情欲の淵(1/26更新)

狂言巡

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愛玩2

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 呼吸が収まるのを待って、雑賀はそっと彼女から離れた。汗ばんだ肌を密着させていた二人の間に微かな寒気が走ったのか、體の下に敷き込んだ細い体躯がぶるりと身震いした。彼女の顔の近くに突っぱねた自分の片手にそっと指が触れる。

「……どうした、辛いか」
「ち、あう」

 彼女の顔は情欲の残り香を纏っていた。散々吸って赤く熟れた唇に、快楽の海に沈められて泣きじゃくり潤んだままの双眸。今にも泣き出しそうな程にまた涙を浮かべる様子に、思わず手が伸びてしまう。しかし頬に触れた途端にびくりと震えられ、咄嗟に指を引いてしまった。そうすれば淡島は寂しげに顔を歪め、詫びるように頬を寄せて男の指を追う。全く、翻弄されて適わない。

「……いま、なか、いごかないれ、まら、いっちゃ、から」

 数秒、かける言葉が思いつかなかった。試しに腰をゆるりと動かしてみる。

「ふぁっ!? ……あぁぁ、んっ、やァ……! いごぃ、ちゃ、アァ」

 すると淡島は甲高い声を上げて逃げるように這い出ようとする。未だ挿入したままの性器がきゅうと甘く締め上げられた。

「……そうか、まだ足りないか」

 自分に都合のよい解釈をした獣は、くしゃくしゃになった敷布に再び獲物を追い込んだ。
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