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第七話

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「ふぁっ・・」



アルグレンは目が覚める。朝日が窓から差し込んでいる。今日は天気がよさそうだ。



ベッドに目をやると乱れしわがついたシーツが目に入った。途端に昨日の夜のことを思い出す。



隣を見るとシャーロットはいない。しかし触るとぬくもりが残っていた。どうやら一足先に目が覚めたようだ。



ドアが開く。



「おはようございます」



ブラウスとスカートを着た彼女が現れる。しかしアルグレンの視界には服など映っておらず、彼女の柔らかい白い体が思い起こされる。



胸が下に膨らみ、大きな尻を持った体が…。



既に勃起していた性器がさらに固くなる。



「おはよう」



笑うと彼女も微笑み返してくれた。照れくさそうなところがかわいい。



彼女は朝食をとってくるといって部屋を出てまたすぐにやってくる。



パンとミルクを受け取りそれを流して食べる。



終わった後で服を着替えていると、彼女がやってきてごめんなさいと言ってドアを閉めようとする。



ちょうどズボンに足を通そうとしたところだった。



こちらも驚いて、バランスを崩し倒れる。



ドタンと音がなって、彼女が心配そうに近づく。



「だ、大丈夫ですか」



「う、あいたたたた・・・」



痛くない。しかしこうして痛がったふりをしていると・・・



「アルグレン様?」と名前を呼んでくれる。昨日のように。



バッと飛び上がって彼女に抱き着く。



彼女からきゃっと声が上がるも、気にせずにキスをする。



彼女も最初は驚いていたが次第に応える。



昨日と違うのは彼女からミルクの味がした。さっき朝食をとったばかりだろうか。



そのおかげで唾液がどろどろとしているように感じた。



「んっ…」



口を離すと、はぁっと色っぽい声が口から洩れる。



アルグレンは彼女の肩に手をやり、そこから撫でるように体の輪郭をなぞるようにそのまま両手を



胸へと移動した。



「あ…」



布越しの胸は感覚が新鮮だった。しかし生のほうがいい。



さらに下へ手をやって、服の下から手を入れて生で触る。



温かい。



彼女の胸の鼓動が手に伝わり、ドクンドクンと股間が脈を打つ。



「したい・・」と言って彼女の眼を見つめる。



コクリと彼女はうなずき、アルグレンは性器を出す。



彼女を回して、尻をこちらに向けさせスカートをめくり挿入する。



「あぁ・・・」



シャーロットは壁に手をやり、アルグレンからの衝撃に耐える。



パンパンと肉を弾く音が鳴る。



尻は振動で波打つ。



彼女のうなじに鼻を添え香りをかぐ。



ふわりと香料の香りがした。多分めかしこんでくれたのだろう。



愛おしさが増して、さらに速度が増す。



「あ、あっ」



「う」



最後に強く、渾身の力で彼女の腰に打ち込み精子を出す。



彼女の右肩にあごを置いて、呼吸を整える。



互いに肩で息をして、余韻に浸る。



しかしシャーロットは力が尽きたのか、ずるずるしゃがみ始める。



それに合わせてアルグレンもしゃがむ。



ぜぇぜぇとしていると、一息先に彼女が立ち上がって



「・・・もう、夜まで我慢してください。めっ」とアルグレンの額に人差し指の腹をつけ注意する。



そして彼女は立ち上がって両手で服を整え、部屋を出る。



下半身をむき出しにしたまま、アルグレンは取り残された。



---



むくりとミランは目覚める。服は着ておらず全裸で眠った。



目をごしごしとしてからベッドから出る。



だいぶ眠ったわ…と小声でつぶやく。



ドアに手をやったところで、ハッとして服を着る。



改めてドアを開けるとまぶしい日差しに目を細める。



「まぶしっ・・・」



手で日差しを遮りながらアルグレンを探して外に出る。



血豆は昨日のシャーロットが巻いた包帯のおかげでましになっていた。



靴ももらったが、少しサイズが大きい。



履きなれぬ靴を不快に思いながら、村を歩く。



外はすでに昼になっているようで、真上に太陽が来ていた。



見覚えがある、昨日の建物の前に来るとシャーロットがいた。



おはようございますといわれ、うなずく。



きょろきょろしていると



「部屋にいますよ」と言って、案内をしてくれた。



着いて部屋に入ると、アルグレンはベッドで本を読んでいた。



「おはようミラン。足は大丈夫?」



「まだ痛む」



「そう、まだ町まで結構あるから今日もここにいようか」



と言って、彼は本へと視線を戻した。



何の本を読んでいるのか気になり、ベッドに入り覗き込む。



「ちょ、なに?」



困惑している彼は察して



「ただの冒険記だよ。勇者たちの」



と言って表紙を見せてくれた。



そこに映る、黒の王国の創始者である大剣をもつ勇者が目に移りミランは顔を少ししかめる。



「ねぇ。遊びましょ」



うーんとアルグレンは悩む。



「退屈なの。ねぇ」と言って彼の袖を引っ張る。



「じゃ散歩でもしようか」と言って一緒に外に出る。



外へでて、村をぶらぶら回っていると村人たちは農具をもって畑を耕したり何かを運んだりしていた。



やがてシャーロットが後ろへやってくる。



「アルグレン様」



「シャーロット」と二人は互いを呼び合う。



「お昼ご飯を食べませんか?父が一緒にお話をしたいと」



「わかった。じゃ一緒に帰ろうか」



三人は来た道を戻る。



アルグレンがこの時期に実をつける果物の話題を持ち出し、シャーロットがこの村でも育てているものがあるから一緒に食べようとか、次には天気の話をしている。



時折、ミランにも話は降られるがぽつりと一言返すことしかできない。



ミランは楽しむ二人の間になにか違和感を、溝があるのを感じた。



「ミランさん傷はどうですか。とても効く薬を塗ったんですよ」



「別に。まだ痛いわ」



「大丈夫か」とアルグレンが心配そうに問う。



なにかいたたまれなさを感じたミランは痛いから昼食は後でとるといって早歩きで一足先に朝いた小屋へ戻る。



ベッドへ倒れこみ思う。



なにが天気よ。果物よ。私なら・・・



といって二人が話していた内容に心でケチをつけた。



なにか面白くない。特に...。



シャーロットの顔が浮かんだ。



肉付きがよく、太い彼女の足より私の方が細いなと思った。



だんだんと足が痛みだし、さらに苛立ちながらミランはふて寝した。
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