリスは天井を見上げたまま、指一本動かさない。
いや、動かせなかった。──恐怖で、自分の身体が、まるで他人のもののようだった。
「麻酔は?」
「打ちません。排出反応が鈍るので」
その声を聞いても、怒りも悲しみも浮かばなかった。
ただ、静かに受け入れていく自分がいた。
「子宮開口、始まっています。──抑えてください」
「はい。王子、力を抜いて」
看護人の手が、ノアリスの手足を押さえた。
薄く膨らんだ腹部が、波打つように痙攣する。
ぬるり、と体内の奥から異物感が這い上がる。
頭の奥がガンガンと痛む。息が詰まる。
──いやだ。いやだいやだいやだ……!
叫びたかった。でも、喉が震えるだけで声にならなかった。
「収縮、強まっています」
「──見えてきた。もう少し」
身体の奥が裂けるような痛みが走った。
ノアリスは思わず背を浮かせるが、無情にもそれは押さえつけられ、寝台に縫い付けられる。
「っ、──、あ゛ぁぁぁ、あ……っ!」
濁った悲鳴が、空気を震わせた。
腹を押し込まれるようにして、硬いものが体外へと押し出される。
「──出ました。卵、確認。形状、問題なし」
医師の声が響く。
視界の端で、銀の器にそれが置かれるのが見えた。
ぬるりと濡れた球体。白く、不気味に静かな殻。
「損傷は少なめ。出血、軽度。回復には数日かと」
布が身体にかけられる。
処置の手は冷静で、無機質で、容赦がない。
それを、ノアリスはただぼうっと見ていた。
自分の身体のどこで、何が起きていたのかが、もう、分からなかった。
意識が遠のく瞬間、ノアリスは小さく「疲れた」とつぶやいた。
──三日後。
薄暗い部屋の中、ノアリスは浅く息をしていた。
胃の底からせり上がってくるような鈍い痛みと、腰を砕かれるような圧迫感。
何も食べられていなかったが、吐き気だけは絶えず襲ってきていた。
「そろそろです。間隔が整ってきています」
白衣の医師が冷静に言うと、傍らの助手が器具の準備を始めた。
ノアリスは天井を見上げたまま、指一本動かさない。
いや、動かせなかった。──恐怖で、自分の身体が、まるで他人のもののようだった。
「麻酔は?」
「打ちません。排出反応が鈍るので」
その声を聞いても、怒りも悲しみも浮かばなかった。
ただ、静かに受け入れていく自分がいた。
「子宮開口、始まっています。──抑えてください」
「はい。王子、力を抜いて」
看護人の手が、ノアリスの手足を押さえた。
薄く膨らんだ腹部が、波打つように痙攣する。
ぬるり、と体内の奥から異物感が這い上がる。
頭の奥がガンガンと痛む。息が詰まる。
──いやだ。いやだいやだいやだ……!
叫びたかった。でも、喉が震えるだけで声にならなかった。
「収縮、強まっています」
「──見えてきた。もう少し」
身体の奥が裂けるような痛みが走った。
ノアリスは思わず背を浮かせるが、無情にもそれは押さえつけられ、寝台に縫い付けられる。
「っ、──、あ゛ぁぁぁ、あ……っ!」
濁った悲鳴が、空気を震わせた。
腹を押し込まれるようにして、硬いものが体外へと押し出される。
「──出ました。卵、確認。形状、問題なし」
医師の声が響く。
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「損傷は少なめ。出血、軽度。回復には数日かと」
布が身体にかけられる。
処置の手は冷静で、無機質で、容赦がない。
それを、ノアリスはただぼうっと見ていた。
自分の身体のどこで、何が起きていたのかが、もう、分からなかった。
意識が遠のく瞬間、ノアリスは小さく「疲れた」とつぶやいた。
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