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心霊スポットの話/廃校舎と伴奏
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別の大学に進んだ中高時代のダチが言った。
「お清さんって知ってる?」
バイト仲間もダチと同じ大学なので、それで知ったのかと思って聞き返した。
「紹介してほしいの?」
「そうじゃなくて……」
ダチも飲み会の二次会代わりに心霊スポットに行ったらしい。廃校になった校舎を改築して店にしようとしたが、不利な事情が重なって失敗してそのまま放置されている廃墟。三階建てだったが床が抜けたら危ないから一階を一周していた時の事。一学年上の先輩(以下アキタ先輩と仮称)が「何か聞こえません?」と言い出した。
「確かにしたけど、風の強い日だったから、それだって言われたら納得できるレベルのね」
しかしアキタ先輩は上階から歌声が聞こえると主張する。
「オキヨサンの声です、卒業式の歌ですよ」
あまりに突飛な事を言われて、肝試し一行の恐怖は萎んだ。オキヨサンって誰。卒業式の歌ってアバウトすぎるだろ。
「取り敢えずオキヨサン云々置いといて結局何の歌だったの」
「わかんねー。聞こえてるの先輩だけだもん。興奮状態でこっちの質問全然答えてくんねぇもん」
白けてしまい、アーハイハイもう帰ろうぜという空気になって一先ず帰った。
「もし、アキタ先輩が聞こえたのマジだったらの話だけど、オキヨサン俺の事知ってる?」
俺は首を横に振る。そんな事話す程まで交流は(この話時点では)なかった。ならバイト仲間がワンチャンだが、飲み会で急遽決まった肝試し先回りして歌ってたとか? 意味わかんねーよ。お清さん怖い話は好きだが肝試しとかお化け屋敷NGらしいし。
「別のオキヨサンなんじゃない?」
「かなぁ。アキタ先輩、根っからのオカルト否定派だったのに」
今は部活をやめて、誰でも弾けるようにホールに置かれているピアノで練習しているという。卒業式ソングに選ばれるような曲ばかり、披露というよりは、誰かに対抗、あるいは挑戦するように。
「お清さんって知ってる?」
バイト仲間もダチと同じ大学なので、それで知ったのかと思って聞き返した。
「紹介してほしいの?」
「そうじゃなくて……」
ダチも飲み会の二次会代わりに心霊スポットに行ったらしい。廃校になった校舎を改築して店にしようとしたが、不利な事情が重なって失敗してそのまま放置されている廃墟。三階建てだったが床が抜けたら危ないから一階を一周していた時の事。一学年上の先輩(以下アキタ先輩と仮称)が「何か聞こえません?」と言い出した。
「確かにしたけど、風の強い日だったから、それだって言われたら納得できるレベルのね」
しかしアキタ先輩は上階から歌声が聞こえると主張する。
「オキヨサンの声です、卒業式の歌ですよ」
あまりに突飛な事を言われて、肝試し一行の恐怖は萎んだ。オキヨサンって誰。卒業式の歌ってアバウトすぎるだろ。
「取り敢えずオキヨサン云々置いといて結局何の歌だったの」
「わかんねー。聞こえてるの先輩だけだもん。興奮状態でこっちの質問全然答えてくんねぇもん」
白けてしまい、アーハイハイもう帰ろうぜという空気になって一先ず帰った。
「もし、アキタ先輩が聞こえたのマジだったらの話だけど、オキヨサン俺の事知ってる?」
俺は首を横に振る。そんな事話す程まで交流は(この話時点では)なかった。ならバイト仲間がワンチャンだが、飲み会で急遽決まった肝試し先回りして歌ってたとか? 意味わかんねーよ。お清さん怖い話は好きだが肝試しとかお化け屋敷NGらしいし。
「別のオキヨサンなんじゃない?」
「かなぁ。アキタ先輩、根っからのオカルト否定派だったのに」
今は部活をやめて、誰でも弾けるようにホールに置かれているピアノで練習しているという。卒業式ソングに選ばれるような曲ばかり、披露というよりは、誰かに対抗、あるいは挑戦するように。
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