助けた少女と共に暗黒龍を倒す話

藤助18

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第二十二話

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「ここよ。さぁ早く」



ミランに促されるままに、ファリナは屋敷内のアルグレンがいるらしい部屋の前に到着した。



二人の後ろには倒した護衛が並んでいる。



ヨッという掛け声とともにファリナはドアを蹴破った。中にはアルグレンがいた。



「アルグレン!!」という掛け声とともにミランは飛びついた。



「わっ!?え?ミラン?!」



アルグレンは外の騒動の原因がミランだったことに驚いた。何か様子がおかしいと思っていたが、まさかミランが助けに来てくれるとは・・・



ミランはアルグレンの胸元に額をこすりつけた後、改めて間近で顔を見上げた。



顔が以前よりも肉がついており、監禁されたせいか色白になり、髪も伸びてアルグレンはより中性的になっていた。



アルグレンは抱き着くミランをよそに、彼女の後ろに立つファリナを見ていた。



「あの、あなたは?」



「私はファリナ。あなたがアルグレン?」



「そうです」



ミランの隣の長髪の美人はもしやさっき放尿していた人ではないかと思った。



「ここに来る前金髪のシャーロットはいませんでしたか?」



ファリナとミランは目を合わせた。確かにミランはあの金髪娘がいないことに不審に思ったが、まずファリナに言っておかなきゃならないことがあった。



「アルグレンにも私と同じように接しなさい。いい?命令。あと彼と二人きりにならないで」



「は、はい・・・」



と二人はアルグレンには聞こえないように打ち合わせた。



アルグレンはシャーロットのことが気になった。おそらく自分をタダでは帰さないだろう。



スパっとアルグレンをつなぐ手錠や足かせをファリナは斬ると、アルグレンは久々の身軽な感覚に感動しながら



「ありがとう。ファリナ」



「いえ・・・」



「とにかくここからでましょう。不気味だわ」



「まって、魔導書を探したい」



ミランはそういえばアルグレンが魔導書を持っていたことを思い出し、ファリナに侵入者は全部切りなさいと玄関を死守するよう命じた。



ーーー



屋敷の村長の部屋らしいところに入ると、二人は驚いた。



まがまがしい竜を模した小さな石像が机に置かれていた。



「これは・・・・」



アルグレンは驚いた。ミランはこの家、いや村自体が邪教徒の巣窟なのだと分かった。



おそらく、アルグレンを監禁して自身の娘に魔導士の子を作らせるのは家を興すだけでなく、生贄としても数人必要だったのだろう。



二人は部屋中を探すも魔導書は見当たらない。



「・・・・仕方ない。魔導書はあきらめる」



「いいの?大事なものじゃないの?」



「いいんだ。おそらく売られたのかもしれない。・・・早くこの村から出よう」



外に出ると、ファリナが先導するといって駆け出した。



その時、つむじ風がファリナを襲った。



スパっと背中が一文字にファリナの背中をぱっくり切り裂く。



「ファリナ?!」



二人が声をかける。



膝をつき、剣で体を支える。



しかし魔道の質が悪いらしく、傷は表面を傷つけただけであった。



「後ろ!ミランダ様!」



後ろを振り返ると、陰で詠唱中のシャーロットがいた。



次の狙いはミランらしい。



アルグレンはミランの手を引っ張り無理やり移動させた。



シャーロットは狙いがそれたことに焦ったのか、詠唱途中に発動し、そよ風をふかしただけであった。



「もうやめろ!シャーロット!」



アルグレンはシャーロットのもとへ走り彼女に組み付いた。



「魔導書・・・返してもらうぞ」



胸元に抱えていた魔導書をシャーロットから力づくで奪い返し立ち上がると



今度はミランがその後ろからシャーロットに飛びついた。



髪を引っ張り顔をひっかいている。



「ミラン!やめろ!」



無理やり彼女からミランを引きはがすと、ミランはペッと彼女に唾を吐き捨てた。



アルグレンはしゃがみ込むファリナに声をかける。



「ファリナ?大丈夫?走れる?」



「もちろんですとも」



ーーー



村を脱し、町へ向かった。



一行は休みながら、二日ほどかけてようやく到着した。



道中はみんな疲れていたのか黙っていたが、町に戻ると自然と声が出た。



宿屋に到着すると



「ファリナ。ここの代金立て替えておきなさい」



「は、はい」



そうして三人は二つの部屋に分かれた。しかし



「なんでこっちに来る・・・」



「いいでしょ」



彼女の自由なところは変わらないが、一つ変わったことがある。



「ミランダ、少しやつれたか?」



ミランはえっという顔をした。



「ミランでいいわよ」



見た目の変化を指摘されたことではなく、呼び方が気になったらしい。



「ファリナはミランのことをミランダって呼ぶから」



しかも様付けだ。



「あ、あなたは私のことをミランって呼んでいいわ。いえ、そう呼んでほしいの」



ミランはアルグレンに近づき、見上げる。



アルグレンはミランの大きな目に見つめられて、たじろぐ。



「えっと・・・わかったよ。ミラン」



