明日はきっと

ノガケ雛

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番外編

すなお

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 発情期の前後、大抵のΩは情緒不安定になることが多い。
 紬もそうだった。
 何ともないのに泣けてきたり、いつもならどうも思わないことに対してムカッとしてしまったり。
 気持ちの浮き沈みが激しいと疲れてしまって、安心できる香りを求め番の恭介に抱きつく。


「発情期前かな」
「うん……そうだと思う……」
「疲れただろ。今日は早く寝ないとね」
「……ごめんね」


 泣いたり、怒ったり、鬱陶しいよね。
 そんな気持ちで紬が謝れば、恭介は「何言ってるの」と苦笑して紬の頭を優しく撫でた。


「普段我儘の一つも言わないんだから、こういう時は素直に甘えておいで。」
「……あの」
「ん?」
「……す、好き。ありがとう」


 恭介はたまらず胸を押さえた。
 なんという可愛さか。
 素直に甘えておいでとは言ったが、こんなふうに真っ直ぐ『好き』を貰えるとは思っていなかった。


「俺もだよ。さあ、お風呂に入ったら一緒に寝ようか。」
「うん」
「抑制剤は飲んでおく?」


 Ωの発情期はΩ自身にとってもとても体力を消耗するので、番が出来たあとも発情期の度に抑制剤を飲んで症状を抑えるΩも多い。


「えっと……の、飲まなくても、いい……?」
「俺はいいけど、体は辛くない?」
「……あの……気持ちいいの、好きだから……」


 紬は顔を真っ赤に染め、モジモジしながら言う。
 なるほど。発情しきった状態でするセックスが紬は好きらしい。
 恭介は目尻をデロデロに下げて笑っていた。
 自分の番は気持ちいいのが好きなんだと再確認したので。


「シたくなったらいつでも言ってね」
「ぁ……そ、そういうこと、言われるの、恥ずかしい……」
「……可愛い」


 恭介の胸に顔を埋めるようにして隠す紬に、恭介はもう口角の下げ方すら分からなかった。





 それから少ししてやってきた発情期。
 紬の好きな気持ちいいことをし、恭介は蕩けた番の様子に癒される。


「ずっと、こうしてたいな……」


 発情期には波がある。
 なので何度目か繋がったあと、少し熱の落ち着いた時に肌をくっ付けて休んでいると、紬がそう呟いて恭介の背中に腕を回した。

 恭介はあまりに幸せで、ついポロッと涙を零す。
 紬にこれほど求められることが嬉しかった。


「愛してるよ」


 気づけば伝えていた言葉に、紬は花が咲いたように微笑んで。


「俺も、愛してます」


 二人の唇がそっと重なった。
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