助けた少女と共に暗黒龍を倒す話

藤助18

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第二十三話

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「ファリナさぁん」



弱気な声で部屋を開ける。アルグレンはミランの気まぐれに振り回されるのが嫌になった。



そこでファリナと部屋を変わるように頼んだが、



「嫌です。私も一人になりたいので」



「じゃあ、部屋をもう一つ借りてほしい。後で倍で返すから。」



「嫌です。もう一文無しです」



そういってファリナは金が入っているらしい小袋を逆さにしてホコリしか入ってないことを示した。



「しばらくここにいても?」



「嫌です。叫びますよ?」



アルグレンは部屋を追い出された。しかしミランがいる部屋に行くのも気が引けるので町を散策することにした。



宿屋をでてまず向かった先は郵便局である。



故郷に手紙を書いてお金を送ってもらい、一旦帰ろうと思ったのである。



しかし両親に貸しをつくれば後が怖い。



うーんと考えた後で、他家に嫁いだ姉へ手紙を書くことにした。



「拝啓姉様。かくかくしかじか・・・金を送ってくださいと」



姉には正直に事件のこととミランのことを書いた。そして最後には達者でと書いた。



もちろん金がないので費用は姉持ちである。



しばらく町を歩いていると、話声を聞いた。



黒髪の、黒の国の公女を見つけてくれたものにはなにやら領主から報酬が与えられるらしい。



黒髪?黒髪といえばもしやと思いアルグレンは宿屋へ走った。



「ミラン?ミラン起きているか?」



先ほどの気まずさをアルグレンは引きずらずに尋ねたが、ミランは引きずったままであった。



顔がまだ赤く、照れながら



「うん。どうしたの・・・」



と答えた。



調子が狂うなとアルグレンは思いながら、もはやはっきりさせておきたかった。



「君は、町で噂になっている黒の国の公女なのか?」



「・・・うん。私はミランダ・ノアル。だから噂はきっと私の事ね。」



沈黙が流れた。ミランは隠すつもりではなかったが、改めて身分を明かすことが恋愛の障害になるのではと危惧したからだ。



それにミランは家来や他の取り巻き貴族のような遠慮された態度をアルグレンにとってほしくなかった。



だが、もはやそれは難しい。アルグレンはまさか目の前にいるミランがノアル家の娘とは思わなかった。



「ミラン・・・ダ様。一緒に領主の城へ行きましょう。国へ帰る手配をしてくださるでしょう。」



言葉遣いを改め、顔を見つめないようにアルグレンは態度を改め、手を差し伸べた。



しかしミランは手を取らない。



「わかったわ。でも明日にしましょう。せっかく部屋をとったんだから。ね?いいでしょ?」



「そうしましょうか」





「・・・・」



ミランは我慢ならなかった。急によそよそしくなった様子に。



アルグレンだけは自然な、対等な態度で接してほしかった。



「あなたを訴えるわ」



「え?今何と?」



「あなたが私を襲ったと訴えるわ。そして助けた礼を私の体で払わされたというわ。」



「な?!」



ふざけたことを言われた。しかしどんなにふざけたことでもミランの身分なら通る。



「ミランふざけるな!本気でいっているのか?」



「本気よ。命が惜しいなら私の頼みを聞きなさい」



「あぁ何でも聞く。だから馬鹿なことをいうのはやめてくれ・・・いえ・・・どうかやめてください。」



必死にアルグレンは頼み込む。



明日領主の城に行って国に帰れば、もうアルグレンと会えなくなるかもしれない。



だから強引にでも・・・



「・・・私を抱いて」とミランは小声で言った。



「は?」



アルグレンは聞き間違いかと思った。



そしてミランは一世一代のお願いを「は?」と返されて一気に不機嫌になった。



「はぁ・・抱く・・・抱きます。抱かせていただきます。」



アルグレンは冗談を言っていると思ったがミランの態度から本気のようである。抱くとはつまり、抱くということである。



「お安い御用ですよ。ミランダ様」と卑しい下僕然とした薄ら笑いを浮かべてアルグレンはミランにゆっくり近づいた。



「失礼します。」と言ってアルグレンはミランを抱いた。



「・・・」



ミランはベッドからお姫様抱っこで持ち上げられて呆然としたが、抱くという意味をはき違えられたことがわかるとアルグレンをにらんだ。



「ふざけているの?この私をばかにしてるの?」と低い声で言った。



アルグレンはようやく先ほどの言葉の真意がわかり顔が青ざめた。



「え?!あっいやその・・・」



「・・・もういい。おろして早く。それから出ていきなさい。すぐに」



「・・・」



「聞こえなかった?アルグレン殿。早くおろしなさい。」



おろせない。このままミランを降ろせば、たとえ裁判で全員がミランの言い分が間違っていると分かっていても、権力で強引にアルグレンは処刑されてしまうだろう。



緑の国の王家も父も、外交上もめたくないから誰も助けてくれないだろう。



アルグレンは覚悟を決めた。



それにこの腕の中にいる少女は出会ってすぐ僕のことを好きと言っていた。



あなたのこと好きよ。



そうか、そうだったよな。



アルグレンは、誘いを勘違いで済まされたことに怒り心頭のミランの顔をじっとみつめた。



ミランはアルグレンの様子が変わったことに戸惑った。そして次の瞬間、アルグレンはミランにキスをした。



「!?」



驚いてミランは目を大きく見開く。アルグレンはすぐに顔を離してミランをベッドにおろした。



「ちょっやめ」



何か言おうとするミランの口を封殺するようにもう一度キスで塞いだ。



怒るミランはまたキスをされてとろけるような目つきに変わる。



「もういいってやめ」



眼がうるみ、口がほころび始めたミランにもう一度キスをする。



キスをしている間、顔を見ると目を閉じて恍惚とした表情を浮かべるミランを見て心の中でアルグレンは笑う。



今度は長かったので、話した途端ハーハーと息を整えるミランを見た。



もう何も言わない。



彼女をゆっくり押し倒す。



先ほどまで眉間を寄せた怖い顔をしていたが、今は頬が緩み切って惚けた顔をしているなとアルグレンは思った。



軽くキスをしてから、彼女が着ているブラウスのボタンを下からぽちりぽちりと外していった。



肌着もないので白い地肌が現れる。



柔らかい腹部。へそ。鎖骨と徐々に胸に近づいていくごとに、ミランは両腕で顔を覆い始めた。



そしてついに小さな白い乳房が露わになりボタンをすべて外し終えた。



ピンと赤い乳首が勃っている。



「顔・・・隠さないで」



両腕を顔から離すと、リンゴのように顔が赤くなっていた。目は涙のせいか、よりきれいに紅く光っていた。



目が合うと



「アルグレン・・・好き」と小声でミランが言ったのでアルグレンも照れた。



恥ずかしいのでキスで応えた。



アルグレンはミランの唾液を飲みながら、これで首の皮一枚つながったと安堵した。
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