ドアが開いてファリナがひょいと顔だけをのぞかせていう



「ミランダ様。背中に軟膏を塗ってください。届かないんですよ」



ミランははいはいと言って部屋を出ていった。



やっと一人になれたのでアルグレンはまた眠ることにした。



ベッドに飛び込んで目をつむって



「これからどうしようか」と独り言をつぶやいた。



ーーー



ミランダはファリナの背中を見てつぶやく。



「まっすぐに傷が入ってるわね」



「でしょう?ミランダ様、痛むんですよぉ。深くはないですが、浅いのでかゆいような感じなんですよ。まるで猫に引っかかれたような」



ファリナは大げさにわかりやすく困ったような声調で言った。



「早く塗ってください。優しくお願いしますよ。それとほかに傷がないかゆっくりじっくり見てもらえませんか」



ファリナはさっと上裸になり、ベッドにうつ伏せになる。



ミランは軟膏が入った小さなツボを左手でもち、右手でたっぷり軟膏をとりゆっくりファリナの傷をゆっくりなぞった。



「あっ・・・沁みる・・・」



塗り終わって、ほかに傷はないか確かめてから



「こんなものかしら」とミランは言った。



「上に包帯を巻いてください。服に軟膏がつかないように」



そういって包帯をミランがもって巻き付けようとすると、ファリナはベッドの上で胡坐をかいた。



ファリナの両胸に包帯が沈み込むように巻き付いた。



「ありがとうございます。ミランダ様」



とファリナが振り向いて礼を言った時にはミランはもう部屋にはいなかった。



ーーー



もういちどミランがアルグレンの部屋を訪れると彼はすでに眠っていた。



ゆっくり甘えようとおもっていたのでミランは少し不機嫌になったが、眠っているなら起きているときには絶対にできないことをしようと彼女は思い立った。



彼は仰向けに寝ているので、まず口元を凝視した。



ゆっくりと呼吸している。



ゴクリとミランは生唾を飲み込んでからチュッとキスをした。



顔を離して起きていないことを確認した。



やった、やったわ・・・!と心の中で喜び、ドキドキしながら自身の唇を指で触れた。



それからまたしたくなりもう一度キスをした。



チュッ チュッ チュッという音が何度もした。



あまりの興奮でミランの口から唾液が垂れてしまったせいで、アルグレンの口元はべとべとになった。



さらなる興奮を求め、ミランはとうとう彼のズボンに手を伸ばした。



しかしそのときアルグレンは唇の違和感で目覚めようとしていた。



まずいと思ったが部屋を出るより早くアルグレンが目覚めた。



「え、ミラン。勝手に入ってきて・・・」



ミランはドキドキしながら傍らで狸寝入りをしてこの場を乗り切ろうとした。



アルグレンはすぐべたべたになった口元に気付き、



「え、顔べたべたになってる・・・なんで?」



それを聞いてミランはマズイと今度は別の意味でドキドキし始めた。



「よだれ、そんなに出てたのか」



とアルグレンはまさかミランにキスをされたとは考えず、布でふき取った。



「ていうかミラン。男の部屋に勝手に入るなよな・・・」



アルグレンはミランの顔をじっと見た。



「やわらかいほっぺだなぁ。ずっと触ってみたかったんだよな」



「?!」



ほっぺをまるでこねるように揉み始めたのでミランは思わず顔がほころんでしまいそうになるのを必死にこらえた。



「どれどれ今度は、胸をもんでみようかなぁ」



とアルグレンはミランのへそあたりに手を触れた。



本当はアルグレンはミランが寝たふりをしていると気づいているので、もう部屋に入らないようにお灸を据えようとしているのである。



む、胸を・・・触られる・・



ミランはごくりと唾をのんだ。



「あれ、今何か飲み込んだか?」



ギクリとミランは思った。



顔の動きを悟られないようにゆっくりと寝相を変えるようにアルグレンに背を向けた。



「なんだ気のせいか。まぁいいや」



尻を向けられたので背骨をなぞった。



くすぐったい感触にミランは思わず声が出そうになったが、唇を噛んでこらえる。



そして指で下腹に手を伸ばしてするするとちょうどへその下あたりを回すようになで始めた。



どうだ?これでも寝たふりを続けていられるか?とアルグレンは思ったがミランは負けずと沈黙を続ける。



しかし、アルグレンにも劣情がだんだんと湧き始めたと同時に、もしかしたら本当に寝ているのかもとも思い始めた。



さわさわと撫で続けてさらに下へ下へ手を下げていると、恥丘にまで到達した。



ミランは心臓がバクバクとしてばれやしないかと思っていたが、アルグレンもアルグレンで心臓がバクバクとしていたので気づかなかった。



そうしてとうとうアルグレンは性器に触れた。そこでにちょりとした何かに触れた。



「えっ」とアルグレンは思わず声を上げて手を離した。



ぬ、濡れてる?もしかして、お、起きてる?



ミランは沈黙したまま背中を向けたままで声すら上げない。



しかし確認するのがもはや怖い。



アルグレンは逃げるように急いで部屋を出た。



しばらくたってやっとミランは起き上がり両頬を両手で覆い、顔のほてりを感じながらまたしばらく放心していた。
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